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【インボイス制度】橋本徹氏と山本太郎氏は何故噛み合わなかったのか

インボイス制度

 10月31日の衆議院総選挙で、れいわ新選組の山本太郎氏が、番組コメンテーターの橋本徹氏と論争している中でも取り上げられていたのが、インボイス制度です。多くの方にとっては、あまり馴染みのない制度ですね。

 しかし、自営業者やフリーランスで売上1,000万円以下の方にとっては、死活問題となるのがインボイス制度です。

 インボイス制度を簡単に言ってしまえば、今まで売上1,000万円以下の自営業者やフリーランスが意図的に消費税を納めていないことに目をつむっていたが、これからはしっかりと税金の流れを把握して、納めるべき税金は納めてもらう、という制度です。

 富士通さんのホームページに合った図が非常にわかりやすいですね。

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出典 富士通

山本太郎氏の主張

 れいわ新選組の山本太郎氏はインボイス制度に反対の姿勢を打ち出しています。

 ・売上1,000万円は中小零細企業

 ・ここからさらに税金を取るのは反対

 反対の主な理由は弱者救済の観点からですね。れいわ新選組は消費税廃止や最低賃金1,500円などの公約を打ち出しており、経済的弱者の救済を主としています。

橋本徹氏の主張

 一方で橋本徹氏はインボイス制度に賛成の姿勢です。

 ・益税を容認してはいけない(益税とは、納めるべき税金をポッケナイナイすることです)

 ・税は等しく納めるべき

 このような考えから、インボイス制度に賛成しているのですね。橋本徹氏は弁護士であり、法律に則った考えを第一にしていることが伺えます。

政治的指向がどちらを向いているかということ

 山本太郎氏と橋本徹氏の論争は3分ほどで打ち切られましたが、2人が噛み合わなかったのは、私は政治的指向の違いからくる考え方の違いと解釈しました。

 益税に関しては、法律的には橋本徹氏の主張が正しく、売上が少ないからといって、納めるべき税金を納めなくていいことにはなりません。生活が苦しいのは、会社員や公務員も同様です。

 しかし、益税を完全に認めないとなると、生活が立ち行かなくなる自営業やフリーランスの方がいることも事実です。

 ※山本氏が言っているのは恐らく売上1,000万円以下の仕入税額控除のことです。今までは売上の消費税から仕入税額を差し引いた額を納税していたが、インボイス制度により適格請求書が必要となり、それを発行できるのは課税事業者のみとなります。
 売上1,000万円を超える事業者でなければ仕入税額控除を受けることができなくなり、仕入消費税分も負担しなくてはいけなくなることを問題視しているのでしょう。

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出典 MAKE LEAPS

インボイス制度の問題点

 インボイス制度は法律的、倫理的には正しい制度ですが、それで生活が立ち行かなくなる方は確実に出てくるのですね。

 ・単発受注のフリーランス

 ・ウーバーイーツ

 このようなギグワーカーは消費税非課税が前提でないと、売上が成り立ちません。いくら法律で決まっているからと言っても、そこに消費税10%を課税することは、致命傷に成りかねないですね。

 そして、インボイス制度で適格者認定を選択しなかった場合には、仕事自体が受注できなくなり、消費税は納めなくても、売上が減少していくことは目に見えています。

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どちらも正しいから難しい話になる。自分にとってどのような影響があるかを考えることが大切。

どちらが正しいかという単純な話ではないということ

 山本太郎氏と橋本徹氏の主張にはそれぞれに正当性があります。

 ・橋本徹氏は法律や倫理観としての正当性

 ・山本太郎氏は実情を踏まえての正当性

 自営業やフリーランスは消費税が上がったからと言って、全ての人が消費税分を価格に上乗せしているわけではないでしょう。身銭を切っている自営業やフリーランスは少なからずいることは間違いないからですね。

 しかし、橋本徹氏が主張するように、困窮しているから納めるべき税金を納めないのは、倫理的によいことではないですね。

 立ち位置が変われば考え方や主張も変わります。インボイス制度が弱い者いじめなのか正しいことなのか、という単純な比較はできないのです。

YOHの考え

 私は、どちらかと言えば、橋本徹氏の主張に賛成です。

 ・税金は法律に則って納めるべき

 ・困窮していても、決まっていることはするべき

 ・公務員は税金が取られ放題

 このような考え方が自身の根底にあるからですね。公務員だけでなく、会社員も同様に多額の税金によって、一生懸命働いても暮らし向きが上がることはありません。

 ・減少する年金

 ・減少する給料

 ・増加する社会保険料

 このような事柄に対して、公務員・会社員はなす術がありません。しかし、きちっと納税はしています。中小零細企業で生活が苦しいからといって、税の抜け道を堂々と主張するのはいかがなものかと考えてしまいます。

 一方で、インボイス制度によって致命傷を負うような自営業やフリーランスの気持ちをある程度理解することはできる、というのが私の考えです。

 大切なことは、不平不満を言うだけではなく、自分自身で危機感を持って行動することです。不平不満を言うだけ、危機感を持つだけでは現状をどうすることもできません。最も大切なのは行動することです。

 お金の問題はお金を持つことでしか解消されません。資産運用によって堅実に資産を増やすことが、危機の防波堤になるのです。