個人投資家の証券投資に関する意識調査について
日本証券業協会が毎年行っている調査に「個人投資家の証券投資に関する意識調査」があります。毎年7月に調査が行われ、10月に統計データが公表されます。
・日本の証券口座保有者(20歳以上)
・調査対象人数 5000人
・インターネット調査
このような形で投資家の年収、資産状況、証券の保有状況、投資に関する考え方などの調査結果をまとめています。調査項目は大きく分けて11項目あり、調査人数も多いことから、非常に参考となる資料です。
私は、他の投資家と自分の金融資産保有額や有価証券保有額を比較することに意味は無いと考えています。しかし、自分の資産状況や証券の保有状況がどの位置に属しているのかを知ることは、自分の投資方針の方向性を確認する上で重要だと考えています。
それを知るうえで、非常に参考となるのが、「個人投資家の証券投資に関する意識調査」です。
今回は、この「個人投資家の証券投資に関する意識調査」の統計データの一部について触れて行きたいと思います。
年齢・年収・資産保有状況
証券口座を保有している投資家の年収を年齢別にグラフ化するとこのようになります。
・300万円未満 45.9%
・500万円未満 24.4%
・700万円未満 14.2%
・1,000万円未満 9.4%
・1,000万円以上 6%
全体で見ると、このような年収になります。投資をしている=年収が高く余裕がある世帯と思われがちですが、実際にはそうではないですね。投資家の40%以上が年収300万円と、労働者の平均年収を下回る世帯が占めています。
働き盛りの40~50代で見ても、年収500万円未満が50%以上を占めています。これには、パートタイムジョブの主婦層も含まれているのでしょうが、それを勘案しても、投資をしている=年収が高いとは言えません。
・投資をすることは特別なことではない
・収入が低いからこそ、投資をする
収入の大小に関わらず、リスクを取って資産を増やす方はいるということですね。
金融資産保有額
投資家の金融資産保有額をグラフ化するとこのようになります。(私が最も参考にしている資料です。)
・100万円未満 13.9%
・300万円未満 13.2%
・500万円未満 12.3%
・1,000万円未満 17.4%
・3,000万円未満 25.8%
・3,000万円以上 17.4%
全体で見ると、投資家の金融資産保有額はこのようになります。金融資産保有額1,000万円以下が50%以上です。年代が上がるにつれて、金融資産保有状況が増加していき、60代で一気に増えています。
60代で一気に増えているのは、退職金や保険還付金による一時的なキャッシュフローの増加によるものですね。統計データによると、金融資産保有額の平均は1,611万円です。
給料が上がる働き盛りの40代を見ても、金融資産保有額3,000万円以上は9.5%と10人に1人もいないことがわかります。
・投資をしているのに金融資産が増えない
・SNSでは金融資産1億円以上の投資家が数多くいる
このように焦る必要はないということです。
職業分布
投資家の職業分布はこのようになっています。
・無職、年金のみ 22.4%
・管理職以外の勤め人 22.2%
・専業主婦 、主夫 16.5%
投資家で多い順番はこのようになっています。定年退職してリタイアした方が投資家に多く、公務員は3.7%と非常に低いですね。
私の印象から言っても、この数値は実情に近いと感じます。公務員で証券口座を開設している方は非常に少ないということですね。
・安定した給料
・厚生年金
これらのことから、積極的な資産運用は必要無いと考えておられる方が会社員と比較して多いのが公務員です。
有価証券保有額
投資家の有価証券(株式、投資信託、公社債)の保有状況はこのようになっています。
・300万円未満 51.8%
・1,000万円未満 76.8%
・5,000万円以上 4.5%
投資家でも、4人に1人しか有価証券を1,000万円以上保有していないことがわかります。調査によると、平均保有額が915万円なので、先ほどの金融資産保有額の平均1,611万円と合わせて考えると、以下のようになります。
・平均金融資産保有額 1,611万円
・有価証券保有額 915万円
・預貯金 696万円
これが投資家の平均値ということです。(60歳以上が押し上げている印象はありますが・・・)
YOHの考え
この統計調査は、投資をはじめて間もない人や玄人投資家を混ぜ合わせて出ているデータですが、実情に極めて近いものだと私は考えています。
この統計調査から分かるとおり、金融資産保有額3,000万円以上の投資家は5人に1人もいないということです。現役労働者に限って言えば、10人に1~2人というのが実情ではないかと私は考えています。
前述しましたが、他人と自分の金融資産保有額や有価証券保有額を比較することは、資産運用において本質的ではありません。しかし、自分の資産運用が間違っていないかの確認として、役割を果たしてくれます。
・金融資産保有額が多いということは、資産運用が上手く行っているということ
・有価証券保有額が多いということも、資産運用が上手くいっているということ
資産運用は金融資産保有額と有価証券保有額が増えていくことで、自分の投資方針が正しいものかを確認することができるからですね。
実情や平均を知り、自分の立ち位置をしっかりと確認する。これが資産運用においては大切なことだと、私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
資産運用に関する考え方はこちらを見ていただけたらと思います。
資産1,000万円までの道のりはこちらを見ていただけたらと思います。