令和6年度税制改正大綱
2023年12月14日に令和6年度の税制改正大綱が公表されました。
税制改正大綱は毎年12月に政府から公表され、来年度以降の税制の改正ポイントについて大まかに記載されています。
・個人所得税
・資産課税
・法人課税
・国際課税
・消費課税
・納税環境整備
・関税
令和6年度税制改正大綱についてはこれらについて触れられており、合計121ページで構成されています。
令和6年度分に関して、私は全てについて目を通したわけではないのですが、ざっくりとした印象としては、「それほど大きい改正は無い」という印象です。
・令和6年度税制改正大綱の基本的な考え方
・令和6年度税制改正大綱の具体的内容
今回は令和6年度税制改正大綱について、この2点を中心に触れてみたいと思います。
令和6年度税制改正大綱の基本的な考え方
令和6年度税制改正大綱は2つの大きな問題に取り組むことが明記されています。
・賃上げ
・子育て支援
この2つが柱となっているということです。
現在の日本経済のトレンドは物価高と変わらない収入です。
毎月の実質賃金を確認しても、毎月低下しており、歯止めがかからない状態となっています。
・デフレーションにより物価は高くなっている
・賃金はそれほど変化がない
この結果として、国民の使えるお金が減っているということです。令和6年度税制改正大綱では、これを解消するために策を講じるというのが、基本的な考え方であるということです。
そして、経済を立て直すために欠かすことができないのが、生産者人口の増加です。
現在の日本の人口状態のトレンドは少子高齢化です。
・出生率の減少
・平均寿命の上昇
この2つによって、生産者人口が減少しているということです。これを解消するために政府が打ち出しているのが、「異次元の少子化対策」ですね。
この異次元の少子化対策のひとつとして、税制面での取り組みを今回の税制改正大綱で打ち出しているということです。
令和6年度税制改正大綱の具体的内容
令和6年度税制改正大綱の2つの基本内容を踏まえて、具体的な内容について触れると、主に3つの改正がポイントして挙げられます。
・定額減税
・扶養控除の見直し
・生命保険料控除の拡充
所得減税に関してはこの3つですね。いずれも可処分所得が上がるように制度設計されています。
定額減税
定額減税については、所得税3万円、住民税1万円の計4万円がベースとなっています。
給与所得者に関しては、所得税は令和6年6月に控除が行われ、それで控除しきれなかった分は7月以降に行われることになります。
住民税に関しては令和6年7月から令和7年5月まで間で均等に控除されることになります。
所得税と住民税の控除スケジュールを図にすると以下のようになります。
※個人事業主や公的年金受給者はスケジュールが異なります。
令和6年6月の所得税については、大きく減税される方が多いため、効果を実感することができるでしょうが、それ以降は住民税の均等控除が中心となり、月に数千円と効果を実感しにくいですね。
扶養控除の見直し
扶養控除の見直しについては、児童手当の拡充に伴い、16歳~18歳の扶養控除が減額されることになります。
・所得税 38万円 → 25万円
・住民税 33万円 → 12万円
このように控除額が縮小されることになります。しかし、それに伴って、児童手当の金額が増加するため、実質的な手取りはどの世帯でも増加するように調整がされています。
扶養控除と児童手当の詳細についてはこちらで記事にしています。
生命保険料控除の拡充
生命保険料控除の拡充は、23歳未満の扶養親族がいる世帯であれば一般生命保険料の控除額が4万円から6万円へ拡充されることになります。
注意点としては、合計適応金額は12万円から変更がないということです。
・一般生命保険・・・4万円 → 6万円(NEW)
・介護医療保険・・・4万円
・個人年金保険・・・4万円
このようになりますが、合計金額は14万円にならず、12万円に据え置かれたままという点に注意をしておく必要があります。
YOHの考え
今回は12月14日に公表された令和6年度税制改正大綱の所得税部分について触れてみました。
・賃上げ
・子育て支援
令和6年度税制改正大綱の基本的な考え方はこの2つがベースにあると言ってよいですね。
この2つを実現するために税制を改正することを考えた結果、所得税に関してはいくつかの具体的な案が提示されています。
・定額減税
・扶養控除の見直し
・生命保険料控除の拡充
主な改正については、この3つと言ってよいですね。
この3つはいずれも実質的な手取り金額が増加すると考えてよいですね。
しかし、この3つによって、賃上げと子育て支援が積極的に行えているのかと考えると、難しいのでは、というのが私の印象です。
定額減税は一部の高所得者以外は恩恵を受けることができますが、合計で4万円です。
4万円という金額をどのように考えるかは人それぞれですが、控除方法などを考えると、実感するには乏しい金額です。
また、扶養控除や生命保険料控除の見直しは子育て世帯にとっては、一定の効果がありますが、目を見張るものであるということはありません。
※扶養控除については、児童手当とセットで考えて負担が減るというもので、扶養控除の見直し事態は増税となってますしね・・・
生命保険料控除は生命保険料を多く払っている方に一定の効果があるでしょうが、その恩恵を受けることができる方というのは限られています。
・生命保険料を年間4万円以上払っている
・生命保険、医療介護保険、個人年金保険の合計額が年12万円以下
このような世帯にしか恩恵がないということです。
もちろん、政府の賃上げ、子育て支援というのは税制だけで行われるものではありません。
ハード面とソフト面の両方から行われるものだということです。しかし、税制改正というソフト面だけを見れば、政府の掲げる大きさと比較すると中身が異なっている、というのが私の考えです。
これからの日本では子育て、老後生活などの全てを国が保障してくれるものではなくなっていくということです。
そのため、自分自身の生活は自分自身で考えて資産形成していく必要があると私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
今回の税制改正大綱で触れられている児童手当拡充と扶養控除についての詳細はこちらで記事にしています。
令和5年度の税制改正大綱についてはこちらで記事にしています。
これからの日本では自分自身で資産形成をしていく必要があります。そして、ただただ頑張っても資産形成というのは上手く行きません。