個人金融資産が2121兆円に到達
日本銀行が行っている資金循環統計の2023年第3四半期速報によると、個人の家計の金融資産が2121兆円に到達しました。
この資金循環統計は日本銀行調査統計局が1954年から作成しており、四半期をひとつの期間として、調査の3カ月後に速報、6カ月後に確報が公表されます。
この統計は日本の金融機関や個人の金融資産や負債の推移を金融資産ごとに調査したものです。
・現金・預金
・債務証券
・投資信託
・株式
・保険・年金・定形保証(保険)
・その他
個人の金融資産調査では金融資産クラスをこの6つに分類し、その合計を金融資産計として統計しています。
今回取り上げている個人金融資産が2121兆円に到達したのは、2023年第3四半期速報なので、2023年9月分の統計調査となります。
その結果を確認していくと、非常に興味深いというのが私の印象です。
・2023年第3四半期調査の結果
・個人で資産形成していくために大切なこと
今回は、資金循環統計についてこの2点を中心に触れてみたいと思います。
2023年第3四半期調査の結果
2023年第3四半期の資金循環統計で大きく目を引くのは個人金融資産が2121兆円をこえているというところですね。
その内訳については以下のようになっています。
・現金・預金 1,113兆円
・債務証券 28兆円
・投資信託 101兆円
・株式 273兆円
・保険・年金・定形保証(保険) 539兆円
・その他 67兆円
そして、各金融資産クラスの割合は以下のようになっています。
この合計が2,121兆円ですが、個人金融資産計というのは、年々増加し続けており2023年からはその伸びが顕著です。
・2021年12月末 2037兆円
・2022年12月末 2037兆円
・2023年 9月末 2121兆円 ←NEW
このように、2021年から2022年にかけては大きな変化がなかった個人金融資産計が2023年に入ってから、90兆円近く増加しています。
その最も大きな理由が投資信託、株式部分の増加です。
・投資信託 17.4%増
・株式等 30.4%増
前年同月比と比較すると、2023年第3四半期は投資信託と株式等はこれだけの増加となっています。これが個人金融資産計が前年から90兆円近く増加している大きな要因となっています。
・投資信託 101兆円
・株式等 273兆円
個人金融資産計2121兆円のうち、投資信託と株式等が占める金額はこのようになっており、合計で274兆円、構成比にすると、17.7%となっていることがわかります。
YOHの考え
今回は、日本銀行調査統計局が公表している2023年第3四半期の資金循環統計について触れてみました。
・個人金融資産計が2,121兆円に到達している
・投資信託、株式等の金額、割合増加が顕著
2023年第3四半期の資金循環統計の個人金融資産については、ざっくりとこのような認識を持っておいてよいですね。
日本は増税や物価高によって実質賃金が減少しており、一般世帯は困窮しているということは、日々マスメディアで報道されています。
・普通に働いているにも関わらず日々の生活もままならない
・投資はもちろんのこと、貯蓄にすら充てるお金がない
一般的な世帯はこのような生活をしているとの印象を受けます。
しかし、実際のところ、個人金融資産計は年々増加し続けており、過去最高を更新し続けています。
今回の2023年第3四半期の数値を確認しても、全ての金融資産クラスの割合が増加しています。ここから考えられることは以下の2点ですね。
・全ての世帯において金融資産が減少しているわけではない
・金融資産がある世帯とそうではない世帯の2極化が進んでいる
このようなことが考えられるということです。
今回の統計調査を見ても、昨年から90兆円近く個人金融資産計が増加していますが、その大半は投資信託、株式等のリスク資産に分類される資産クラスです。
現金、預金というのは、若干の増加を続けていますが、その増加具合は大きいものではありません。
もちろん、投資信託や株式は値動きがあるため、残高が上昇していることと、資金が流入していることは必ずしも一致するわけではありません。
しかし、投資信託や株式等の個人の金融資産計に占める割合というのは確実に増加しています。
今回の調査では投資信託や株式等が個人金融資産計に占める割合は17.7%ですが、これが20%を超える日はそう遠くはないと私は考えています。
そして、個人が資産形成していくために大切なことは、時代に合った方法を取り入れていくことです。
30年前の日本では銀行預金だけで資産形成が完結することが主流でしたが、現在の日本ではそれが当てはまらないということです。
それは、資金循環統計における投資信託や株式等のリスク資産割合が増加していることからも明らかです。
もちろん、投資信託や株式等のリスク資産を誰しもが保有して資産形成をすればよいというわけではありません。
・預貯金のみで資産形成をしていく
・リスク資産をポートフォリオに組み込まない
このような資産形成というのは間違いとはならないケースもありふれています。
しかし、時代に合った資産形成を知っておくことは非常に大切だと私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
2023年第2四半期の資金循環統計についてはこちらで記事にしています。
個人金融資産額が2,000兆円に到達した時については、こちらで記事にしています。
貯蓄から投資へが政府が掲げるキャッチフレーズですが、現環境下では節約から投資へがスタンダートとなっていますね。