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【問い合わせ回答】消防組織における女性消防士について

女性消防士について

 女性で消防士として働く方が近年増加しています。

 ・女性消防吏員の深夜業務規制の解除

 ・給料水準で男女格差がない

 この2点で女性消防士が消防組織で働く環境が整備されつつあります。特に、給料水準は男女差がなく、お金の面で見れば、消防組織は女性の就職先として選択肢に入れて考えてもいいのかもしれません。

 国税庁の調査によると、労働者の平均給与額は461万円、男性が567万円、女性が280万円です。条件が全く同じではないので、単純な比較はできませんが、働く女性の多くは男性よりも給料が少ないということです。

 しかし、公務員・消防士の給料に男女差はありません。

 ・年功序列

 ・役職

 ・階級

 消防組織の給料体系はこの3点で決まります。消防組織で働く女性は一般的な女性労働者と比較すると高水準の給料を得ているということですね。

女性消防士の割合はまだまだ少ない

 総務省の調査結果では女性消防士の割合は3%です。これは、公安組織の警察や自衛隊と比較してもかなり低い数字です。

 ・業務の幅が狭い

 ・地方自治体主体なので、組織の人数が少ない

 ・法整備がされていない

 このような理由が女性消防士が少ない理由です。消防組織は人数が少ないので、仕事の主体が災害従事になります。そういった意味で、警察や自衛隊よりも業務に関する選択肢の幅が少ないのですね。総務省消防庁は2026年までに5%にする目標を掲げていますが、全ての自治体で達成することは非常に困難です。

f:id:fire-money:20211002210013p:plainお金の問題

 女性消防士が増加しない理由の1つはお金の問題があります。ずばり言ってしまうと、女性消防士を雇用するのは、男性消防士を雇用するよりもお金がかかるということです。

 ・更衣室(仮眠室・休憩室・入浴施設含む)

 ・衛生管理

 ・被服

 これらの施設を女性用に作るのはお金がかかります。消防組織として予算を組む必要があるのですね。東京消防庁のような大きな組織は規模が大きいので予算が組みやすいのですが、地方に行くほど、消防組織は限られた予算でやりくりをしています。お金の少ない自治体はなかなかそういった設備投資ができないのです。

 消防組織ではじめて女性が働き始めたのが昭和44年、夜間勤務が出来るようになったのは平成6年からです。それまでは、男性しか働いていなかったのですね。

 そういったことから、消防組織は基本的に男性が使うことを前提とした作りになっている、ということは知っておいてよいでしょう。これは、建物設備などのハード面だけでなく、業務内容といったジョブワーク、タスク面においても同様です。

女性消防士は働きにくいのか

 女性消防士が働きにくいのか、ということは人それぞれです。私には、先輩、後輩に女性消防士がおり、一緒に勤務したことがありますが、女性消防士の方は例外なく優秀です。

 ・明確な目標を持って消防組織に就職している

 ・少ない採用枠を勝ち取っている

 優秀な理由にこのようなことが関係しているのかもしれません。

 ただし、女性消防士には災害従事に関しては一定の制限が設けられていることは知っておく必要があります。自治体によっては、女性消防士が災害従事する際の制限を設けています。

 ・重量物の運搬

 ・空気呼吸器を装着しての活動制限

 ・毒劇物対応事案での活動制限

 身体のつくりから男性の方が向いている業務に関しては、一定の住み分けをせざるを得ないのが消防士の仕事です。

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シカゴファイヤーでも女性は活躍している

女性でも活躍することはできる

 災害面においても、女性消防士は優秀な方が非常に多いです。私が救急隊として勤務していた時に、部下で女性救急隊員がいましたが、多くの救急隊員を見てきた中でも印象に残るほど優秀でした。

 救急活動においては、女性はどうしても不利な面があります。

 ・重たい傷病者を搬送する

 ・著しく衛生環境の悪い現場

 ・粗暴な傷病者

 このような環境下で割を食うのは女性です。しかし、優秀な女性救急隊員は自分のできないことを理解して、そこを主張しつつ、自分のできる業務を優秀にこなしていました。

 ・女性傷病者への対応

 ・小児の対応

 ・女性特有の疾患

 こういったシーンで活躍するのは間違いなく女性消防士です。消防組織にとって、女性消防士は無くてはならない存在です。

 近年では、消防組織で女性が働く環境は確実に整備されつつあります。しかし、まだまだ不足しているというのが現状です。しかし、お金の面では魅力的であり、業務についても住み分けはありますが、その境は確実に薄くなってきています。

 ・セクハラ

 ・パワハラ

 ・無理解

 このようなことは今の社会情勢から考えても、ほぼあり得ないといっていいでしょう。公務員はそのあたりに関しては特に敏感です。過去にはそういった事例も見受けられますが、時代の流れとともに自然淘汰されています。徐々にですが、女性消防士は男性消防士と同様に働くことができる環境が整いつつあるということです。

お礼

 K様、お問い合わせありがとうございました。女性が消防士と働く環境は整いつつありますが、男性と比較して、ご苦労することが多いこともまた事実です。様々な選択肢をもって、お仕事を選んでください。

 大規模な消防組織ほど女性が多くご活躍されており、労働環境も整っていると考えて問題ないでしょう。ご心配されている消防学校に関しては、それほどの心配はいりませんよ。メールさせていただいたとおりです。また、疑問点がありましたら、遠慮なくご連絡してください。