NISAの満足度調査
4月11日に金融庁から「NISAの満足度に関する調査」の調査結果が公表されました。
※以下のNISAに関するグラフはこのサイトから引用
調査の概要としては、金融庁から委託を受けた野村総合研究所が昨年の6月から7月にNISA口座を保有している方を対象として行われました。
設問は9問あり、回答サンプル数は96,030サンプルとかなり大規模な調査であることがわかります。
調査の詳細な結果はパワーポイントで60スライドとかなりボリュームがあり、内容は非常に興味深いです。
今回は「NISAの満足度に関する調査」についてのいくつかの項目に触れて、そこからわかることを考えてみたいと思います。
NISAの満足度に関する調査からわかること
NISAの満足度に関する調査ではNISA口座保有者の金銭状況をかなり具体的に集計しています。
私が特に注目する必要があると感じたのは以下の3つの調査結果です。
・個人年収
・保有有価証券総額
・NISAへの年間投資額
順番に確認していきます。
個人年収
NISAの満足度に関する調査でひとつ目の注目するべきポイントは「個人年収」です。
この調査結果を確認すると、NISA口座を保有している方の年収で最も多いのは「300万円~500万円未満」です。
サンプル数の最も多いネット証券利用者を抽出して確認すると以下のようになります。
・100万円未満 8.1%
・100万円~300万円 16.9%
・300万円~500万円 28.5%
・500万円~700万円 21.3%
・700万円~1,000万円 14%
・1,000万円~2,000万円 6.4%
・2,000万円以上 0.9%
この調査結果からわかることは「収入とNISAを利用している方の割合はそれほど関係がない」ということです。
総務省が公表している国民生活基礎調査の概要によると、所得の割合は上のグラフのようになっています。
・100万円未満 5.4%
・100万円~300万円 26.4%
・300万円~500万円 23.9%
・500万円~700万円 16.2%
・700万円~1,000万円 15.3%
・1,000万円~2,000万円 11.3%
・2,000万円以上 1.4%
所得の割合を抜粋するとこのようになり、NISA口座保有者の年収と非常に似通った割合であることがわかります。
ここからわかることは、「年収が高ければ誰しもがNISA口座を保有しているわけではない」ということです。
・年収100万円未満のNISA口座保有率が所得の割合と比較して著しく低い
・年収2,000万円以上のNISA口座口座保有率が10%を超えている
このようになっていないことから、年収が高いほどNISA口座のような株式投資に欠かすことができない制度を利用しているわけではない、ということです。
保有有価証券総額
NISAの満足度に関する調査で2つ目の注目するべきポイントは「保有有価証券総額」です。
保有有価証券総額は上のシートのようになっています。最もサンプル数の多いネット証券の部分を確認していきます。
・100万円未満 35.9%
・100万円~300万円 22.8%
・300万円~500万円 10.5%
・500万円~700万円 6.1%
・700万円~1,000万円 5.6%
・1,000万円~2,000万円 7.4%
・2,000万円~3,000万円 3%
・3,000万円~5,000万円 2.1%
・5,000万円以上 1.8%
パーセンテージを抽出するとこのようになり、このことからわかることが少なからずありますね。
・NISA口座保有者の58.7%は有価証券を300万円以上保有していない
・有価証券保有額が1,000万円を超えているのは14.3%
このようなことがわかります。このことから、有価証券を300万円以上保有しているというのは、非常に積極的に資産運用を行っており、資産形成をしているということです。
NISAへの年間投資額
NISAの満足度に関する調査で3つ目の注目するべきポイントは「NISAへの年間投資額」です。
NISA口座保有者のNISAへの年間投資額は上のシートのようになっています。
ここで注目するのは、一般NISAであれば100万円~120万円年間投資している割合が42.6%、つみたてNISAで30万円~40万円投資している割合が62.4%であるということです。
・一般NISA 57.4%
・つみたてNISA 37.6%
逆に言えば、これだけの方が一般NISA、つみたてNISAの枠を満額使えていないということです。
このことから考えると、NISAの枠を満額使い切ることができているというのは資産形成を積極的に行えていると考えておいてよいということです。
YOHの考え
今回は「NISAの満足度に関する調査」について確認していきました。
・個人年収
・保有有価証券総額
・NISAへの年間投資額
この3項目からわかることは以下のとおりです。
・年収が高ければ誰しもがNISA口座を保有しているわけではない
・NISA口座保有者の58.7%は有価証券を300万円以上保有していない
・つみたてNISA口座保有者の37.6%は満額使えていない
このようなことがわかるということです。ここから考えると、有価証券を300万円以上保有しているというのは非常に資産形成に積極的であるということです。
・有価証券 300万円
・現金 700万円
このように資産が1,000万円以上ある状況であれば、蓄財優等生であるということです。
もちろん、現在のこのような状況でなくとも資産形成が順調である世帯は少なからず存在します。
・NISA口座を毎年満額使うことができている
このような状況であれば資産形成を焦る必要は全くないということです。世の中にはお金持ちというのが数多くいます。そして、上を見ればキリがありません。
しかし、一般的な生活をして幸せに生きるのであれば、それほど多くのお金は必要ないということです。
そして、資産形成で大切なことはとにかく焦らないことです。自分のペースで少しずつでもよいので、コツコツを資産を積み上げていくことです。
しかし、その地道な作業というのは多くの時間を使いますし、他人の状況に目移りしてしまうことがあります。
そんな時に大切なのは自分の状況を数字を交えて客観的に見ることです。
・NISA口座保有者の58.7%は有価証券を300万円以上保有していない
・つみたてNISA口座保有者の37.6%は満額使えていない
このような状況を確認して、自身の資産形成状況を確認することが非常に大切だということです。
周囲の状況を確認して地に足をつけた資産形成を行うことを継続することができたのであれば、お金に振り回されることがない人生を送ることができるのだと私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
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