米国高配当ETF(SPYD&VYM)投資信託
2023年12月22日にSBIアセットマネジメント株式会社から2本の新しい国内投資信託が発表されました。
・SBI・SPDR・S&P500高配当株式インデックスファンド(年4回決算型)
・SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(年4回決算型)
発表されたのはこの2本で、募集開始は2024年1月15日から、設定運用開始は2024年1月30日からとなっています。
SBI・Vシリーズは現在、9本がラインナップされており、特徴として挙げられるのが、ETFを投資信託として購入できるということです。
・SBI・V・S&P500 → VOO
・SBI・V・全米株式 → VTI
・SBI・V・米国高配当株式 → VYM
・SBI・V・全世界株式インデックスファンド → VT
・SBI・V・米国増配株式 → VIG
・SBI・V・先進国株式(除く米国) → VEA
・SBI・V・世界小型株式(除く米国) → VSS
・SBI・V・米国小型株式 → VB
・SBI・V・新興国株式 → VWO
各SBI・Vシリーズと連動するETFはこのようになっています。そして、経費率についても、明確に基準が決められています。
・ETFの経費率 + 0.0638%の信託報酬
これが、各SBI・Vシリーズのランニングコストとなっています。
そして、今回発表された2つの投資信託も同様の制度設計がされているということです。
・SBI・SPDR・S&P500高配当株式インデックスファンド(年4回決算型)
・SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(年4回決算型)
・SPYD、VYMを購入することとの違い
・2つの投資信託は投資対象となり得るのか
今回は新しく発表された投資信託について、この4点を中心に触れてみたいと思います。
SBI・SPDR・S&P500高配当株式インデックスファンド(年4回決算型)
SBI・SPDR・S&P500高配当株式インデックスファンド(年4回決算型)は、SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETFに投資し、S&P500高配当指数に連動する投資成果を目指す投資信託です。
SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETFはSPYDと言った方がなじみ深いですね。
SPYDがベンチマークとしているS&P500高配当指数はS&P500のうち、配当利回りが高い約80銘柄のパフォーマンスを計測している指数です。
過去8年間のパフォーマンスはこのようになっています。チャートとしては右肩上がりではありませんが、SPYDの大きな特徴はその利回りの高さです。
主要投資対象の配当利回り平均は4.76%となっていることから、指数自体の値上がりを期待するものではなく、配当金を取りに行くことが目的となる金融商品であると考えておいてよいですね。
・信託報酬報酬 0.1338%
・年4回の決算(2月・5月・8月・11月)
・年利4.76%
今回発表されたSBI・SPDR・S&P500高配当株式インデックスファンド(年4回決算型)はこのような特徴がある投資信託であるということです。
SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(年4回決算型)
SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(年4回決算型)はバンガード・米国高配当株式ETFに投資し、同様の投資成果を目指すことを目標とした投資信託です。
バンガード・米国高配当株式ETFはFTSEハイディビデント・イードル・インデックスをベンチマークとしており、ティッカー名のVYMが有名ですね。
・米国株式市場のうち、REITを除く高配当株式を中心に構成
・構成銘柄数は約450銘柄
・主要投資対象の直近配当利回りは3.29%
FTSEハイディビデント・イードル・インデックスはこのような特徴がある指数です。
VYMの直近5年のパフォーマンスはこのようになっています。こちらもSPYDと同様に、右肩上がりとは言い難いですね。
・指数自体の上昇はそれほどない
・高配当の分配金を受け取ることができる
このような特徴があると考えておいてよいということです。
そして、今回発表されたSBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(年4回決算型)はVYMに連動する投資成果を出すことを目標としているので、同様の特徴がある投資信託と考えておいてよいということです。
SPYD、VYMを購入することとの違い
今回発表された、SBI・SPDR・S&P500高配当株式インデックスファンド(年4回決算型)とSBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(年4回決算型)はSPYDとVYMのETFを投資信託で購入するだけの金融商品です。
それならば、ランニングコストの安いETFを直接購入した方がよいと感じますが、この2つは投資信託で購入することによるメリットをもたらしてくれます。
それは、分配金の受取時に税制面で有利になるということです。
米国ETFは分配金の受取り時に2重課税がされることになります。
2重課税は上の図の改正前のようになり、国内と外国の税金によって手取りが71.8%となります。
これについては、昨年までは確定申告の外国税額控除によって、いくらか還付を受けることができていたのですが、2024年申告分からは受けることができなくなります。
しかし、投資信託であれば、図の改正後の課税状況が適応されるため、分配金受取時に課税割合が小さくなるということです。
・ETF・・・71.8%
・投資信託・・・79.7%
分配金の手取りについては、この割合になると考えておいてよいということです。
そのため、SPYDやVYMを直接購入して保有するよりも、投資信託で保有しておく方が税制面で有利になると考えておいてよいということです。
YOHの考え
今回は2023年12月22日にSBIアセットマネジメント株式会社から2発表された2本の新しい国内投資信託について触れたみました。
・SBI・SPDR・S&P500高配当株式インデックスファンド(年4回決算型)
・SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(年4回決算型)
今回発表された投資信託はこの2本で、いずれもSBI・Vシリーズと同様の制度設計がされています。
主要投資対象や経費率はこのようになっています。そして、この2つは分配金受取時に税制面でも有利になる可能性がある金融商品であることが大きな特徴です。
私自身、この2つの投資信託はよくできた金融商品で、一定の人気を集めるのではないかという印象です。
しかし、私がこの2つの投資信託を購入するかと考えると、「現段階では購入することはない」という考えです。
その理由は、この2つの投資信託が高配当指数をベンチマークとしているからですね。
・SPYD
・VYM
このような高配当指数をベンチマークとしている金融商品は積立投資にはそれほど向いていません。
SPYD、VYM、VOOについて、長期的なチャートを比較すると、成長性においてVOOが優れていることは明らかです。
もちろん、SPYD、VYMなどの高配当指数をベンチマークとしている金融商品は成長性の代わりの利回りの高い分配金を出し続けてくれます。
しかし、長期投資においては、長期的な成長性が優れていることが最も大切なことのひとつです。
そのため、SPYD、VYMなどは長期的に積み立てる投資手法を取るのではなく、値動きを見て割安な時にスポット購入していくタイミング投資と相性がよいということです。
安定的に利回りの高い分配金を出し続けてくれるにしても、割高な時に積み立て続けることになれば、投資として成功とは言い難い結果になる可能性があるのが、高配当株式の特徴です。
・割安な時を判断して大きく購入する
・割高な時は資金に余裕があっても購入しない
高配当株銘柄に関してはこのようなスタンスで向き合うことが求められるということです。
そういった意味で、ただただ積立投資をしていくインデックス投資と異なり、高配当株投資は難易度が高い資産形成方法であるということです。
しかし、今回発表された投資信託が資産形成に向いていないかと言えばそうではないですね。
・タイミング投資が上手
・投資信託の価値上昇よりも分配金を重視する
・資産を増やす段階を過ぎている
このような投資家には適した投資信託だということです。
今回発表された投資信託は万人むきではないが、人によっては大きな選択肢となる、というのが私の考えです。
ご覧いただきありがとうございました。
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