YOH消防士の資産運用・株式投資

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公務員・消防士のクレーム対応・お詫びと謝罪の違い

クレームと苦情は異なるもの

 官民問わず、クレーム処理は共通の話題ですね。

 ・ややこしい

 ・疲れる

 クレーム処理の経験がある方は、クレームに対してこのような感情を抱くことがありますね。しかし、クレームと苦情は全くの別物です。

 この場合に使われるクレームとは日本語に当てはめるなら、要求です。そして、要求をする権利は誰にでもあります。要求というものをいち公務員としてポジティブに捉えるなら、「ご意見を頂戴する」ということになります。

クレーム処理の流れ

 クレーム処理は基本的な流れがあり、流れから大きく逸脱することはありません。

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クレーム処理の流れ

 クレーム処理で大切なことは、必ずしも解決する必要はない、ということです。

 ・救急車を呼んだけど10分以上かかった。

 このようなクレームの根本的な解決策は、いつどんな状況で救急車を呼んでも10分以内に到着させるようにすることですが、それは不可能です。

 ・地域特性

 ・救急車の台数

 ・救急件数の増加

 このような問題は全国にありふれているからですね。そして、クレームをしてきた方も根本的解決を望んでいるわけではありません。

 多くの場合は、相手の感情処理をすることよって、事態を収束させることができます。

 ・相手の言い分を分析する

 ・事実を抽出する

 ・内容をすり合わせる

 ・しっかりとした説明をする

 これをすることによって、多くのクレームは適切に対応することができます。

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根本的解決に全くなっていないが、相手方は納得する

 クレームの多くは事実のすり合わせと丁寧な説明、感情処理によって解決します。不当要求とは、無理難題ではありません。無茶な要求であっても、要求する権利は誰にでもあるからですね。それをしっかりと受け止めて、対応することがクレーム処理では大切なのです。

すいません、と謝るべきか

 クレームに対しては、謝るべきではない。と考えている公務員・消防士の方は少なからずおられます。それは、民間企業でも同様ですね。

 ・謝ったらこちらの非を認めたことになる

 ・謝るにしても、100%こちらが悪いと確定してから

 ・謝るとつけこまれて、話しにくくなる

 謝らない理由は、概ねこのような理由からですね。しかし、私は、すぐに「すいません」と謝るようにしていました。そして、そのことで、相手に付け込まれたり、トラブルになったことは無かったように記憶しています。

お詫びと謝罪は違う

 クレーム処理で最も重要なことは「お詫びと謝罪は違う」と認識することです。

 お詫びとは、迷惑をかけたことに対して謝ることです。迷惑をかけた、というのを言い換えれば、「不快な思いをさせてしまった」ということです。これに対しては、理由がどうであれ、相手の感情がそうなっているのだから、事実確認をするまでもなく、謝ることが本質的です。

 一方で、謝罪は非があったことに対して謝ることです。これに対しては、慎重になる必要がありますね。相手の言い分を分析する、事実を抽出する、内容をすり合わせる、このようなことを総合的に勘案して、非があると判断すれば、はじめて謝罪する必要があるのです。

 私は、クレームが来れば、まず、不快な思いをさせてしまったことに対して謝っていました。詫びることとと責任を認めることは異なっているからですね。一方で、責任を認める謝罪については、徹底的に事実確認をして、事実を抽出した結果、組織に非がある場合にしか、行わないようにしていました。

法律や決まりを持ち出すのは最後の手段

 クレーム処理を最も早く終わらせる方法のひとつに、「法律や決まりを持ち出す」ということが挙げられます。

 相手のクレームが法律に沿っていない場合、その事実を説明して、突っぱねるのは一番効率がいいのですが、私はおすすめしません。

 ・感情処理

 ・認識の違い

 このような理由からですね。クレームをして来られる方は抜本的な解決を望んでいるわけではなく、怒りや憤りの感情を処理して欲しいことが大半です。こちらの正当性や法律を持ち出しても、相手の感情処理はできません。

 ・相手の話をしっかりと聞く

 ・謙虚さを忘れない

 ・決めつけない

 ・こちらの正当性のみを主張しない

 これらのことを親切丁寧に時間をかけて行い、それでも納得してもらえない場合、最後の手段として持ち出すのが法律や決まりなのです。

自分が何者か説明する

 クレーム処理を上手にする方法として、自分が何者であるか、ということをしっかりと説明することです。

 ・消防士として働いて1年目の新人です

 ・勤続20年の一般職員

 ・勤続20年以上の管理職、昔は救急車に乗っていた

 自分が救急に対するクレームを入れる場合、クレーム処理能力はさておき、どの立場の人にクレームを聞いてもらいたいかは明白ですね。専門性のある職員が自分に対して、対応してくれている、という感情を相手の方に持ってもらうことで、話がスムーズに流れることがあるからです。

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外からの方がよく見えることがあるということ。

クレームは悪いものではない

 先にも述べましたが、クレームは苦情とは全くの別物です。これを同じと考えていると、クレーム処理は非常に複雑なものになってしまいます。

 しかし、クレーム内容をしっかりと聞いて、適切に対応すれば、多くのクレームは非常にスムーズに解決します。多くのクレームは感情処理が中心です。

 ・不快な思いをさせたことに対しては、積極的に謝る

 ・非を認める謝罪はしっかりと事実確認、内容のすり合わせをしてからする

 この点を押さえておくことが大切です。そして、クレームの中には、処理を進めて行くと、はっとさせられるような内容も少なくありません。

 ・組織の驕り、怠慢

 ・自分の非常識さ、偏見

 このようなことは第三者の視点でなければわからないものなのです。そういったことを指摘してくれるのが、クレームなのです。