家計調査年報
2023年9月5日に総務省統計局から2022年版の家計調査年報(貯蓄・負債編)が公表されました。
総務省統計局は全国約9,000世帯を対象として、家計の収入、支出、貯蓄及び負債などの調査を毎月行っています。
2022年における毎月の調査結果のうち、貯蓄と負債についてまとめたものが今回公表されたということです。
・貯蓄の状況
・負債の状況
・世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況
この3編から構成されて30ページほどにまとめられています。
内容としては、名前のとおり統計データをまとめただけのものですが、資産形成をしていく上で非常に参考になるものです。
その中でも、特に抑えておくべきデータがいくつかあるというのが私の印象です。
・貯蓄の状況について
・負債の状況について
今回は2022年版の家計調査年報(貯蓄・負債編)で抑えておくべき統計データについて触れてみたいと思います。
貯蓄の状況
2022年の家計調査年報(貯蓄・負債編)の貯蓄に関して抑えておくべき統計データは以下の2つです。
・貯蓄現在高の平均値は1,901万円で4年連続上昇
・3分の2以上の世帯が平均値を下回っている
順番に触れていきます。
貯蓄現在高の平均値は1,901万円で4年連続上昇
2022年の家計調査年報(貯蓄・負債編)の貯蓄に関して抑えておくべき統計データのひとつ目は「貯蓄現在高の平均値は1,901万円で4年連続上昇している」ということです。
以下の画像も同サイトから引用
このように、貯蓄額の平均は2019年から4年連続で増加しており、今回の調査対象の2022年には1901万円となっています。
※貯蓄とは通貨性預貯金・定期性預貯金・生命保険など・有価証券・金融機関外の5つの資産の合計です。
この1,901万円という貯蓄額は過去最多となっています。
貯蓄の内訳を2019年から比較すると、通貨性預貯金と有価証券が大きく額を増やしていることがわかります。
・2019年の通貨性預貯金 494万円
・2022年の通貨性預貯金 634万円
通貨性預貯金は2019年から140万円増加しており、全体に占める割合も28.1%から33.4%に増加しています。
そして、有価証券(株式等)も金額、割合が大きく増加しています。
・2019年の有価証券 234万円
・2022年の有価証券 294万円
このように、4年間で60万円増加しており、全体に占める割合も13.4%から15.5%に増加しています。
3分の2以上の世帯が平均値を下回っている
2022年の家計調査年報(貯蓄・負債編)の貯蓄に関して抑えておくべき統計データの2つ目は「3分の2以上の世帯が平均値を下回っている」ということです。
このグラフを見てわかるとおり、貯蓄保有額1,000万円以下の世帯割合が非常に多いことがわかります。
・100万円未満 9.7%
・100万円~200万円 5.4%
・200万円~300万円 4.6%
このように抽出していくと、平均値に届いていない世帯割合は68%になり、貯蓄現在高の少ない方に偏った分布になっているということです。
負債の状況について
2022年の家計調査年報(貯蓄・負債編)の負債に関して抑えておくべき統計データは以下の2つです。
・負債現在高の平均値は576万円
・負債保有世帯の平均負債額は1,528万円
順番に触れていきます。
負債現在高の平均値は576万円
2022年の家計調査年報(貯蓄・負債編)の負債に関して抑えておくべき統計データのひとつ目は「負債現在高の平均値は576万円」ということです。
この表からわかるとおり、2人以上世帯における2022年の負債平均残高は576万円となっており、昨年と比較して1.6%の増加となっています。
しかし、負債残高については2019年から確認していくとそれほど変化がないことがわります。
・2019年 570万円
・2022年 576万円
このように、4年間で6万円しか増加していないということです。10年前の2013年から比較していくと増加傾向にはありますが、急激に増加しているということではないですね。
そして、この負債残高の平均が576万円というのはかなり少なく感じますね。
・住宅ローン残債が数千万円ある
このような世帯が一定数いるにも関わらず、負債残高の平均が576万円というのは少なく感じるということです。
これは調査世帯の属性によるところが非常に大きいですね。
・単身世帯
・こどもがいない世帯
・高齢者世帯
このような世帯は住宅ローンを組んでいなかったり、返済が完了しているということです。そのため、負債を抱えていないということですね。
そして、負債残高の平均が576万円であることについては、負債が全くない世帯も含まれています。
負債がある世帯だけを抽出するとその金額は大きく変わってきます。
負債保有世帯の平均負債額は1,528万円
2022年の世帯における負債現在高を負債がある世帯だけに絞って確認すると、負債平均額は1,528万円になります。
上のグラフで確認すると、負債残高がある世帯割合は37.7%で、その平均額は1528万円、中央値は1,231万円となっていることがわかります。
・負債が全くない世帯割合が62.3%
・その負債が全くない世帯を含めた負債残高平均が576万円
・負債残高がある世帯に限って確認すると、負債残高平均は1,528万円
各世帯の負債状況を確認すると、このようになっているということです。
YOHの考え
今回は総務省統計局が2023年9月5日に公表した2022年の家計調査年報(貯蓄・負債編)について触れてみました。
・貯蓄現在高の平均値は1,901万円で4年連続上昇
・3分の2以上の世帯が平均値を下回っている
・負債現在高の平均値は576万円
・負債保有世帯の平均負債額は1,528万円
私が家計調査年報を見て抑えておく必要があると感じたのはこの4つです。
そして、この4つのデータから感じることは、世帯間の金融資産格差が広がっているということです。
・貯蓄をしている世帯は2,000万円以上の金融資産を保有している
・負債保有世帯は1,500万円以上の負債がある
このようなことから世帯間の金融資産格差が広がっていると感じるということです。
実際には、金融資産を多く保有していて、負債もそれなりにある、といった世帯もあるので必ずしも負債残高が多いから経済的に困窮している、とはならないでしょう。
しかし、負債残高が多いのは資産形成上よいことではないですね。
私自身は世帯の状況によっては負債自体はあってもよいものだと考えています。
・負債があるから資産形成ができていない
・何千万の住宅ローンを組むなんて馬鹿げている
このような考え方は持っていないということです。しかし、負債残高を抱えるのであれば、それ以上の貯蓄現在高を保有しておく必要があると考えています。
・住宅ローン残債が2,000万円ある
・住宅の価値が1,500万円
このような状況であれば、貯蓄現在高を500万円以上にしておく必要があるということです。
純金融資産保有額をプラスに保っておくということです。
これができているのであれば、負債残高がある程度あっても資産形成上、それほど悲観的な状況ではないということです。
資産形成において最も避ける必要があるのが、純金融資産保有額がマイナスになることです。
・住宅ローン残債が2,000万円ある
・住宅の価値が1,500万円
・貯金が300万円
このような状況であれば、世帯の純金融資産保有額はマイナス200万円になります。この状況は資産形成において非常に不利な立場になっているということです。
・収入が減る
・仕事をクビになる
・怪我をして働けなくなる
このようなことになった場合、非常に苦しい状況になるからですね。所有している住宅を売却しても借金が残ることになるからです。
そして、さらに危険なのが世帯の純金融資産保有額はマイナスになっていることを把握できていないことです。
・高額の住宅ローン残債がある
・日々の生活はカツカツだができている
・貯金が100万円ある
このような状況で貯金がある程度あることに安心している状況が最も危険だということです。
2022年の家計調査年報(貯蓄・負債編)の統計データを確認すると、世帯間の金融資産格差は広がっており、これからは格差が加速していく可能性が高いと私は考えています。
サラリーマン世帯で貯蓄保有残高を増やしていくことは簡単ではありません。しかし、負債を増やさないことはどの世帯であっても可能です。
・コツコツと少しずつ資産を増やしていく
・負債を最小限にして純金融資産保有額を常にプラスに保っておく
資産形成においてはこの2つが大切だと私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
純金融資産500万円には年収や属性に関係なく、誰でも到達することができますね。
世間一般の普通を求めすぎてしまうと、純金融資産を増やしていくことは難しいことになりますね。
野村総合研究所の金融資産ピラミッドについてはこちらで記事にしています。