1人4万円の定額減税
政府は2023年11月2日に経済対策として、ひとり当たり4万円の定額減税を決定しました。
定額減税の主な理由としては、税収の還元ですね。日本の税収は2010年頃から右肩上がりに増加しており、特に2020年からの顕著に増加しています。
そして、現在の令和5年の一般会計税収は69.4兆円となっています。これは、予算額なので、決算額を考えると70兆円を超えるほどの税収があるということです。
現在は実質賃金の低下や物価高などによって、国民の生活が苦しくなっていることから、税収の一部を国民に還元するということです。
そして、どのように還元するのかと言えば「ひとり当たり4万円を基本として定額減税方式」で還元することになります。
・住民税非課税世帯
・住民税均等割のみ負担世帯
これらの世帯に対しては世帯あたり10万円の給付(住民税非課税世帯にはすでに決定している3万円給付と別に7万円で計10万円)を行うことになりますが、そうではない大多数の世帯には定額減税で還元するということです。
今の段階では定額減税によって、どのように還付されるのかは正式に決定していませんが、ややこしい還付方法になりそうだ、というのが私の印象です。
最もややこしいと感じるところは、「所得税が低い世帯にどのように還元するのか」ということです。
・定額減税方式の問題点について
・所得税額の低い世帯であれば、さらに恩恵を感じにくい
今回は、2023年11月2日に経済対策として決定したひとり当たり4万円の定額減税について、この2点を中心に触れてみたいと思います。
定額減税方式の問題点について
今回決定した定額減税の問題点として挙げられるのが「恩恵を感じにくい」ということです。
今回の給付は経済対策であるため、できるだけ早く恩恵を受けることができる形にする必要があります。
しかし、定額減税方式ではそれが感じにくいということです。
額面年収600万円(課税所得300万円)の独身世帯であれば、月々の給料表は以下のようになります。
※状況によって各金額は異なります。
このような世帯であれば、定額減税が開始されるとされている2024年6月の所得税が1.6万円、住民税が1万円減税されることになります。
このようになり、手取りが2.6万円増加することになります。そして、所得税はまだ、3万円の減税されていないので、次の月に残りの1.4万円が減税されることになります。
これで、年収600万円の独身世帯への定額減税は完了となります。
・2024年5月の手取り 28.9万円
・2024年6月の手取り 31.5万円
・2024年7月の手取り 30.3万円
手取りで見るとこのようになります。私の感覚になりますが、これは4万円の減税による還付を受けていると感じにくいですね。
・ちょっと残業が多かったかな
・誤差の範囲
これぐらいの感覚となり、「そういえば4万円の減税っていつするの?」と感じるということです。
所得税額の低い世帯はさらに恩恵を感じにくい
そして、所得税額が低い世帯であれば、なおのこと減税の恩恵は感じにくいですね。
・扶養控除対象のこどもが多い
・配偶者が扶養内で働いている
・控除が多い
このような世帯で課税所得が5%(0円から194万円)や10%(195万円~330万円)であれば、月々の所得税額は数千円になります。
・5人世帯(20万円の減税・所得税15万円・住民税5万円)
・月々の所得税額は5,000円
このような世帯であれば、2024年6月から数カ月は月々の手取りが1.5万円増加し、その後の2年間ほどは月の手取りが5,000円増加するだけとなるということです。
YOHの考え
今回は2023年11月2日に経済対策として決定した、ひとり当たり4万円の定額減税について触れてみました。
・物価高
・実質賃金の減少
このようなことによって、国民の生活が苦しくなっているため、増加している税収の一部を還元するというのは、経済対策として適切です。
国民が使うお金が増えることは、消費の増加を促し、何よりの経済対策となるからですね。
そして、ひとりあたり4万円という金額についても非常に大きなものであると感じます。
家族の多い世帯であれば、住民税非課税世帯は世帯あたり10万円の給付よりも高額となるからですね。
しかし、定額減税方式で還元することについては、疑問が残る、というのが私の考えです。
その最も大きな理由は「恩恵を感じにくい」ということです。特に、例に示したようなケースであれば、月々1万円~2万円ほどの減税が数カ月続いたとしても、ありがたみは少ないですね。
・誤差の範囲
・大きな消費を考えるほどの金額ではない
このように感じるということです。
このひとり当たり4万円の定額減税については、やることが決定しただけで、具体的な中身はこれから決められていくことになります。
私個人としては、恩恵が感じられるほど大きな金額を一括して還付してもらえるような制度設計にして欲しいと感じますが、現段階では難しそうというのが私の考えです。
ご覧いただきありがとうございました。
住民税非課税世帯の要件などについては、こちらで記事にしています。
所得税の減税として会社員や公務員が使うことができるのがiDeCoですね。iDeCoについてはこちらで記事にしています。
iDeCoと退職所得控除の関係についてはこちらで記事にしています。