野村総合研究所の世帯の純金融資産保有額最新データ
2023年3月1日に野村総合研究所から、2021年の日本における純金融資産額保有別の世帯数と資産規模を各種統計から推計された調査結果が公表されました。
・国税庁統計年報書(国税庁)
・全国消費実態調査(総務省)
・人口動態調査(厚生労働省)
調査結果は、このような統計データと野村総合研究所が富裕層に行ったアンケート調査などを集計した統計データを基に作られています。
・超富裕層(5億円以上)
・富裕層(1億円以上5億円未満)
・準富裕層(5,000万円以上1億円未満)
・アッパーマス層(3,000万円以上5,000万円未満)
・マス層(3,000万円未満)
世帯の純金融資産保有額をこの5つの階層に分けて、図解で示したものが調査結果の総表として示されています。
自分の世帯がどの層に属しており、他の世帯と比較して純金融資産が多いのか少ないのか、ということは資産形成をしていく上でひとつの目安として知っておくことは非常に大切です。
・純金融資産保有額とは
・2021年の世帯の純金融資産保有額の解説
・2019年と2021年の世帯の純金融資産保有額の比較
今回はこの3点を中心に世帯の純金融資産保有額について考えてみたいと思います。
純金融資産保有額とは
純金融資産保有額とは、世帯として保有する金融資産の合計額から負債を差し引いた金額です。
・預貯金
・株式
・債券
・投資信託
・生命保険
このようなものが金融資産として挙げられます。そして、負債とは借入金のことですね。
・住宅ローン
・カードローン
・カーローン
このようなものが負債として挙げられます。
純金融資産保有額で注意すべきことは、純金融資産保有額の大小と暮らしぶりは必ずしも一致しないということです。
【A世帯】新築一戸建に住んでおり、車を複数台所有しているが住宅ローンがあり、貯蓄などは無い
【B世帯】賃貸住宅に住んでおり、車を所有していないが貯蓄は潤沢にある
この2つのケースの場合、暮らしぶりはA世帯の方がよいですが、純金融資産保有額が多いのはB世帯だということです。
このように、純粋な資産からローンなどの借金を差し引いた金額が純金融資産保有額ということになります。
この純金融資産保有額というのが、世帯がお金持ちがどうかを正確に判断するひつとの数値だと私自身は考えています。
次に、野村総合研究所が発表した2021年の純金融資産保有額について触れていきます。
2021年の世帯の純金融資産保有額の解説
野村総合研究所が公表した2021年の純金融資産保有額を階層別に表した図は以下のようになっています。
野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)
・超富裕層 0.1%
・富裕層 2.5%
・準富裕層 6%
・アッパーマス層 13.4%
・マス層 77.8%
各層の割合はこのようになっています。
・アッパーマス層以上(純金融資産保有3,000万円以上)・・・22%
・マス層(純金融資産保有3,000万円未満)・・・78%
資産形成という点からザックリと分けるとこのようになりますね。
大半の世帯の純金融資産保有額がマス層の3,000万円未満となっていることからも、ここから上の層に行くことができていれば、十分に資産形成ができている世帯と考えてよいということです。
次に、2019年と2021年の世帯の純金融資産保有額について、詳細に比較をしていきます。
2019年と2021年の世帯の純金融資産保有額の比較
2019年と2021年の世帯の純金融資産保有額の図解を比較すると以下のようになります。
野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)
それぞれの層について、数字が異なっているので、まずは階層別に世帯数のみを抽出をして比較をしていきます。
最も注目すべきは、準富裕層の世帯数が減少数と富裕層の増加数が似通った数になっていることです。
・準富裕層・・・16.4万世帯減少
・富裕層・・・15.5万世帯増加
この調査結果から一概に言うことはできませんが、アッパーマス層が増加していることからも、2019年に準富裕層だった世帯が2年間で資産を増加させて、富裕層に到達したケースが多いと推測できますね。
次に、階層別に純金融資産保有額を比較していきます。
階層別に2019年と2021年を比較すると、どの層も2019年と比較して純金融資産額が増加していることがわかります。
このように確認すると、純金融資産保有額が多ければ資産を増加させやすいことがわかります。
・アッパーマス層以上は世帯数が1,200万世帯で56兆円増加させている
・マス層の世帯数は4213万世帯で22兆円しか増加させることができていない
このようになっているということです。
そして、各階層の純金融資産保有額合計と世帯数を割ったものが以下の表になります。
・超富裕層 11.1億円 → 11.6億円
・富裕層 1.9億円 → 1.8億円
・準富裕層 8,100万円 → 7,900万円
・アッパーマス層 4,300万円 → 4,400万円
・マス層 150万円 → 160万円
2019年と2021年の各階層の世帯の平均純金融資産保有額はこのように推移しているということです。
・富裕層
・準富裕層
この2つの階層は平均純金融資産保有額が減少していますが、これはこの層の世帯が純金融資産を減らしているということではないと私は考えています。
・アッパーマス層から準富裕層へ上がった世帯が増加した
・準富裕層から富裕層へ上がった世帯が増加した
このようなことによって、平均純金融資産保有額が一時的に引き下げされたことによって起こっていると考えられるということです。
YOHの考え
今回は野村総合研究所の世帯の純金融資産保有額の調査結果について、2019年と2021年分の比較をしてみました。
この調査結果の比較から私が最も感じたことは「金持ちしか勝たん!」ということです。
・全世帯の約80%が純金融資産保有額3,000万円未満のマス層
・全純金融資産保有額1632兆円のうち、622兆円を上位8.6%の準富裕層以上が保有している
全体の純金融資産保有と世帯数を比較すると、このようなことがわかります。
・アッパーマス層以上は世帯数が1,200万世帯で56兆円増加させている
・マス層の世帯数は4213万世帯で22兆円しか増加させることができていない
そして、このようなことから、純金融資産保有額が多い階層であればあるほど純金融資産保有額が伸びがよいということです。
このことからわかることは「資産を多く保有していれば効率的に資産を増加させることができる」ということです。
・100万円を1,000万円にする
・1億円を1億1,000万円にする
この2つを比較した場合、「1億円を1億1,000万円にする」方が遥かに難易度が低いということです。
そのため、お金を持っている世帯とそうではない世帯の格差が広がっているということです。
この調査結果は、2021年のものなので、2023年の現在ではさらに格差が広がっていると考えておいてよいですね。
最も興味深いのはこの表で、アッパーマス層の純金融資産保有額の平均は4,400万円以上あるのに対して、マス層は160万円しかありません。
・アッパーマス層は準富裕層に近い世帯が多い
・マス層はアッパーマス層に近い世帯が少ない
このように読み取れるということです。ここの純金融資産保有額の格差が非常に大きいということですね。
多くの世帯にとって資産形成というのは地味で地道に進めていくものです。
・1年間で3,000万円増加させる
・1年間でマス層から準富裕層になる
このような資産形成は現実的ではないということです。
資産形成をはじめた直後は資産の増加を感じることができないほど緩やかなものでよいのですね。
・コツコツと貯金をする
・十分な貯金ができればリスク資産を無理のない範囲で買っていく
このようなことを長く地道に続けることで、多くの世帯はマス層から上の階層へ行くことができるのですね。
そのためには、しっかりとした手順を踏んで資産形成をすることが必要だと私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
野村総合研究所の純金融資産保有の図解でマス層は一括りになっていますが、実際にはマス層は2つに分けて考えた方がよいですね。
私自身は誰もが金融資産5,000万円に到達することができると考えています。その方法については、こちらで記事にしています。
資産形成において、純金融資産保有額が0円でも焦る必要はないですね。純金融資産保有額0円でも資産形成においては有利な立場にいるからです。