iDeCo
会社員や公務員などのサラリーマンが資産形成で取り組みやすいのはiDeCoですね。
・少額からはじめることができる
・掛金が控除対象となる
・給料天引きで積立することができる
iDeCoにはこのような制度設計がされているからですね。
特に、節税対策が限られているサラリーマンにとって、「掛金が控除対象となる」という効果は非常に大きいですね。
・14.4万円 × 30%(所得税・住民税) =4.32万円
公務員のボリュームゾーンで言えば、年間これぐらいの金額が節税できることになります。
しかし、iDeCoにはいくつかのデメリットも存在します。
・始めると月々の積立投資をやめることができない
・積立金は60歳まで引き出すことができない
原則的にこのようなデメリットがあります。
そして、このデメリットがあるために、iDeCoをすることに踏み切れない方がおられるということです。
・生活費が増加すれば積立投資をする余裕がなくなるかもしれない
・年収が安定していないので積立投資を続けることができるかわからない
・60歳まで引き出すことができないのが不安
このような理由からiDeCoをすることに踏み切ることができないということです。
このような不安に共通していることは、現在の年収で株式投資をすることに不安があるということです。
しかし、実際にはiDeCoは年収がそれほど高くなくともすることができると私は考えています。
・iDeCoについて
・iDeCoをすることができる年収とは
今回はiDeCoの制度設計を踏まえて、どれぐらいの年収であればサラリーマンがiDeCoをすることができるのかついて触れてみたいと思います。
iDeCoについて
簡単にiDeCoについて触れておきます。
iDeCoという制度は自分で一定額を拠出して資産運用していく金融制度です。
受取りなどを考えると非常に複雑ですが、はじめるに当たって覚えておくことはそれほど多くはありません。
・掛金は月々1.2万円~6.8万円
・運用益は非課税
・掛金は所得控除となる
・60歳まで資金拘束される(受取は60~75歳・2022年4月から)
基本的に抑えておくことはこの4点ですね。iDeCoの税制優遇は所得税率によって決まります。最も優れている点は掛金が所得控除の対象となる点です。
会社員や公務員の所得税率のボリュームゾーンである20%で計算すると、43,200円の税制優遇を受けることができます。
・144,000(年間掛金)×30%(所得税20%、住民税10%)=43,200円
これが積立をするだけで減税されるということです。30年間続くとすると、1,296,000円分の税制優遇になります。会社員や公務員にとっては非常に大きな金額です。
iDeCoでは積み立てる金融商品を選択する必要がありますが、その金融商品については、金融機関ごとに異なっています。
・株式
・元本保証の預金型
このような金融商品の中から、自分で選択する必要があるということです。
金融商品選択のポイントとしては、元本保証型の預金商品は選ばない方がよいですね。
その理由は、iDeCoは長期間大きい金額をするほど税額控除の効果を受けることができます。また、元本保証型の商品を選ぶと運用益が非課税であるメリットを生かすことができないからですね。
そのため、株式投資の金融商品を選ぶことが本質的です。また、iDeCoは年金を管轄している厚生労働省が主体です。NISAと混同されますが、NISAは金融庁が主体となっています。
少しややこしく感じるかもしれませんが、サラリーマンがiDeCoの掛金について抑えておきたいのは以下の点です。
・会社員 2.3万円(年間
・公務員 1.2万円(年間14.4万円)
掛金の上限はこれだけになるということです。そして、月々の掛金の最低金額は0.5万円(年間6万円)となります。
出典
iDeCoをすることができる年収とは
サラリーマンの掛金は年間6万円~27.6万円ということになります。
そのため、上限まで拠出することを考えるのであれば、年間27.6万円を捻出すればよいということです。
この年間27.6万円を捻出するというのは、どれぐらいの難易度であるかを確認していきます。
総務省統計局の調査によると、令和5年7月の2人以上世帯における家計の平均支出は28.1万円となっています。
この月28.1万円というのは、ほぼ平均的な支出額と考えてよいですね。
そのため、平均的な2人以上世帯であれば、この12倍の金額が年間の総支出となります。
・28.1万円 × 12か月 = 337万円
ここにiDeCoの拠出額である27.6万円を足すと、iDeCoを満額拠出するには、年間364.6万円の収入が必要だということです。
手取りで年間364.6万円というのは、世帯の状況によって変わるでしょうが、年収にして概ね450万円ほどが必要になります。
450万円というのは、給与所得者の平均年収とほぼ同じ金額ですね。
令和2年の厚生労働白書によると、給与所得者の平均年収は433万円となっています。
図表1-8-2 平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)|令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-|厚生労働省
このようなことから考えると、平均年収を得ることができているのであれば、iDeCoを満額拠出することは可能だということです。
実際にはもっと少ない年収でも可能
年収450万円あればiDeCoを満額拠出することは可能ですが、実際にはもっと少ない年収であっても、iDeCoの満額拠出をすることは可能であるというのが私の印象です。
その理由は、消費支出は世帯の工夫によって削減できる項目があるからですね。
総務省統計局の家計調査によると、2人以上の消費支出とその内訳は上の表のようになっています。(※消費支出が24.9万円となっているのは、家賃を除いた金額だからです。)
地域の状況よって異なるでしょうが、ざっくりと見た感じでは、世帯の取り組みによって削減できる箇所がありますね。
・食費 8.7万円
・交通・通信費 4万円
・教養・娯楽 2.8万円
・その他の消費支出 4.2万円
私であれば、このあたりは削減できると感じます。
・食費 1万円
・交通費 1万円
・教養・娯楽 0.5万円
・その他の支出 1万円
・合計 3.5万円
これぐらいは世帯の工夫によって削減できるのではないでしょうか。そして、このように月の支出を3.5万円削減できるのであれば、iDeCoを満額拠出するハードルは下がることになります。
・28.1万円 - 3.5万円 = 24.6万円
・24.6万円 × 12か月 = 295.2万円
・295.2万円 + 27.6万円(iDeCo満額拠出額) =322.8万円
このようになり、手取りで323万円あれば、iDeCoを満額拠出できることになります。
手取りで323万円というのは、年収で考えると大体400万円となります。
・2人以上世帯で年収400万円あればiDeCoを満額拠出することは可能
このように考えられるということです。
YOHの考え
今回は、iDeCoを満額拠出することができる年収について考えてみました。
世帯の状況によって異なるでしょうが、年収にして概ね400万円あればサラリーマンのiDeCo掛金の上限である月2.3万円(年間27.6万円)を拠出できるのではないか、というのが私の印象です。
しかし、この年収はあくまでも目安であるということです。
・居住地
・属性
・暮らしに必要な支出
このあたりの支出は世帯の状況によって大きく変わる可能性があるからですね。そのため、年収が400万円を超えているからといって、必ずしもiDeCoを満額拠出できるわけではありません。
仮に、私が夫婦2人で生活していて、年収400万円であればiDeCoを満額拠出することはないですね。
・iDeCoよりも貯蓄額を厚めにしておく
・iDeCoは月1万円拠出
・年収が上がれば拠出額を増やす
このように考えるということです。
iDeCoというのは、掛金が控除対象となり、サラリーマンにとって数少ない節税制度ではありますが、しているからといって現状の生活状況がよくなるわけではありません。
・日々の生活費
・貯金
このようなものの方が優先度は遥かに高いということです。
・食費を極限まで削減してiDeCoを満額拠出する
・貯金が十分にできていないがiDeCoを満額拠出する
このようなiDeCoの使い方は避けた方がよいということです。
しかし、収入が増加する分だけ、お金をじゃぶじゃぶと使っていては、いつまで経ってもiDeCoをすることができないということも頭に入れておく必要があります。
・収入に応じた生活ができている
・貯金が十分にできた
このような状況を作ることができて初めてiDeCoははじめるものだということです。
そして、そのiDeCoを満額拠出することは年収400万円あれば可能である、というのが私の考えです。
ご覧いただきありがとうございました。
iDeCoと民間保険商品の比較についてはこちらで記事にしています。
新NISAとiDeCoについてはこちらで記事にしています。
iDeCoの最適な受取り方についてはこちらで記事にしています。