経済専門家が新NISAに手を出さない理由
2024年2月23日のヤフーニュースの記事(週間FLASH 2024年3月5日号の要約)で非常に興味深いものがありました。
その記事のタイトルは「新NISA「めんどくさい」は正解!荻原博子氏、森永卓郎氏、楠木健氏ら経済専門家が手を出さない理由」というものです。
内容としては、タイトルに出ている3者が新NISAについて各自の見解を述べるものです。
そして、タイトルのとおり、3者ともが新NISAについては否定的な見解を持っています。
荻原博子氏については、ABEMAの番組でひろゆき氏とNISAについて金融討論したものが非常に有名です。
そして、今回の記事でも同様に新NISAについて様々な見解を語っています。
・経済専門家が新NISAに手を出さない理由
・荻原博子氏の考えのおかしなところ
・新NISAは使わない方がよいのか
今回は「経済専門家が新NISAに手を出さない理由」という記事について、この3点を中心に触れてみたいと思います。
経済専門家が新NISAに手を出さない理由
記事では記者が新NISAは使った方がよいですかと3者に質問し、それを各自が使わない方がよい理由を自身の考えから述べています。
3者のうちでも特に印象的な考えを述べているのが荻原博子氏です。
荻原博子氏の考えを要約したものが以下のようになります。
「新NISAは株価が上がった時には非課税の恩恵を受けることができるが、株価が上がっていく保証は全くない。それなのに、株価が下がった時には何の手当てもない。金融庁は新NISAを長期的に使った際のシミュレーションを掲載しているが、無責任だ。投資の賭博感を覆い隠して国民を駆り立てている。」という意見です。
この荻原博子氏の考えについて、おかしなところがいくつかある、というのが私の印象です。
荻原博子氏の考えのおかしなところ
荻原博子氏の考えとしておかしなところのひとつ目は、「新NISAは株価が上がった時には非課税の恩恵を受けることができるが、株価が上がっていく保証は全くない。それなのに、株価が下がった時には何の手当てもない。」の箇所ですね。
株式投資全般に言えることですが、全ての投資家は株価が下がった時の手当を求めてはいません。
投資対象の価値が下がって資産が減少するリスクを受け入れているからこそ、投資対象の価値が上昇した時の資産が増加するリターンを得ることができることを理解して株式投資をしているのです。
そして、長期的に見れば、資産が減少するリスクよりも増加するリターンが上回っていると信じているものに投資をしているから、そのリスクプレミアムを受け入れているのです。
さらに言うのであれば、株価が下がった時に何の手当も無いことと新NISAを使わないことには何の関連性もありません。
※おそらく、荻原博子氏は特定口座と異なり、NISA口座の損失については損益通算や繰越控除することができないことを「手当がない」と表現しているのでしょうが、損益通算や繰越控除は株価が下がった時の手当とは別問題です。
荻原博子氏の考えとしておかしなところの2つ目は、「金融庁は新NISAを長期的に使った際のシミュレーションを掲載しているが、無責任だ。投資の賭博感を覆い隠して国民を駆り立てている。」という箇所ですね。
ABEMAのひろゆき氏との討論番組でもそうですが、荻原博子氏は株式投資を完全なギャンブルとして捉えています。
・パチンコ
・競馬
・カジノ
このようなギャンブルと同様に考えているということです。確かに株式投資は投資手法によっては十分にギャンブルになり得ることは間違いがないでしょう。
しかし、新NISAを利用するすべての投資家がそのようなギャンブル的なことを新NISAに望んでいるわけではありません。
・長期
・積立
・分散
・低コスト
これらを意識して堅実に資産形成するための有益な制度として、新NISAを利用する投資家も数多くいるということです。
新NISAというのはあくまでも株式投資を有効に活用するための制度であり、それが悪いものになるかは個々の使い方次第だということです。
YOHの考え
今回は「新NISA「めんどくさい」は正解!荻原博子氏、森永卓郎氏、楠木健氏ら経済専門家が手を出さない理由」という記事について触れてみました。
記事で考えを述べている経済評論家の荻原博子氏は株式投資について否定的なスタンスを取っています。
私は荻原博子氏の書籍をいくつか読みましたが、株式投資に否定的なスタンスは一貫しています。
・新NISAに対する逆張り
・普通と異なることを言って注目を浴びる
このような形で一時的に新NISAについて否定的な考えを述べているのではないということです。
本心から新NISAは使わない方がよいと信じているということです。
確かに、この荻原博子氏の考えは現時点で60歳以上の方にとっては一理ある意見だと感じます。
・資産を増やすよりも守るフェーズに入っている
・年金受給で十分に生活をしていける
このような世代のみに特化した考え方であるということです。
荻原博子氏というのは、このような準高齢者から後期高齢者までの層から支持を得ることだけを考えて意見を展開することが仕事になっているのでしょう。
そのため、今から日本の労働力を支える若年層や私のような現役労働者世代に荻原博子氏の考えが届くことはありません。
現在の若年層の金銭事情というのは高齢者が働いていた時とは大きく異なっているからですね。
社会保険料を確認しても右肩上がりに推移しており、今後も増加し続けていくことは明らかです。
今、話題になっている月500円~1000円の子育て支援金など様々な負担が増加していくことになるでしょう。
しかし、平均給与は変化がありません。
ここ30年間、平均給与は450万円前後で推移しています。今年に入ってからは大手企業による賃上げが報道されていますが、あくまでも一部に過ぎないというのが私の印象です。
・中小企業
・個人事業主
労働者の大半を占めるこのような方が賃上げの恩恵を受けることができるのはまだまだ先だということです。
このような現環境下で資産形成していくためには、自分自身で資産形成していく必要があります。
・会社で目一杯働く
・労働に対する適切な賃金が支給される
・会社の給料だけで生活していける
・老後は年金だけで生活をしていける
全ての労働者がこのような人生を歩むことはできなくなっているということです。
私自身、荻原博子氏の考え方全てが間違っているとは思いませんが、恵まれた考え方をする方だな、という印象です。
今の現役労働者世帯は、老後はもちろんのこと、現役時にも金銭的に困窮しない生活を送るためには、「リスクを取って投資をするしかない」ということです。
そして、新NISAを使うことは資産形成において最も有効な手段のひとつだということです。
荻原博子氏とは異なり、新NISA「めんどくさい」は正解!では決してないというのが私の考えです。
ご覧いただきありがとうございました。
荻原博子氏とひろゆき氏の討論番組についてはこちらで記事にしています。
竹中平蔵氏の日本人は90歳まで働くことになる、という考えについてはこちらで記事にしています。
キングコング西野亮廣氏のお金に対する考え方についてはこちらで記事にしています。