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【主婦年金廃止で900万円の負担増加】第3号被保険者廃止は年間15万円どころの負担増加で済まない

2024年の年金改正

 2024年の年金改正で言われていることが公的年金の第3号被保険者の見直しです。

 今年の10月に厚生労働大臣の武見敬三氏は、テレビ番組で公的年金の第3号被保険者制度の将来的な見直しについて言及しています。

 ・働く人の割合が現在の半数程度から7~8割に増えると見直しの議論がしやすくなる

 ・現時点で制度改正することについては消極的

 ザックリと要点をまとめるとこのようになりますね。

 今すぐ第3号被保険者制度を改正するわけではないが、状況が変われば見直していく必要がある、という内容です。

 この公的年金の第3号被保険者制度というのは、「主婦年金」とも言われています。これは、制度が専業主婦を対象として創設されたものだからですね。

 この第3号被保険者制度は歴史としてはそれほど古いものではなく、昭和61年4月に始まりました。

 それまでは、厚生年金保険や共済組合に加入中の方の被扶養配偶者は国民年金への加入は任意となっていました。それが、昭和61年4月からは任意ではなくなったということです。

 ・日本の社会保障制度は国民皆保険が根幹ある

 ・国民全員が年金制度に加入しておく必要がある

 このような経緯があって、第3号被保険者制度が誕生したということです。

 しかし、現在の日本の年金の状況ではこの第3号被保険者制度が成り立たなくなってきているということです。

 ・第3号被保険者制度とは

 ・第3号被保険者制度がなくなることによる負担増加金額とは

 今回はこの2点を中心に第3号被保険者制度(主婦年金)の改正について触れてみたいと思います。

第3号被保険者制度とは

 公的年金制度の加入者は属性によって3つに分けられています。

 ・第1号被保険者・・・20歳から60歳までの自営業者、農業者、学生及び無職とその配偶者

 ・第2号被保険者・・・厚生年金保険や共済組合に加入している会社員や公務員

 ・第3号被保険者・・・第2号被保険者の配偶者で扶養内の方(年収が130万円未満の20歳から60歳)

 例外などはありますが、概ねこのような認識でよいですね。

 第3号被保険者が第1号、第2号と大きく異なっている点は「保険料負担することなく、基礎年金の年金受給権が発生する」という点です。

 そして、この第3号被保険者に該当する方というのは限られています。

 ・夫が厚生年金加入者(会社員や公務員)

 ・妻が専業主婦、または扶養内の収入を得ている

 このような状況にある方だけだということです。

 ※妻と夫は立場が入れ替わる主夫世帯でも同様です。

 ・夫が国民年金加入者(自営業やフリーランス)

 ・妻は専業主婦

 このようなケースでは、妻は第1号被保険者となり、国民年金保険料を負担する必要があります。

 例を挙げて確認していきます。

 ・夫 20歳 会社員

 ・妻 20歳 専業主婦

 このような世帯の場合、夫は第2号被保険者、妻は第3号被保険者となります。

 夫は厚生年金加入者、妻は国民年金加入者となります。そして、妻は第3号被保険者のため、国民年金保険料は免除されることになります。

 この状況が60歳まで続く場合、妻は約800万円の国民年金保険料が免除されることになります。

 ・月16,520円(年間198,240円)

 ・40年間で約800万円

 そして、65歳になれば、妻は月6.5万円(年間78万円)の国民年金を満額受給することになります。

 これが、現在の第3号被保険者の状況です。

 しかし、これが制度改正によって廃止されてしまうと、現在第3号被保険者の方がいる世帯は金銭的な負担が増加することになります。

第3号被保険者制度がなくなることによる負担増加金額とは

 第3号被保険者が廃止されることによって負担する必要があるのは月々の国民年金保険料ですね。

 よく言われているのが、この金額が年間15万円ほどになるということです。

 ・月1.65万円

 ・年間19.8万円

 第3号被保険者が廃止されると、これだけの金額を世帯で負担することになります。そして、国民年金保険料は社会保険料控除の対象となり、平均的な世帯で5万円ほどの控除となるため、年間15万円の負担増加と言われているということです。

 ・20歳から60歳まで(40年間)

 ・40年間 × 15万円 = 600万円

 制度改正後に専業主婦世帯でいる場合、最大でこれだけの負担増加となるということです。

 しかし、国民年金保険料の支払い期限延長を考えると、負担額はこれ以上になるということです。

 現在の国民年金保険料の納付期間は20歳から60歳までの40年間です。

 現行制度ではこのようになり、納付期間が終了して受給開始するまでの5年間は夫の扶養から外れることになりますが、金銭的な負担が発生することはありません。

 60歳から65歳までの5年間を待てば、65歳から年間78万円の国民年金を受給することができるようになります。

 しかし、国民年金の納付期間が延長されると、延長された期間は国民年金保険料を納付する必要が発生します。

 国民年金の納付期間が65歳まで延長されることになると、扶養から外れるのが65歳になり、現行制度からもう5年間分の国民年金保険料を負担する必要があるということです。

 ・年間20万円

 ・5年間で100万円

 これだけの負担増加になるということです。

 そのため、控除などを考慮しなければ、第3号被保険者制度が廃止されることになると、現行制度と比較して900万円の負担増加となる世帯が出てくることになるということです。

どんどんと増加する社会保険料。

YOHの考え

 今回は2024年の年金改正で言われていることが公的年金の第3号被保険者の見直しについて触れてみました。

 ・年間20万円

 ・45年間で900万円

 控除を考慮しなければ、最大でこれだけの負担増加となるのが、公的年金の第3号被保険者制度の見直しです。

 しかし、国民年金保険料の掛金の増加などを考えると、1,000万円以上の負担増加となる可能性があるということです。

 これに対抗するため手段として最も取り組みやすいのは、配偶者が一定の収入を得ることですね。

 ・国民年金保険料を納付するためにパートタイムジョブをする

 ・年間130万円以上の収入を得て扶養から外れる

 このように、何らかの方法で収入を得て国民年金保険料を納めることがよいということです。

 もちろん、これは世帯の状況によって異なります。

 ・家事や子育てに忙しくて働くことができない

 ・働いて収入を得る環境が整っていない

 このような状況の世帯もあるということです。このような世帯であれば、世帯主の収入から配偶者の国民年金保険料を捻出する必要があります。

 その場合、月1.65万円(年間19.8万円)の負担増加となります。

 これは、平均的な生活を送っている世帯であれば非常に大きな金額であるということです。

 国民皆保険による国民年金制度は非常によくできた制度ですが、現行と今後の金銭的な負担を考えると、成り立たなくなってきていると感じます。

出典 

図表1-9-7 社会保障財源の推移(社会保険料・公費負担の対GDP比)|令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-|厚生労働省

 社会保険料率は右肩上がりに増加しており、今後も増加していくことは避けることはできません。

 国民年金をはじめとする社会保険制度は老後の生活にとって無くてはならないものですが、現役世代時の負担が増加し過ぎているということです。

 しかし、この負担増加について不平不満を言うだけでは状況が好転することはありません。

 自分自身で備えて対応するしかないということです。その対応策のひとつが資産を持つということです。

 ・社会保険料負担が増加しても現在の生活水準を維持することができる

 ・支出が増加しても、貯蓄をしていくだけの家計管理ができている

 このような状況にしておくことが大切だと私は考えています。

 ご覧いただきありがとうございました。

 できるだけ長く働く、ということは社会保障制度の点から見てもよい対応策のひとつですね。その理由についてはこちらで記事にしています。

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 年金について抑えておく必要があるのが所得代替率についてです。これについては、こちらで記事にしています。

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 厚生年金と国民年金の利回り(内部収益率)についてはこちらで記事にしています。

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