YOH消防士の資産運用・株式投資

消防士の資産運用、株式投資、仕事について紹介しています。

低血糖発作と脳卒中の判別から考える株式投資

救急救命士の処置

 救急救命士は、条件を満たした傷病者に特定行為と言われる処置を行うことができます。

 ・静脈路確保及び輸液

 ・エピネフリン投与

 ・チューブを使用しての気道確保

 ・血糖値測定・ブドウ糖溶液投与

 大きく分けるとこの4つですね。救急救命士は1991年(平成3年)に制度化されて誕生した資格で、特定行為は時代の流れとともに処置が徐々に拡大しています。そして、最も新しく追加された処置がブドウ糖投与です。

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出典 ドクタラーゼ

血糖値測定・ブドウ糖溶液投与

 救急事案で多いのが意識レベルの低下です。

 ・喋りかけてもぼんやりしている

 ・肩を叩いても目を開けない

 ・呼びかけに反応がない

 様々な身体の異変でこのようなことは起こりますが、その中で疑われるのが傷病者が低血糖状態になっているということです。バイタルサインや既往歴、家族や本人からの聴取内容で低血糖を起こしていると判断した場合、救急救命士は血糖値を測定します。

 ・意識障害がある場合

 ・血糖値測定を行うことで、傷病者の病院選定に有効とされる場合

 教科書的に言うとこの2点を満たした傷病者ということです。

 ※意識レベルが悪い全ての傷病者に血糖値測定をするわけではありません。例えば、居酒屋で大量に飲酒してから意識レベルが低下した場合、急性アルコール中毒を第一に考えて処置をするからですね。

 血糖値測定の結果、血糖値が基準よりも低い場合、ブドウ糖溶液を投与することができます。

 ・15歳以上

 ・血糖値が50mg/dl以下

 ブドウ糖溶液投与をするにはこの2点を満たしている必要があります。低血糖状態の傷病者にブドウ糖溶液を投与すると、症状は短時間で劇的に回復します。

 ・先ほどまで呼びかけに応答しなかったのに、意識清明になる

 ・動けなかった傷病者が治ったから歩いて帰ると言い出す

 このようなことになるのですね。それほど、低血糖状態の傷病者にブドウ糖溶液を投与することは効果があるのです。

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出典 知りたい!糖尿病

低血糖発作と脳卒中は症状が似ている

 この血糖値測定とブドウ糖溶液投与は救急救命士にとって、悲願と言ってもよいほど、特定行為に追加して欲しいものでした。特に血糖値測定がそうですね。

 なぜなら、低血糖発作と脳卒中の判別ができるようになると期待されていたからです。低血糖発作と脳卒中の症状は非常によく似ています。

 ・意識レベルの低下

 ・痙攣

 ・嘔吐

  ・眩暈

 低血糖発作と脳卒中どちらであっても、このような症状が出るのですね。そして、この2つを救急隊は判別することが極めて難しいのです。検査する機器やそれを扱う技術が無いからですね。

 ・脳卒中・・・脳外科へ搬送

 ・低血糖発作・・・内科へ搬送

 低血糖発作と脳卒中では診療科目が違うため、病院選定は非常に苦労します。

 ・意識状態が悪い傷病者を脳卒中と判断して脳外科対応病院へ電話

 「それって低血糖発作でしょ。うちでは診れないよ。内科に行ってください。」

 次に内科へ電話

 「いあ~、もし脳卒中だと対応できないよ。脳外科探して搬送してくださいよ。」

 救急の現場ではこのようなことが多々あります。この場合、結局は脳外科と内科が両方診れる病院に搬送することになります。

 ※このたらい回しのケースの大半は夜間に発生します。日中は○○市立病院などは診療科目が多く、対応可能なのですが、夜間の診療科目が各病院の輪番制になると、○○市立病院は内科だけしか診れない、ということになります。

 私の勤めている地方都市では、複数の診療科目を診ることができる病院は、市外に搬送する必要があり、時間がかかるということです。近くに内科と脳外科が診察できる病院があれば、ファーストコールでその病院に受け入れ交渉をします。

 しかし、血糖値を測定して低血糖発作かどうか判断できれば、病院搬送がスムーズになると考えられていました。

実際にはあまり変わらない

 実際に救急救命士が血糖値測定を行えるようになって、内科と脳外科のたらい回しが全く無くなったかと言えば、そうではありません。

【意識状態が悪い傷病者の血糖値を測定したら、51mg/ldだった場合】

 ・ブドウ糖溶液投与は適応外だが、低血糖であることに間違いはない。

 ・満を持して内科へ電話

 「血糖値が低いのは確かだけど、脳卒中を完全に否定できるわけではないでしょ。脳外科搬送を考えなよ。」

 ・脳外科病院へ電話

 「血糖値が低いのなら低血糖でしょ。脳外科に搬送されても困るよ。」

 ・結局、内科と脳外科が診れる病院へ搬送

 実際には、このように血糖値測定ができなかった時と同じような、たらい回しが同じように起こっているのですね。

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期待されていたものが、期待通りの結果を出せるとは限らない。

YOHの考え

 救命士の処置拡大による血糖値測定とブドウ糖溶液投与は、間違いなく市民サービスを向上させるものです。ブドウ糖溶液投与は特にそのように感じます。しかし、期待通りの成果を出せているかと考えると、府落ちしないというのが私の印象です。

 血糖値測定に最も期待していたことは、病院交渉がスムーズになって、傷病者の負担を減らせることです。

 ・病院が決まらず救急車内で長い時間を過ごす

 ・行ったことがない市外の病院へ搬送される

 このようなことは、傷病者やその家族からすれば大きな負担なのですね。それを劇的に減らすことを期待していたのですが、そこまでの成果を出せてはいません。

 ※幾分かは病院交渉がスムーズになっていることは間違いありません

 これは株式投資においても同じですね。満を持して創設されたジュニアNISAなどは数年で廃止されることが決まったり、期待されたものが期待通りの働きをしてくれないことが多々あるのが株式投資です。

 株式投資において大切なことは、保守的に見積もることです。悪く言えば、期待を持ちすぎると、がっかりすることになるということですね。

 ・岸田政権

 ・市場再編

 このようなことが株式投資において、どのような影響をもたらすのかは、まだまだ未知数です。しかし、過度な期待を求めると株式投資は上手くいかないことがある、ということです。

 新しい情報には敏感になりつつも、過度な期待から自分のスタイルを崩さないことが大切だと私は考えています。ご覧いただきありがとうございました。

 脳卒中については、こちらで記事にしています。

fire-money.hatenablog.com

 救急に関する記事はこちらです。

fire-money.hatenablog.com