貯蓄型保険
消防士は民間保険とお付き合いがある方が非常に多いです。そして、消防士の資産運用として大変人気があるのが貯蓄型保険です。
・保険営業マンが手続きを全てしてくれる
・保険とセットで加入している
・銀行預金よりも利率がよい
このようなことが人気の理由ですね。若い方、年配の方問わず貯蓄型保険で資産運用されています。
消防士で資産運用に興味を持たれている方は少なからずいるのですが、株式投資をしている方はマイノリティです。その中で米国投資をしている方はさらに少数ですね。
投資家の間では米国株投資がかつてないほど盛り上がっていますが、世間一般ではまだまだです。ことさら、消防士の職場においては、資産運用=貯蓄型保険が主流です。
貯蓄型保険のデメリット
消防士に大変人気のある貯蓄型保険ですが、私は積極的におすすめはしません。
・商品設計が複雑
・利回りが低いものが多い
・手数料が割高
これが主な理由です。貯蓄型保険は保険と資産運用がセットになっている関係で商品設計が非常に複雑です。
・どんなときに保険が支払われるのか
・何に投資しているのか
このようなことがパンフレットや約款を読んだだけではしっかりと理解できません。そして、利回りは一貫して低いことが多いです。
・30年間で300万円を積立
・30年後に330万円が返ってくる
・途中解約は元本割れする
・死亡、傷害保険が付帯されている
貯蓄型保険で最も多いのがこのような保険内容ですね。長期間積み立てをしていれば、満期になると元本以上の還付金が保障されているものです。
この保険の場合、利率は0.31%です。銀行預金よりも高いのは間違いないですが、途中解約は元本割れのリスク、流動性の低さから考えてると、けっしてよい金融商品とは言えませんね。
さらに、貯蓄型保険で多いのは数字のマジックが使われている商品があるということです。
数字のマジック
貯蓄型保険のパンフレットにある商品で多いのはこのようなものですね。
・月に50,000円を積立て(年間60万円)
・積み立てを10年間積み立てていれば、毎年30,000円が還付される
・利回りは5%
このような説明をされている貯蓄型保険は少なからずあります。5%の利回りと言えば非常にハイパフォーマンスです。リスクのあるS&P500の平均リターンが7%前後と言われているで非常に魅力的ですね。
しかし、正しい利回りではありません。よく考えれば小学生でもわかるような数字のマジックが使われています。1年目は積立金60万円に対して3万円の還付があるので、利回りは5%なのですが、2年目も5%の利回りを得るには還付金が6万円必要になります。
これならば、10年間を通しての利回りが5%になりますね。10年後には年間の積み立て支払い額は60万円(積立合計は600万円)で還付金が30万円。これが利回り5%の世界です。
しかし、年間3万円ずつしか還付されない保険商品の実利回りは5%もありません。
実際には1.46%の利回りとなる。貯蓄型保険を契約する際には、これを理解する必要があるのです。ここにさらに購入時手数料、運用経費が1%かかるとすると、利回りは0.46%になります。もし、手数料が2%かかっているとマイナス運用しているということになりますね。
貯蓄型保険で資産形成は難しい
消防士に大変人気のある貯蓄型保険ですが、これで資産形成をすることは非常に難しいのです。
・途中解約で元本割れするため流動性が著しく低い
・利回り計算が巧妙
このような問題を抱えているからですね。中にはお宝保険と言われるような好条件のものもあるのかもしれませんが、探し出すことは非常に困難です。
貯蓄型保険が全くダメな資産運用かと言えばそうではありません。
・期間満了すれば元本割れはしない(インフレを考慮せず)
・自動積立機能として使うことができる
・銀行よりは利回りがよい
・保険が付帯している
このようなメリットは確実にあります。
貯蓄型保険を選ぶ際に重要なことは、「商品をしっかりと理解する」ことです。
・実際の利回り
・自分に長期間積み立てができるか
・保険の保証範囲
これらのことをしっかりと理解して加入することは問題ありません。
私自身は貯蓄型保険には加入していません。すぐに目に付くような貯蓄型保険に魅力的なものはないことと、お宝保険を探し出す必要がないからです。
貯蓄型保険よりも魅力的なのは米国株式です。単純に作られており、商品説明は完結明瞭です。誰でもどのタイミングで購入することができ、流動性も非常に高い。
米国株式投資をしていれば、わざわざお宝保険を探し出す必要がないのです。消防士の資産運用は貯蓄型保険ではなく、米国株式を中心にすることが最もいいのです。