債券とは
債券とは、国や企業が投資家から資金を集めるために発行する有価証券です。
・償還日が決まっている
・安全性の高い国債は利回りが低い
・株式と逆相関の関係にある
このような特徴があります。
昔であれば、直接買い付けて保有するような生債券が債券投資の主流でしたが、現在は投資信託やETFで購入することが一般的です。
そして、債券を購入する際に選択肢となるのが米国債券です。
日本国債の金利は上昇していますが、米国債券と比較すると利回りが低いからですね。
現在の日本国債の利回りは固定5年で0.21%、変動10年で0.43%となっています。
この利回りは、米国債券と比較すると低利回りであるため、もっと利回りを求める投資家にとっては物足りないということです。
・分散投資の一角として債券をポートフォリオに組み込みたい
・ある程度の利回りが欲しい
このような考えを持つ投資家にとって選択肢となるのが、米国債券であるということです。
そして、米国債券をポートフォリオに組み込む際に選択肢となるのが、米国総合債券ETFのBNDです。
BNDはバークレイズ米国総合債券浮動インデックスをベンチマークとしています。
バークレイズ米国総合債券浮動インデックスは米国債券の中でも格付けが高い安全性に優れた債券を中心に構成されていることが特徴です。
しかし、格付けが高く安全性に優れている債券といっても米国債券と日本国債は全くの別物です。
アセットアロケーションで言えば、債券という資産クラスで一括りにされがちですが、その特性は大きく異なっているということです。
・手堅い金融資産クラスである
・資産の動きをマイルドにしてくれる
日本の債券はこのように考えられており、分散投資を考えた場合、必ずといってよいほど候補に挙がる金融資産クラスです。しかし、外国債券については、思ったような働きをしないことがあります。
ずばり言ってしまうと、米国債券は日本国債のような安全資産とは全く異なった金融商品であるということです。
・米国債券の値動きについて
・米国債券のリスクについて
・米国債券をポートフォリオに組み込むデメリットについて
今回はこの3点を中心に米国債券についての注意点について、考えてみたいと思います。
結論
まず、結論から言えば、私は米国債券をポートフォリオに入れることは思ったような分散効果を得ることができない場合があると考えています。
・為替リスク
・下がる時は下がる
この2点で思ったような分散効果が得られないということです。順番に触れていきます。
債券の値動きについて
債券は株式と逆相関の動きをする、と認識されています。
・株式が上昇すれば債券は下落
・株式が下落すれば債券は上昇
このように逆相関の資産を組み合わせることによって、ポートフォリオを安定させることができると言われています。
米国総合債券インデックスETFのBNDの長期的なチャートを見ても、多少の上下動をしながらも基準価格は70~90ドルと安定的に推移しています。
10年以上の長期において、基準価格が70~90ドルの間で推移しているというのは、株式などと比較するとボラティリティが少なく安定していると考えてよいですね。
しかし、BNDの値動きが長期的に安定していることと、ポートフォリオ内の債券部分が安定していることは必ずしもイコールとはならないということです。
債券の為替リスク
BNDの値動きが安定していることと、ポートフォリオ内の債券部分が安定していることがイコールにならない最も大きな原因は、為替の影響を受けることにあります。
現在はドルに対する円安が進行しており2023年9月17日時点で1ドル147円という状況です。
このような状況であれば、BNDのようなドル資産は非常に頼もしいものとなります。
BND自体のパフォーマンスが悪くとも、ドルに対する円安が進行していれば為替差益で含み益が出ることになるからですね。
そのため、現在のような円安局面ではよいのですが、これが逆になることを考えると、債券に投資する際は為替ヘッジを考える必要があるということです。
・1ドル140円から70円になる
このような円高になれば、米国債券自体のパフォーマンスは変わらなくとも、保有している米国債券の価値は半分になるということです。
これは、基軸通貨を日本円としている日本人投資家には避けられないことだと言ってよいですね。
債券価格自体は下がらずに安定していても、基軸通貨自体の価値が下がれば、外国債券価格が割高になってしまうことは避けられないということです。
・債券価格自体の値動きリスク
・為替の影響による価格変動リスク
米国の投資家であれば、基軸通貨が米ドルのため、為替リスクは考えなくともよいのですが、日本円を基軸通貨としている日本の投資家が米国債券に資産投下するのは、この2つのリスクに晒されていることになるということです。
下がる時は結局下がる
債券は手堅い資産クラスで株式が下がった時に逆の動きをするため、ポートフォリオの安全性を高めてくれる、というように考えられています。
これ自体は間違いではないのでしょうが、全く逆の動きをして株式の値下がりを完全に補填してくれるかと言えば、そうではありません。
これは、BND(青色)とVOO(黄色)の直近5年間のチャートです。
注目して欲しいのは、VOOが大きく落ち込んでいる箇所で、コロナショックによって株式が大きく値を下げた時の値動きです。
VOO、BND共にチャートが下がっていることがわかります。
2つのETFの基準価格の違いなどはありますが、外国債券(BND)をポートフォリオに入れて期待しているのは、VOOが下落した時に、上向きになることです。
しかし、下がりは幅は少ないとはいえ、同じように値を下げていては、期待するような分散投資の成果を得られていないということです。
YOHの考え
今回は、米国債券をポートフォリオに入れる際の注意点について考えてみました。
・価値が安定している
・国が価値を担保している
債券と言えばこのようなイメージがありますが、これはあくまでも日本人が日本国債を保有したケースのみに当てはまることだということです。
他国の債券を保有する場合は、そうではないのですね。特に為替の影響については非常に大きいものであるということを頭に入れておく必要があります。
・為替の状況
・株式市場の状況
このようなことは様々な複雑な事情が重なりあって形成されているため、読むことができないということです。米国債券をポートフォリオに入れるには、このようなことを踏まえて行う必要があるということですね。
そのため、米国債券は株式と同じようなリスク資産というのが私の認識です。
私自身は米国債券を単体でポートフォリオに組み入れることは考えていません。
・為替リスクと値動き2つのリスクがある
・リスク分散にならない
・利回りが低い
・為替ヘッジを考えるとランニングコストが高くなる
このような理由から債券をポートフォリオに組み込むことは考えていないということです。最も大きなデメリットは、為替と値動き2つのリスクがあるからですね。
日本の基軸通貨が米ドルであれば、ポートフォリオに組み込むメリットは大きいのですが、基軸通貨が日本円である以上、長期的に見ても読むことができない為替リスクが大きすぎるということです。
投資の原則とは「価値が上昇するものを購入すること」です。そういった意味では、米国債券は必ずしも原則に当てはまる金融資産クラスではないということです。
それは、右肩上がりではない、ここ10年のBNDのチャートを見ても明らかです。
しかし、米国債券が投資不適格なものだというわけではありません。
米国債券をポートフォリオに入れる最大の理由はリスク分散です。ずばり言ってしまえば、資産形成が十分にできている投資家が購入する金融資産だということです。
・これ以上増やす必要がないほど資産が十分にある
・年齢的に資産を増やす段階ではない
このような方が資産を減らさないようにポートフォリオに組み込む金融商品だということです。
・30代で資産形成段階
・資産規模が数千万円
このような状態であれば、外国債券はメリットよりもデメリットが上回ることになる場合が多いということです。
個人の価値観によりますが、資産規模が1億円を上回った段階でようやくポートフォリオに組み込むかを考えるような金融資産クラスだと考えています。
為替の影響を受けるような金融市場の下落局面では株式と同様にパフォーマンスが落ちてしまうのでは、リスク分散としてはあまり意味をなし得ないのが米国債券の大きな特徴です。
私は、米国債券をポートフォリオに組み込むことは考えていません。株式のリスクに対してはキャッシュを厚く持つことで備えるようにしています。キャッシュは利息や複利効果を生みませんが、債券にはない強みがあります。
・株式や債券が下落すれば価値が上がる
・流動性が著しく高い
・数値上の値動きが無い
このような強みは他の金融商品を圧倒していますね。キャッシュを厚く持つことは資産効率が悪いと考える投資家の方もおられるでしょうが、下落局面で一番信頼できるのはキャッシュだということです。
・株式>米国債券>>>>現金
私のリスクの感覚はこのような認識です。当然、円安ドル高が進めば、ドルに対する現金の実質的な価値は目減りしますが、金額に変化が見られないことがよいということです。
株式と米国債券は同じ財布で管理するものですが、キャッシュは別の財布で管理する必要があります。混ぜてしまうとリスク分散の意味はなくなってしまいますね。
為替の状況によっては米国債券のパフォーマンスは上昇しますが、それは株式でも同じです。
そして、米国債券の値動きは株式よりもパフォーマンスは緩やかです。為替への備えは全世界株式インデックスファンドなどの十分に分散された株式ファンドで十分だというのが私の考えです。
為替の影響に対してリスク軽減したいのであれば、米国債券ではなく、キャッシュで軽減すればよいと私は考えています。ご覧いただきありがとうございました。
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