年金納付年齢引き上げについての質問
先日投稿した年金納付年齢の引き上げの記事に質問をいただきました。
このような質問をいただいたので、私なりに回答させていただきます。この質問内容の記事はこちらです。
質問者様は年金制度をよく理解されている方ですね。現在の年金制度では60歳で定年退職後、国民年金に加入する義務はありません。加入するかしないかは任意だということです。
そのため、年金法が改正されても定年退職後は任意加入しなければ国民年金納付額は負担する必要はないと考えているということです。
この質問に対しての私の答えとしては、「そうはならない」となります。年金法が改正されて納付年齢が引き上げられれば、現行とは異なり、国民年金は65歳まで強制加入と考えておくべきです。
・何故、65歳まで強制加入となるのか
・納付年齢引き上げの本質的な意味
今回はこの2点について、私の考えを入れながら質問の答えについて答えてみたいと思います。
何故、65歳までの強制加入となるのか
現行のような60歳から65歳までが国民年金の任意加入とならないかは、制度改正の根本理由が財源不足によるものだからです。
現行の60歳から65歳までの国民年金加入は財源不足によるものではなく、加入者を救済する目的で設定されています。
・国民年金の加入状況を満たしていない
・国民年金の受給額を増やしたい
このような方の要望を満たすための設定期間です。
現在の国民年金受給の受給要件は納付期間が10年以上であることです。仮に、60歳時点で8年分しか国民年金を納めていない場合、受給することができなくなります。
こういった方は60歳以降も国民年金に任意加入して2年間納付すれば受給要件を満たすことになります。
また、すでに満額受給の要件(納付期間40年間)を満たしていても、60歳から65歳までの間に国民年金を納めることによって、65歳からの受給金額を増やすことができます。これが、現行の60歳から65歳の国民年金任意加入の状況です。
しかし、今回言われている年金納付期間が引き上げられることは、そういった方の救済措置ではなく、財源不足を解消するための制度改正です。そのため、納付期間が単純に5年間増えるが、受給額は変わらないと考えておいてよいということです。
納付年齢引き上げの本質的な意味
この国民年金納付年齢引き上げの主な理由は年金財源に不安があるからです。そのため、納付額を多くすることによって、財源確保をすることが狙いです。そのために、「国民年金納付年齢の引き上げ」というわかりにくいワードを使っています。
この「国民年金納付年齢の引き上げ」を非常にわかりやすい言葉に言い換えれば、「国民年金を納付している人から一律100万円を徴収する」ということです。
・よくわからんけど年金足りんわ、メンゴメンゴ~、みんな100万円頂戴ね
この国民年金納付年齢の引き上げとは、本質的に捉えるとこのようになるということです。国民年金の現在の掛金は年間約20万円、5年間延長されれば総額100万円となるからです。
もし、このように100万円を追加徴収すると政府が発表すれば、国は大混乱することになるでしょう。それを避けるために、最もらしく言い換えているのが、「納付年齢を引き上げる」というフレーズだということです。
現在の公的年金加入者数は6,725万人となっています。ここから、現在の納付者がどれほどの人数か正確にはわかりませんが、多くの人がこの100万円を追加徴収する対象になっているということです。
仮に、5,000万人が対象だとすると、1人当たり100万円を集めるので、50兆円になります。段階的にこれだけの年金財源を確保することになるということです。
YOHの考え
今回は国民年金の加入年齢引き上げに対する質問について回答させていただきました。
・現在の60歳から65歳の加入は救済措置の意味合いが強い任意の納付期間の延長
・制度改正がなされれば、60歳から65歳までは強制加入となる
このようになるということです。そして、これを分かりやすく言えば、「国民年金加入者はさらに100万円を負担してください」ということです。
実際には現行の納付額で100万円の負担増となるので、私の年代が受給する頃には月々の納付額も増加しているので、100万円以上になっているということです。
私も公務員として働いているので感じることですが、行政組織というのは、都合の悪いことに対しては言い回しを変えてわかりにくくするようにしています。
・国民年金納付年齢を60歳から65歳に引き上げる
これだけでは、どの程度の金額を負担するのかは考えなければわかりません。一方で、積極的にアピールしたいことは大々的に金額を記載します。
・住民税非課税世帯に10万円を配る
・子育て世帯に10万円のクーポンを配る
このような形で金額が誰にとってもわかりやすい見出しを使うということです。年金制度というのは、ほぼ全ての国民が関わることで、非常に大切な事柄です。
しかし、年金制度について学習する機会というのはほぼ無いといってよく、自分自身で学習する必要があります。
今回の納付期間の延長は年金制度の改革としては非常に大きなもので、納税者はもちろんのこと、これから関わるような方も頭に入れておくべき知識です。
・100万円の負担増加に無関心
・100万円の負担増加に対して何も策を講じない
このようなスタンスをとっているというのは、資産形成において非常に危うい立場になる可能性があるということです。しっかりと知識を習得して考えることが、資産形成においては大切だということです。
ご覧いただきありがとうございました。
社会保険料は総額で1億円以上になることもあります。労働者であれば、そのような保険商品に加入しているということです。
年金は受給を遅らせれば受給金額は増加しますが、税負担も増加します。ちょうどよい按排は個人によって異なりますね。
老後2,000万円問題は1日1,700円の負担で解決します。2,000万円というのは途方もない金額ですが、1日1,700であれば現実的な金額ですね。