米国株式の下落
2022年から米国株式市場は我慢の展開が続いています。
昨年を振り返れば、ダウ平均株価は8週連続で値を下げることが起こっており、これは歴史の長い米国株式市場を振り返ってみても1度、1932年の世界恐慌の時だけです。
今年に入ってからはいくぶんか相場環境はよくなっていますが、昨年の巻き返しをしているという感じではないですね。
多くの銘柄は下がった値を戻すことができていないということです。
しかし、違った見方をすれば値を下げている個別銘柄やETFなどは人によっては購入のチャンスとなっているということです。
・個別銘柄を中心に株式投資をしている
・長期投資を軸としつつ、個別銘柄の把握に余念がない
このような投資家にとってはチャンスなのですが、長期のインデックス投資だけをして個別銘柄と距離を置いている投資家にとっては悩ましい状況だということです。
特に今の米国株式市場の下落はNasdaq100を中心とするハイテク株が大きく値を下げています。
Nasdaq100をベンチマークとしているETFにQQQがあり、私の場合、これを購入するか悩んでいるということです。
QQQの現在価格は290ドル付近、最高値が370ドルを超えていたことから考えると30%ほど値を下げています。この290ドルという価格は2020年9月ごろと同水準です。
ここから割安と判断する投資家は少なくないというのが私の印象です。そして、インデックス投資を投資の軸としている私も購入を検討しています。
・QQQについて
・インデックス投資の前提
・インデックス投資の前提を考えれば購入するべきではない
・原則に従うことだけがよい資産運用とは言えない
今回はこ4点を中心に、値の下がったQQQを購入するかについて考えてみたいと思います。
QQQについて
まずはQQQについて軽く触れておきます。
QQQはNasdaq100に連動した投資成果を目指すことを目的としているETFです。
Nasdaq100は、Nasdaqに上場しているうち、金融企業を除いた時価総額が大きい約100銘柄を集めた指数ですね。
・アップル
・マイクロソフト
・アマゾン
・エヌビディア
・テスラ
Nasdaq100の上位構成銘柄を確認するとこのような企業で占められています。
・純資産総額 1570億ドル
・経費率 0.2%
・利回り 0.88%
・基準価格 298ドル
2023年1月29日時点での主なデータはこのようになっています。
直近5年間のチャートを見てもきれいな右肩上がりであることがわかります。そして、VOOのパフォーマンスを一貫して上回っていることがわかります。
しかし、純資産額についてはVOOに劣後しています。その理由は、銘柄数、ボラティリティ、経費率、分配金などの面で長期投資にはやや不向きだからですね。
そのため、QQQは長期投資のコアに据えるのではなく、長期投資のサテライト的であったり、中短期的に保有するようなETFという見方が強いということです。
インデックス投資の前提
QQQの特性を踏まえて、資産投下するかどうかは、インデックス投資についての共通認識を抑えておく必要があります。
・株式市場や株式の値動きを読まない
・割安、割高を意識せずどんな時も同じ金額を定期積立
・短期~中期的なリターンは望んでいない
・配当金よりも成長性を重視
・同じリターンであるならより分散されているものを選択する
個別に挙げるとキリがないですが、インデックス投資についての共通認識とはこのようなものですね。
今回の米国株式市場の下落のように、SNSやマスメディアで注目されるのは株式市場の値動きや現在価格です。
・今の市場は割安なのか
・この株式は割高なのか
個別銘柄に資産投下する投資家はこの判断を非常に重要視します。購入時株価とパフォーマンスにははっきりとした相関性があり、割安で購入することが投資成績の明暗を分けるからですね。
このグラフを見ても、株価が割安かを判断する指標のひとつであるPEレシオが低い時ほど5年後のリターンが優れていることがわかります。
これは5年後のリターンですが、短期的に見ればこの差はさらに広がるということです。
しかし、インデックス投資は市場の値動きや現在価格の判断を放棄した投資手法です。長期的に見れば購入時の株価が高くともパフォーマンスに与える影響が小さくなるからですね。
・資産投下する指数が右肩上がりかどうか
インデックス投資家にとって判断することはこれだけです。指数が右肩上がりなのであれば、現在価格が最も割安であるという考え方です。
これを判断することができればあとは、淡々と積立をするだけだということです。
インデックス投資の原則に従えば購入すべきではない
今回の米国株式市場の下落の要因のひとつであるハイテク株の下落によって、Nasdaq100をベンチマークとしているQQQは大きく値を下げています。しかし、インデックス投資の原則に従えば購入すべきではないですね。
インデックス投資は株式市場や個別銘柄の下落に左右されるような投資はしてはいけないからです。
・株価の上昇
・株価の下落
このようなことを考えずに決まった周期で同じ金額を淡々と積立ていくことによって、長期的に右肩上がりのパフォーマンスを得ることがインデックス投資の目的だからですね。
・株価が高い時は割高で購入してしまった
・株価が安い時は割安で購入できた
インデックス投資家にとって、このような割安か割高かの判断は投資期間が終了した何十年と先に結果としてわかるものだということです。
先に割安か割高かを判断して動きを決める短期投資家とは判断基準の前提が違っているということです。
その原則に従うのであれば、今の株価を判断して資産投下することはすべきではないということです。
YOHの考え
私はインデックス投資を中心に株式投資をしており、投資信託がメインでETFはほとんど所有していません。
そこには投資信託で全米株式インデックスファンドやS&P500インデックスファンドを保有しておけばよいという考えがあるからですね。
・全米株式インデックスファンドにNasdaq100関連銘柄は多分に含まれている
・S&P500にもNasdaq100関連銘柄は多分に含まれている
これならば、個別にNasdaq100関連銘柄を個別に保有する必要がないと考えているということです。しかし、今回のような大きく値を下げているQQQは非常に気になります。
・長期的に見て右肩上がり
・長期的に見て成長していくことは明らか
Nasdaq100に関してはこのように考えているからですね。それならば、長期保有を前提として保有してもよいのかな、という気持ちがあるということです。
ポイントとしては、余裕資金で購入できるかということです。
・インデックス投資を継続するだけの余裕資金がある
・QQQを購入後、さらに値を下げても保有するだけの資産的余裕がある
これならば、サテライト的に購入してもよいのではというのが私の考えです。インデックス投資を間違いなく継続できるのであれば、購入しても支障はないからですね。
・余裕資金がない
・インデックス投資の積立額を減らして購入する
逆に言えば、このような方は値が下がっているからといって、QQQを購入すべきではないですね。
インデックス投資家の共通認識として大切なことは、インデックス投資の前提を継続することです。
私自身、インデックス投資を中心に資産形成していますが、原則を守れるのであれば、多少は逸脱してもよいと考えています。
割安と判断して個別銘柄を購入するのは金銭的な部分をクリアしていれば、気持ちの部分とどのように折り合いをつけることができるかということだと私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
今回紹介しているQQQはSBI証券などのネット証券では手数料が無料で購入できます。
インデックス投資での資産形成の中心は米国株式市場への投資になりますね。
米国株式市場への資産投下としておすすめなのは投資信託のSBI・Vシリーズですね。