火災活動
消防士の仕事として最も想像しやすいのが火災の消火活動です。
・建物火災
・車両火災
・船舶火災
・航空機火災
・林野火災
・その他火災
全ての火災はこの6つのどれかに定義されます。一般的に想像しやすいのは建物火災ですね。
・家から煙が上がっていると119番通報がある
・消防車両で指令場所まで行く
・逃げ遅れがいないか確認する
・消火活動をする
・活動が完了すれば引き揚げる
活動内容としては非常に単純です。しかし、毎回反省点が見つかる。それが火災活動です。
消火活動はシステマティックに
建物が燃えているとの通報があれば、消防車両が複数同時出動します。自治体によって台数は異なりますが、最初に5台~8台、火災の規模が大きければさらに追加でどんどん車両が出動して、火災活動に当たります。一軒家が全焼するような火災だと10台以上で消火活動に当たります。
消火戦術は自治体によって特色が出ますが、多くの自治体では到着順にすることが決まっています。それぞれの消防車が独自の考えで消火活動をしてしまうと、効率的に災害対応することができないからですね。
・最先着隊は建物正面の防御活動
・2番着隊は最先着隊のバックアップ
・3番着隊は建物背面の防御活動
・4番着隊、5番着隊は建物側面の防御活動
・6.7.8番着は隣接建物の延焼防止活動
到着順によって、やるべきことをある程度決めておく。システマティックに行動することによって、効率的に活動することができるのです。
マニュアル通りにはいかない
自治体によっては、火災戦術マニュアルを作成しています。こういう火災があればマニュアルに沿って活動しなさいよ、ときちっと決められているのですね。消火隊はそれに沿って訓練を行っているのです。
しかし、マニュアル通りにいかないのが実際に消火活動です。
・最先着と思われていた隊が踏切待ちで到着が遅れた
・部署しようとしていた消火栓に他の消防車が先に部署していた
・地理的要因で建物正面からしか消火活動ができない
・無線が混線して正確な情報が得られない
実際の火災ではこのようなことが少なからずありますね。時間によって状況が大きく変化する災害状況に多くの人数、車両で対応するのでヒューマンエラーとは言えない、防ぎようのない様々なイレギュラーが発生してしまうからです。
イレギュラーは他隊との連携でカバーする
イレギュラーが発生した場合、ひとつの隊では対応できないことが多々あります。
・背面の火勢が強くて近づけない
・無線が混線していて聞き取れない
このような場合、必要なのは他隊のフォローです。他隊がフォローしてくれることによって、状況を立て直し、消防力を優勢して消火活動を進めていく。
・後着隊が火勢の強い箇所の防御活動を援護する
・状況を的確に把握している隊が適切な情報をまとめて送信する
その結果、火災による被害を必要最小限度に軽減することができるのです。火災活動にイレギュラーはつきものですが、隊同士がフォローし合うことによって、適切な消火活動ができているのです。
株式投資でもフォローが大切
株式投資は火災と同様に次の状況が予測しづらいですね。ほんの少しのイレギュラーによって、大きく状況が変わってしまうことは、株式投資をしている誰しもが経験していることではないでしょうか。
火災でも建物正面からの消火活動のみをしていては、イレギュラーが発生した時に、後手に回ってしまい、被害を拡大させてしまいます。
・正面よりも背面の方が火勢が強くなっていった
・背面側にプロパンガスボンベがあった
一点集中はハマった時の効果は高いですが、不測の事態に非常に弱いのです。
・側面はあまり燃えていないが防御するための隊を配置しておく
・バックアップ要員は過剰すぎるほど確保しておく
このように消防力を分散させてでも、不測の事態に対応しておくことによって、結果的に被害を軽減できるのです。
これは株式投資についても同じです。
・S&P500のみに資金投下
・特定の個別銘柄のみへの短期集中投資
・余裕資金を持たずにひたすら株式投資へ資金投下
・大きくレバレッジをかける
このような株式投資はハマれば大きく資産を増やしますが、非常に危ういのです。
・暴落
・読み違い
・誤った情報管理
このようなことで株式投資の世界から退場する危険性を孕んでいるのです。株式投資の基本は分散投資です。
・米国株式に軸足を置きつつ全世界株式も購入
・余裕資金は厚めに持つ
・長期間で資産増加させる計画
ポートフォリオ、アセット、時間を分散させることによって、結果的にうまく行く。火災活動も株式投資も重要なことはリスクを分散させておくことなのです。