NYダウが1,200ドル以上の下落
9月13日の米国株式市場でダウ工業株30種平均が1,276ドルの反落したことは、世界の株式市場に大きな影響を与えました。
・KOSPI(韓国総合株価指数) 2.41%下落
・日経平均株価 2.78%下落
・上海総合指数 0.8%下落
それを受けた9月14日のアジア圏の代表的な株価指数を確認しても、軒並み下落していることがわかります。日経平均は一時800円以上も値を下げていたことがニュースで取り上げられていたことからも、事の大きさがわかります。
株価原因の大きな原因は、米国消費者物価指数の上昇幅が予想を上回ったことです。
この図を見てわかるように、米国消費者物価指数は今年に入ってから8%以上の上昇を続けており、これは異常事態と言ってよい状態です。
・米国で物価が上昇している(インフレが加速している)
・利上げによって、市場に出回る資金を減らす(利上げすれば、銀行預金や債券購入が増える)
・市場にお金が出回らないので、企業がお金を調達しづらくなる
・企業業績が落ち込む
このようなことが予想されるため、株式を現金に換える動きが加速してた結果、米国株式市場は大幅な株安に見舞われたというのが、今回のNYダウ大幅下落の経緯です。
米国の経済政策はインフレ抑制が第一
米国はもともとインフレを非常に上手くコントロールしている国です。過去のインフレ率を見ても、狙い通りの毎年2%ほどのインフレを継続することができています。
経済状況が落ち着いてきた1985年からのインフレ状況を見ても、5%を超えるようなインフレというのは起きておらず、非常に安定したインフレを継続させていることがわかります。しかし、今年に入ってからの米国のインフレは過去にないほど加速しています。
しかし、今年に入ってから米国のインフレは異常なほど加速しています。
今年に入ってからは毎月7.5~9.1%の間のインフレ率が継続していることがわかります。日本でも現在、2%ほどのインフレが起きており、生鮮食品や燃料費の高騰などがニュースになっていますが、米国ではその4倍程のインフレが起きているということです。
そして、政府が行うインフレ対策は金融引き締めが基本です。
・政策金利の引き上げ
・預金準備率の引き上げ
・中央銀行の資産圧縮
このようなことで、とにかく市場に出回るお金を減らすことが最も効果的だからです。そして、現在の米国としては、消費者物価指数の上昇を抑えることが一番の経済政策であると考えています。
・インフレ対策の強化は家計や企業に痛みをもたらす
8月末に開催されたジャクソンホール会議でパウエルFRB議長はこのような発言を行いました。
・インフレ抑制が最優先課題
・その過程で各種株価指数が下落しても構わない
・企業業績悪化によって家計が苦しくなることはしょうがない
ザックリと言ってしまえば、このような考えを公表したということです。この公表を受けた際もNYダウは1,000ドル以上下落しました。
そして、今回の消費者物価指数の上昇を受けたことによって、短期間で2度も1日で1,000ドル以上下落したことになります。
ここから示されることは、米国金利は高止まりする可能性が極めて高いということです。現在の米国金利は高水準にあり、このままの高金利が継続することはないだろうと考えられていたのが、見直す必要が出てきたということです。
YOHの考え
今回の米国株式市場の大幅下落は限定的なものではなく、長引く可能性があります。
・消費者物価指数の改善には時間がかかる
・利上げがどこまで行われるのかは不透明
このようなネガティブな要素があるからですね。しかし、長期的に見れば、米国のインフレは必ず抑制されるでしょうし、株価が下がり続けるということもありません。
1年後にはどのようになっているかは分からないが、この状態が10年間続くことはないということです。
この状態で難しい舵取りを迫られるのは、短期売買やスイングトレードをしている投資家です。
・日々大きく変動する株式市場
・不安定な状況がいつまで続くかわからない
利益を上げるためには、このような状況で上手に立ち回る必要があるということです。しかし、長期投資を前提としている投資家にとって、すべきことはほとんどありません。
・淡々と積立投資を継続する
・状況を読んでの売買を行わない
この2つを守るだけでよいということです。株式市場には様々なリスクがありますが、今回の米国株式市場の大幅下落はいずれは解消されることがわかっている耐えるべきリスクであるということです。
・世界大恐慌
・リーマンショック
このような先の見通せなかったリスクというのは、耐えることが非常に難しいリスクですが、今回の大幅下落はそうではないということです。
株式投資というのは、大きなリターンを得ることができる代わりに、一定のリスクを受け入れる必要があります。それは、時間をかければ勝つ可能性が極めて高いとされている長期のインデックス投資も同様です。
・短期間で資産が大きく目減りする
・数日で年収の半分が吹き飛ぶ
このようなことは長期のインデックス投資でも十分に起こり得ることだということです。そのリスクは株式投資をしている以上は耐えるべきリスクだということです。
・上昇局面だけ資産投下する
・元本を確保しつつ資産を増加させたい
このような都合のよいことは不可能だということです。どのような株式投資においても、一定のリスクは存在し、耐えるべきリスクを耐えることができるからこそ、他の人よりも大きなリターンを得ることができるのだと、私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
株式投資には様々なリスクがありますが、投資手法によって、リスク分散できる場合があります。長期投資ではリスク分散を使うことができますね。
株式投資のリスクについて分かりやすく書かれているのが、敗者のゲームです。
株式投資のリスク分散として触れられることがあるのが債券です。債権をポートフォリオに組み込むことについては、こちらで記事にしています。