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【リスク・パリティとは】Tracers グローバル3分法(おとなのバランス)について

日興アセットマネジメントTracersシリーズ

 日興アセットマネジメントが設定している投資信託にTracersシリーズがあります。

 Tracersシリーズの大きな特徴は、指数に連動するインデックス型の投資信託に独自に定めたルールを付け加えた制度設計がされているということです。

 ・Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)

 ・Tracers グローバル2倍株(地球コンプリート)

 ・Tracers S&P500ゴールドプラス

 これまでにこの3本がラインナップされています。

 そして、2022年2月10日からTracersシリーズとして「Tracersグローバル3分法(おとなのバランス)」が設定されることになりました。

 この投資信託の最も大きな特徴はリスク・パリティという考えを基に資産配分が決められていることです。

 ・Tracersグローバル3分法(おとなのバランス)とは

 ・リスク・パリティとは

 ・Tracersグローバル3分法(おとなのバランス)は資産投下に値するか

 今回はこの3点について触れてみたいと思います。

Tracersグローバル3分法(おとなのバランス)

 Tracersグローバル3分法(おとなのバランス)の基本的な商品設計は3分法という名前が示しているとおり、バランス型ファンドです。

 ・株式

 ・債券

 ・REIT

 この3つの資産クラスに投資するファンドだということです。そして、Tracersシリーズの売りである「独自に定めたルール」に従って資産配分が決定されています。

 ・株式 20%

 ・REIT 13.3%

 ・債券 66.7%

 それぞれの資産構成比率はこのようになっています。

 バランスファンドとして非常に人気のあるeMAXIS Slim 8資産均等バランスファンドのような資産クラスの構成比率がそれぞれ12.5%と同じであるバランスファンドと比較すると、その構成比率が大きく異なっていることがわかります。 

出典 Tracersグローバル3分法(おとなのバランス)目論見書
以下の画像も同じところから引用

 この構成比率の考え方の基になっているのが「リスク・パリティ」という考え方です。

リスク・パリティとは

 Tracersグローバル3分法(おとなのバランス)が取り入れているリスク・パリティとは、資産クラスごとの価格変動リスクと為替変動リスクの大きさが等しくなるように考えることです。

 ・株式 > REIT > 債券

 3つの資産クラスのリスクの大きさを比較すると、一般的にはこのように考えられています。これは、投資家の肌感覚としても概ね正しいと言ってよいですね。

 しかし、ここに為替リスクを加えると、リスクの大きさが変わることがあるということです。

 国内株式であれば、投資家は価格変動によるリスクだけを受け入れればよいですが、外国債券の場合、価格変動リスクと為替変動リスクの2つのリスクを受け入れる必要があります。

 そのため、為替変動リスクを考慮すれば、債券が株式よりもリスキーであるケースがあるということです。

 そして、この為替変動リスクを加味する考え方が「リスク・パリティ」だということです。

Tracersグローバル3分法(おとなのバランス)のコンセプト

 Tracersグローバル3分法(おとなのバランス)のコンセプトは、3つの資産クラスで同じ成果を上げていくことです。

 そのために、リスク・パリティを取り入れてそれぞれの資産クラスを配分をしているということです。

 ・為替の影響を含めて価格変動が大きい資産クラス・・・構成比率は少ない

 ・為替の影響を含めて価格変動が小さい資産クラス・・・構成比率が多め

 このような商品設計がなされているということです。そして、各資産クラスの実質的な構成比率は以下のようになっています。

 ・株式(国内・先進国・新興国)

 ・REIT(国内・先進国)

 ・債券(国内・先進国)

 3分法という名前ですが、実際には7つのインデックスを投資対象としているということです。

バランスファンドとして資産投下を考える余地はある。

YOHの考え

 今回は日興アセットマネジメントが2023年2月10日に設定したTracersグローバル3分法(おとなのバランス)について触れてみました。

 Tracersグローバル3分法(おとなのバランス)はSBI証券、楽天証券、マネックス証券といった大手ネット証券会社でも取扱いがされており、買付は簡単に行うことができます。

 信託報酬は年0.1089%とeMAXIS Slim 8資産均等バランスファンドの年0.154%を下回っています。

 そして、つみたてNISA対象商品にもラインナップされていることから、極めて優秀な投資信託と考えておいてよいですね。

 しかし、万人にTracersグローバル3分法(おとなのバランス)をおすすめすることができるかと言えばそうではないですね。

 Tracersグローバル3分法(おとなのバランス)の最も大きな特徴は為替変動リスクを含めて、ファンドの中でリスクの大きさが概ね均等になるように商品設計がされていることです。

 そのため、債券の構成比率が70%近くになっています。

 これは、資産を増加させることにウエイトを置いているのではなく、資産を減らさないことに大きなウエイトを置いた守りの投資信託ということです。

 このように、景気に左右されることなく、一定のパフォーマンスを得ることがTracersグローバル3分法(おとなのバランス)のコンセプトだということです。

 そのため、バランスファンドという位置づけをしていますが、実質的には債券ファンドに極めて近いと考えておいてよいということです。

 私がTracersグローバル3分法(おとなのバランス)に資産投下するかと言えば、現時点ではすることはないですね。

 ・資産形成段階

 ・リスクを取って資産を増加させたい

 現時点ではこのような考えでいるからですね。値動きのリスクが大きくても、株式の比率を高くして資産増加を狙った資産運用をする必要があるからです。

 そのため、私のような資産形成段階の投資家におすすめできる投資信託とは言い難いということです。

 しかし、資産形成を完了させた投資家にとっては、十分に資産投下対象となる投資信託です。

 その大きな理由は債券部分に為替ヘッジがなされていることです。

 リスク・パリティによって、債券部分が為替の影響を受けることがないように安全性が大きく担保されているため、大きく資産を減らすことは考えにくい商品設計がされています。

 この部分をどのように捉えるかで資産投下に値するかどうかが変わってくるということです。

 ・銘柄分散

 ・地域分散

 ・投資対象分散

 ・為替リスク分散

 投資の基本であるこれらの分散性を抑えつつ、ランニングコストも0.1%ほどであることから、Tracersグローバル3分法(おとなのバランス)は極めて優秀な投資信託であることは確かです。

 長期的に積立投資を行えば、安定したパフォーマンスを維持しつつ、ある程度のパフォーマンスが期待できる投資信託です。

 しかし、資産投下対象とするかどうかは、個人でよく考える必要があるというのが私の考えです。

 ご覧いただきありがとうございました。

 Tracersシリーズで最も人気があるのが、Tracers S&P500配当貴族インデックスですね。昨年の10月28日から取扱いがされています。

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 配当貴族ETFは東証上場ETF(2236)としても販売されています。Tracers S&P500配当貴族インデックスとほぼ同様の商品設計であると考えてよい金融商品です。

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 バランスファンドは投資対象として一定の人気がありますが、商品設計には癖がありますね。資産投下する際には、その特徴を抑えておく必要があります。

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