YOH消防士の資産運用・株式投資

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消防士投資家から見る税率30%の世界とは

 自民党総裁選挙と高市早苗氏の発言

 任期満了に伴う自民党総裁選挙が9月29日に行われます。

 ・岸田文雄氏

 ・高市早苗氏

 ・野田聖子氏

 ・河野太郎氏

 この記事を書いている時点でこの4名が立候補に乗り出しています。

 4名とも将来的な増税には賛成派です。

 そのなかでも、高市早苗氏の発言が投資家を賑わせています。

 ・50万円以上の金融所得に対して税率を30%にする

 今の税率は20.315%なので、約10%の増税をするというものです。

 株式投資をしている投資家からは様々な意見が出ています。

 公務員・消防士投資家はどのような影響を受けるのか

 ・ほとんどの公務員・消防士投資家は影響を受けない

 ・影響を受けても配当控除で還付される(確定申告する人が増える)

 ・売買益メインで金融所得50万円の公務員・消防士投資家は影響を受ける

 私はこのように考えています。

 そして、高市早苗氏の増税にははっきりとした意図が感じられます。

 ・超お金持ちからの納税を増やすこと

 ・長期投資を推奨していること

 このことについて、順番に解説していきます。

 ほとんどの公務員・消防士投資家は影響を受けない

 公務員・消防士投資家で金融所得が50万円以上ある方はほとんどいません。

 日本株の配当で年間50万円を得ようとするなら、利回り3%で1,700万円の日本個別株を保有する必要があります。

 公務員・消防士にとって1,700万円の日本個別株を保有しているということは大変稀です。

 売買益については、さらに現実的ではありません。

 公務員・消防士は株式投資においても安定した投資手法を好む方が非常に多いです。

 株式投資をしていて売買益をメインにしている方は非常に稀です。

 そして、売買益で50万円、月に4万円以上の金融所得を毎年生み出すことができている公務員・消防士投資家がどれだけいるのかということです。

 影響を受けても配当控除で還付される

 比較的家計に余裕があり、熱心に株式投資に取り組んでいる公務員・消防士投資家の方は年間50万円の金融所得を得ていることは稀ですが、全くいないことはありません。

 現在の税率20.315%なら、課税所得900万円以下であれば確定申告をして配当所得を総合課税として申告する方が税制面で有利でした。

 年収にすると1,200万円以上となる課税所得が900万円以上の公務員・消防士は非常に稀です。

 しかし、税率が30%になれば、課税所得が1,000万円未満なら総合課税を選択した方が税制面で有利となります。

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復興特別所得税0.315%は未記入・見にくくてすいません

 配当控除後の総合課税の税率が課税所得1,000万円未満の方は総合課税の税率が30.2%となり、復興特別所得税を含むと上がった税率は30.515%になるからですね。

 税金が30%になると、今まで還付されなかった0.315%が還付されることになります。

 現在は課税所得が900万円以上なら配当所得については分離課税にした方が税制面で有利ですが、税率が30%になるなら、課税所得が1,000万円以上の方のみが分離課税にした方が税制面で有利ということになります。

 公務員・消防士で課税所得900万円の方はほとんどいませんが、課税所得1,000万円以上はさらに現実的ではない収入です。

 税率が30%になっても、配当メインの投資家は影響を受けないのです。

 それどころか、課税所得900万円から1,000万円未満の公務員・消防士は税金が総合課税を使えて税金が還付されるということになります。

 ※住民税の分離申告を考えると煩雑になるので、今回は考慮していません。

 売買益メインで金融所得50万円の公務員・消防士投資家は影響を受ける

 売買益で50万円以上の金融所得がある方については税率が30%になると影響を受けます。

 売買益は配当控除が使えない譲渡所得になるからですね。

 この場合は、売買益を50万円までに抑えるか、税率の上昇以上に譲渡所得を増やすかということになります。

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キャッチフレーズに惑わされずに分析することが大切

 金融所得を30%にするということに込められたメッセージとは

 高市早苗氏の税率30%の発言は投資家の中で大変話題になっています。

 しかし、配当控除から考えてみると、影響を受けるのはごく一部の投資家です。

 ・課税所得が1,000万円以上

 ・売買益が50万円以上

 ここに該当する投資家が非常に影響を受けるのですね。

 ここから、高市早苗氏の増税の意図がわかります。

 1つ目は超お金持ちの配当所得から納める税金を増やすということ。

 課税所得が1,000万円以上で株式投資をしていれば、配当所得が50万円以下ということは考えにくいでしょう。

 しかし、課税所得が1,000万円の方は納税者でも限られています。

 上位数%の高所得者ですね。

 そこからの納税額を増やそうとしているのです。

 2つ目は長期投資を推奨しているということ。

 売買益が年間50万円というのは、資金が豊富にあり、短期売買が慣れている投資家にとってはそれほど大きな金額ではないでしょう。

 ここの税率を10%引き上げるということは、売買益をメインに資産形成している投資家にとっては大変悩ましいことです。

 しかし、配当所得メインの投資家にとってはそれほど痛手ではない。

 これは、配当収入をメインとする長期投資を促しているのではないか・・・と考えてしまいます。

 あくまでも、私個人の感じたことなので、真意はわかりません。

 消防士投資家から見る税率30%の世界は、配当メインの投資家なら痛みはほとんどない、売買益メインの投資家なら死活問題になり得る。

 そのように考えられるのではないでしょうか。