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【わかりやすく解説】令和5年度税制改正大綱からわかる新しいNISA制度の決定事項

令和5年度税制改正大綱

 12月16日に自民党と公明党が取りまとめた令和5年度税制改正大綱が発表されました。

 令和5年度税制改正大綱の具体的内容は以下の7項目から構成されています。

 ・個人所得課税

 ・資産課税

 ・法人課税

 ・消費課税

 ・国際課税

 ・国債課税

 ・納税環境整備

 ・関税

 そして、この7項目の前に記載されているのが、令和5年度税制改正大綱の基本的な考え方です。

 その基本的な考え方の一番最初に書かれているのが、「NISAの抜本的拡充・恒久化について」です。

 そこには、新しいNISA制度が発表されてからの不明点について、どのようになるのかが明記されています。

 ・新しいNISAの不明点の解説

 ・新しいNISA制度でまだ決まっていない事項について

 今回は令和5年度税制改正大綱を基にこの2点について触れてみたいと思います。

新しいNISA制度の不明点

 12月12日に新しいNISA制度の概要発表されましたが、その時点でわかっていたことは大きく4つありました。

 ・一般NISAとつみたてNISAの併用が可能

 ・売却益、配当金は無期限で非課税

 ・年間投資上限は360万円(成長投資枠240万円、つみたて枠120万円)

 ・生涯投資枠は1,800万円、買付残高によって管理される

 この4点が発表時にわかっていたことです。そして、明記されていない部分についてはどのようになるのかはわからない状態でした。

 ・現在のNISA制度との兼ね合い

 ・投資可能商品について

 ・買付残高の考え方

 私はこの3点がはっきりしていないと考えていました。そして、今回発表された令和5年度税制改正大綱にははっきりとしていなかった点の2つが明記されています。

 ・現在のNISA制度との兼ね合い

 ・投資可能商品について

 この2点がはっきりとすることになりました。順番に触れていきます。

現在のNISA制度との兼ね合いについて

 令和5年度税制改正大綱で新しいNISA制度についてわかったことのひとつ目は「現在のNISA制度との兼ね合い」です。

 新しいNISA制度では生涯投資枠が1,800万円と設定されており、すでにNISA制度を使っている場合、どのようになるのかは投資家にとって非常に大きな問題です。

 ・現在の利用状況を生涯投資枠に含める

 ・現在の利用状況を除外して新たに1,800万円の生涯投資枠が設けられる

 この2つでは非課税枠に大きな違いが出るからですね。現在、一般NISAとつみたてNISAをフルに利用している方は、非課税枠を760万円分使っています。(一般NISAのロールオーバー無しの場合)

 ・一般NISA(2014年~2018年)600万円

 ・つみたてNISA(2019年~2022年)160万円

 そして、2023年もつみたてNISAを満額使うと、利用していた非課税枠は800万円になります。(ジュニアNISAは除外しています)

 この800万円を新しいNISA制度の生涯投資枠にカウントされるのであれば、生涯非課税投資枠は1,000万円になります。

 しかし、生涯投資枠にカウントされないのであれば、今までの非課税枠と別に1,800万円分の非課税枠を生涯使えることになります。

 この新たに1,800万円の非課税枠を使うことができるいうのは非常に大きいですね。そして、令和5年度税制改正大綱では、現在使っている非課税枠は新しいNISA制度の非課税枠の外枠で取扱いを継続するとされています。

出典 令和5年度税制改正大綱

 このことから、現在どれだけNISA制度を使っていようが、2024年からはじまることが予想される新しいNISA制度では新たに1,800万円の生涯投資可能枠が与えられると考えておいてよいですね。

 しかし、現行のNISAで使っている非課税期間終了後にどのようになるのかは読み取りにくいですね。

 「現行の取扱いを継続する」ということを考えると、現行のNISA非課税枠が新しいNISAに上乗せされることはなることは無さそうです。

 ・現行の一般NISAは5年で非課税期間が終了して特定口座に移管される

 ・現行の一般NISAは非課税期間終了後、ロールオーバーできるのか

 このあたりは制度がしっかりとした概要を確認する必要がありますね。

投資可能商品について

  令和5年度税制改正大綱で新しいNISA制度についてわかったことの2つ目は「投資可能商品」です。

 新しいNISA制度では成長投資枠とつみたて枠の2つがあります。

 ・成長投資枠 年間240万円(生涯投資可能枠1,200万円)

 ・つみたて枠 年間120万円

 ・合計360万円(生涯投資可能枠1,800万円)

 成長投資枠をつみたて枠についての金額はこのようになっています。そして、その中で投資可能商品については、現行のNISA制度と異なる基準が設けられることになっています。

出典 令和5年度税制改正大綱

 この一文からわかるとおり、現在の一般NISAに相当する成長投資枠について、高レバレッジ投資信託などの商品には投資できないことになります。

 ・現行の一般NISA(年間120万円)・・・レバレッジ投資信託購入可能

 ・新しいNISAの成長投資枠(年間240万円)・・・レバレッジ投資信託購入不可

 このような制度変更がされると考えておいてよいですね。そして、つみたて枠については、特に明記されていませんが、現行のつみたてNISAと同様の制度設計が引き継がれるのであれば、金融庁が認めた長期投資に適した投資信託やETFにしか投資できないということです。

 ・新しいNISA制度ではレバレッジ投資信託などは購入することができない

 投資可能商品については、このように考えておいてよいということです。

概要が見えてきた新しいNISA制度。しかし、不明な点もある。

YOHの考え

 今回は令和5年度税制改正大綱からわかった新しいNISA制度の点について触れてみました。

 ・現在のNISA制度との兼ね合い

 ・投資可能商品について

 令和5年度税制改正大綱からはこの2点については不明点が解消できていると考えてよいですね。

 そして、新しいNISA制度は現在のNISA制度との外枠で考えられているということは、非課税枠を大きく取れる可能性があるということです。

 ・成長投資枠 1,200万円

 ・つみたて枠 600万円

 ・生涯非課税枠 1,800万円

 これは非常に大きいですね。現在のところ、現行の一般NISAやつみたてNISAの非課税枠がどのようになるかはわかりませんが、全てが非課税期間が無期限になれば資産形成にとって、大きな追い風となることに間違いはありません。(おそらくは、一般NISAとつみたてNISAは現行の非課税期間が終了すれば、特定口座に移管されることが濃厚ですが・・・)

 投資可能商品について、レバレッジ投資信託などが除外されることは、投資家にとってそれほど大きな影響はないですね。

 レバレッジ投資信託などは長期投資には不向きな商品設計がされているので、非課税期間が無期限になろうともそれほど影響がないため、特定口座で購入をしてよいからです。

 ・個別株

 ・値動きの大きい他の投資可能商品

 もし、成長投資枠を使って短期間で大きなリターンを得たいのであれば、このようなものを選択すればよいということです。

 令和5年度税制改正大綱からはこのようなことが読み取れます。そして、まだ不明な点もありますね。その中で最もきになるのが、「買付残高」についてです。

 ・生涯投資枠を使い切っていても、売却すれば、生涯投資枠が復活する

 私は現在のところ、このように考えていますが、実際のところどのようになるかはしっかりと決まっていません。

 この買付残高の仕様によって、投資戦略は変わってくるため、ここについてはしっかりと理解しておく必要があります。

 新しいNISA制度の根本的な部分は「貯蓄から投資」という動きを促すものです。そして、短期的にではなく、生涯に渡って資産形成をすることを目的としています。

 新しいNISA制度については、概ね着地点が見えてきましたが、どのように使うかは個々で判断していく必要があります。

 そのためには、制度をしっかりと理解することが必要不可欠だと私は考えています。

 ご覧いただきありがとうございました。

 新しいNISA制度の詳細についてはこちらで記事にしています。

fire-money.hatenablog.com

 新しいNISA制度を理解するには、現行の制度への理解が不可欠です。現行のつみたてNISAについてはこちらで記事にしています。

fire-money.hatenablog.com

 今回は触れていませんが、廃止されるジュニアNISAを使っているのであれば、非課税投資枠はさらに増えていますね。

fire-money.hatenablog.com