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S&P500だけで資産形成するデメリットことについて

S&P500とは

 株式投資の世界で最も有名な指数の1つがS&P500です。ざっくりと言えば、アメリカのNY証券取引所、Nasdaqなどに上場している代表的な500銘柄を時価総額で加重平均して数値化したものです。 

 ・アメリカ企業であること

 ・時価総額が53億ドル異常

 ・浮動株が50%以上

 ・4四半期連続で黒字利益を出していること

 S&P500に組み込まれる銘柄の採用基準として、このようなことが言われていますが、該当しない銘柄も少なからず含まれています。これは、セクター比率によるものですね。S&P500はアメリカ株式市場全体と同じようなセクター比率になるように意図的に調整されています。

 東京証券取引所の上場基準で言えば、プライムで100億円以上、スタンダードで10億円以上が基準なので、S&P500の企業はいかにスケールが大きいかわかります。

 そして、S&P500は株式投資における資産投下先として非常に人気が人気があります。その中でやや極端な意見も見受けられることがあります。

 ・資産形成はS&P500だけで十分

 ・S&P500に資産投下しておけば安心

 ・S&P500を買って放置しておけばよい

 ニュアンスとしては、このような意見ですね。今回はこのような意見を踏まえて、S&P500のみで資産形成することについて考えてみたいと思います。

S&P500のみで資産形成するデメリット

 まず、S&P500のみで資産形成することのデメリットについて記載します。

 ・構成銘柄で成長している銘柄は限られている

 ・利回りがそれほど高くはない

 ・値動きが大きい

 この3点がS&P500のみで資産形成するデメリットだと私は考えています。順番に触れていきたいと思います。

構成銘柄で成長している銘柄は限られている

 S&P500だけで資産形成するデメリットのひとつ目は「構成銘柄で成長している銘柄は限られている」ということです。

 S&P500の構成銘柄を見ても世界的にも有名な企業ばかりです。その中でも、構成銘柄1位~5位の頭文字をとってGAFAMと称されています。(現在はFacebookがメタに名称変更していますが・・・)

 そして、S&P500の成長はGAFAMの影響を非常に大きく受けることになります。

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 このグラフはS&P500からGAFAMを除くと、値動きはTOPIXと大差がないというものです。それほど、近年のGAFAMの成長性は素晴らしいということですが、逆から見れば、他の495社はそれほどS&P500に対して影響を及ぼしていないということです。これは、低成長の企業を含まれていることが主な理由です。

 ・成長して時価総額を伸ばしていく企業

 ・成長段階を過ぎて安定性を重視している企業

 このような企業が混在しているため、成長性という点から見れば、Nasdaq100などには劣後しているということです。

利回りがそれほど高くない

 S&P500だけで資産形成するデメリットの2つ目は「利回りがそれほど高くない」ということです。

出典 

VOO 銘柄 - バンガードS&P500ETF 投資信託(ファンド)情報 - Bloomberg Markets

 S&P500をベンチマークとしているETFのVOOの直近配当利回りは1.64%です。

 ・HDV 4%付近

 ・VYM 3%前半

 ・SPYD 4%後半

 同じような米国企業への投資で銘柄を絞っているETFと比較すると、1.64%という利回りはかなり大人しいということです。配当金が入ってくるという実感を得たい場合、1.64%という利回りでは大きな金額が必要となります。

 ・NISA枠で120万円分VOOを購入 → 年間1.96万円の分配金

 ・NISA枠で600万円VOOを購入 → 年間9.8万円の分配金

 このように税金を考慮しない(実際には日米租税条約の10%がかかりますが割愛します)NISA枠でVOOに全力投資したとしても、年間10万円ほどの分配金を得ることに留まるということです。

値動きが大きい

 S&P500だけで資産形成するデメリットの3つ目は「値動きが大きい」ということです。

出典 

VOO 銘柄 - バンガードS&P500ETF 投資信託(ファンド)情報 - Bloomberg Markets

 オレンジ色がVOO、青色がVTの直近5年間のチャートです。注目して欲しいのは2020年上半期の大きな落ち込みの部分で、これはコロナショックによるものです。

 VOOはVTと比較すると落ち込み幅が大きいことがわかります。

 ・VOO 310ドルから210ドル(下落率33%)

 ・VT  81ドルから56ドル(下落率31%)

 実際の下落率はこのようになります。両方とも評価額が落ち込むことは避けられませんが、VOOの下落率はVTを上回っています。逆に言えば、VTの下落率はVOOほどでは無いということです。これは分散効果によるものですね。

 ・国分散

 ・銘柄分散

 このような国際分散投資ができているVTと比較すると、VOOは値動きの幅が大きく、落ち込む時は分散が効いている指数と比較すると大きくなるということです。

成長性は申し分ない。最大のネックは分配金の少なさ。

YOHの考え

 私はS&P500だけで資産形成することについてはやや否定的です。

 ・資産形成はS&P500だけで十分

 ・S&P500に資産投下しておけば安心

 ・S&P500を買って放置しておけばよい

 このような考えはもっていないということです。一番の理由は「分配金が少ない」ということです。VOOの利回りは1.5~1.8%前後で推移しており、そこから大きく上昇することはありません。

 これは、対象地域を絞って幅広い企業に資産投下しているベンチマークの宿命と言ってよいですね。

 ・成長著しい企業

 ・安定期に入って配当を出す企業

 この2つがバランスよく入り混じっているからです。だからこそ、指数自体が成長しつつ、安定して分配金を出すことができることになります。しかし、資産規模が大きくないサラリーマン投資家にとっては、年間1.51%という利回りは低すぎるということです。

 ・日米租税条約の10%課税

 ・所得税、住民税の20%課税

 この2つを考慮すると、実際の分配金は1.08%となります。これではいくら優良な指数に資産投下して、成長と安定的に利益が出るという2つのメリットがあると言っても割に合わないということです。

 私自身の考えとしては、S&P500だけで資産形成するのは利回りが低すぎるということになります。

 ・HDV

 ・VYM

 ・SPYD

 株式部分で言えば、このようなある程度リスクのあっても分配金を多く出すETFなどをポートフォリオに加えるのがよいと考えています。

 ・VOOに2億円資産投下できる

 ・分配金よりもひたすら成長性を求める

 このような場合は、S&P500だけに資産投下するという手もありますが、私ならQQQなどのもっと成長性が高いリスクのあるETFをポートフォリオに加える方がよいと考えています。

 もちろん株式投資による資産形成は人それぞれで、大切なことは自分のリスク耐性をしっかりと把握することです。そして、リスク耐性の把握とは、保守的に見ることが基本ですが、保守的に見積り過ぎることがよいわけではありません。

 ・自分のリスク耐性を遥かに下回るポートフォリオを組む

 このようなことをしてしまっては、本来得ることができる利益を取り逃がしてしまうからですね。そして、資産規模が小さいうちはある程度のリスクを受け入れなければ資産増加が非常に緩やかなものとなってしまいます。

 ・S&P500だけで安心

 ・S&P500だけ購入しておけばよい

 自分の資産状況やリスク耐性などをしっかりと考慮してこのような選択をすることは問題ありません。しかし、他人の意見を鵜呑みにして思考停止に陥ることは避けた方がよいということです。

 人の数だけ投資手法があると私は考えています。ご覧いただきありがとうございました。

 今年に入ってS&P500は弱気相場入りしましたね。その際に考えることはこちらで記事にしています。

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 過去にもS&P500は弱気相場入りを経験しています。その期間や下落率についてはこちらで記事にしています。

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 全世界株式インデックスファンドだけで資産形成することもデメリットがありますね。

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