日刊SPA!の記事
日刊SPA!にこのような記事が掲載されており、非常に興味深い内容でした。
サラリーマン投資家のしばごさん(48歳)は、節約生活と資産運用で資産1億円になり、趣味も満喫しているという内容です。
記事を読んでいると疑問点が多々あり、節約や資産運用の勉強になるという印象です。
今回はこの【超節約生活で1億円】の記事について、私の考えを交えて触れて行きたいと思います。
しばごさんの節約
・2人世帯
・世帯年収1,000万円(夫:広告代理店勤務年収600万円、妻:公務員年収400万円)
・節約と投資で2020年に資産1億円に到達
しばごさんの属性はこのようになっています。夫婦共にフルタイムで働いており、世帯年収が1,000万円を超えている典型的な蓄財しやすい世帯状況です。普通に生活していくだけでも蓄財が進みそうなのですが、記事にはしばごさん世帯の節約エピソードが紹介されています。
・独身時代は寮生活
・結婚後は、妻の実家の納屋を改造した家屋に16年間住み、家賃を払ったことがない
・冷暖房は使用しない
・車はヤフーオークションで500円のものを所有
・服食費はしまむらや100円ショップ
・遊びは株主優待を利用
節約エピソードはこのようなことが挙げられています。現在は3年前に現金一括で購入した6,000万円の新築マンションに居住されているとのこと。
しばごさんの家計簿
・住居費 2万円(管理費・共益費)
・通信費 1万円
・光熱費 0.6万円
・保険料 2万円(自動車保険、火災保険等)
・食費 8万円
・日用品費 5万円
・娯楽費 1万円
・その他 2万円
・合計 21.6万円
しばごさん世帯の月の支出はこのようになっています。月にキャッシュフローが80万円あり、21.6万円で生活しているというのは非常に優良な家計管理ができているということですね。
しばごさんの資産運用
しばごさん世帯では生活費以外は貯蓄と資産運用にお金を回しているということです。貯金と投資の比率が記事には書かれていないので詳細はわかりません。
・ラップファンドで守りの投資
・年利6%を目標にのんびりとした投資をしている
詳細はわかりませんが、資産運用に関してはこのようなスタンスでいるようです。
気になるところ
ご夫婦で資産形成に取り組み資産1億円を築いたしばごさん世帯ですが、気になる個所があります。
・住宅を一括購入
・冷暖房は使わないが食費は8万円
・ラップファンドに資産投下
・年利6%ののんびり運用
私が気になったのはこの4点です。
1点目は住宅をローンを組まずに購入した点です。新築マンションは一括購入せずに、住宅ローン減税を利用すれば、最大で600万円、少なくとも300万円~400万円は控除を受けることができます。これを何故利用しなかったのかということ。
2点目は冷暖房は使わないが、食費が高額で車を所有しているということ。食費は現在の数字なので、家屋に住んでいたころと比較はできませんが、食費と節約のバランスが悪いと感じます。車を持たずに、食費減らして家賃に回せばよいのでは、ということです。
・食費 8万円 → 3万円
・家賃 0万円 → 7万円
・車両 2万円 → 0万円
超節約生活をするのであれば、こちらの方が満足度は高いように感じます。家賃に関しては個人の考えや地域差があるでしょうが、地方都市であれば月7万円で3LDKの物件は十分に借りることができますね。いずれにしろ、超節約生活で食費8万円で車を所有するというのは、チグハグということです。
3点目は資産運用についてです。ラップファンドで守りの投資をしながら年利6%を目指すということです。
ラップファンドは証券会社に資産運用を一任するので、手間はかかりませんが、手数料が高いのですね。
・販売手数料
・信託報酬
・売買手数料
・その他の手数料
これらで3~5%かかることが一般的です。そのため、年6%ののんびり運用をするためには、ラップファンドで年利10%近くをコンスタントに出していく必要があるということです。
YOHの考え
夫婦で資産1億円を築いて、6,000万円の新築マンションをキャッシュで一括購入するというのは、資産形成に真剣に向き合わないとすることはできません。
しかし、しばごさん世帯がもっと上手に資産形成していれば、1億円ではなく、1億5000万円~2億円は資産形成できていたのではないかというのが私の感想です。
・家賃0円で生活する
・冷暖房を使わない
このような方法で節約するというのは、個人的にはおすすめしません。節約額と生活の質低下を勘案した場合、割に合わないと感じることが多いからですね。(このあたりは個人の価値観によりますが・・・)
また、ラップファンドで年利10%というのは現実的ではないですね。単年で見れば達成することは難しくないですが、長期に渡って市場平均を上回る利回りを出すことは非常に難しいですね。
ラップファンドで利回りが良いのは商品設計が優れていたのではなく、相場が良かったからと考えるべきだということです。いずれにしても、ラップファンドで年利10%というのは難しいということです。
しばごさん世帯は特に節約や資産運用をすることなく、普通に生活していても、資産1億円に到達していたと私は考えています。
・月の世帯収入 80万円(株式の配当金含む)
・年間収入 960万円
・月の支出 25万円
・年間支出 300万円
・年間貯蓄額 660万円
これならば、15年で資産1億円に到達できるのですね。2人世帯で月25万円の支出というのは、贅沢をしなければ十分に暮らしていける金額です。
公務員や会社員の資産形成において大切なのは、支出のコントロールと資産運用です。両方とも取り組めば効果はありますが、ある程度でよいということです。
支出のコントロールと資産運用はある程度まですれば、それ以上は労力の割にリターンが見合わなくなるのですね。厳しい言い方をすれば、しばごさん世帯はこのバランス感覚に欠けているということです。
支出のコントロールと資産運用は満点を目指す必要はないということです。ご覧いただきありがとうございました。
ヤフーニュースの記事についてはこちらです。
YOH世帯も夫婦で資産形成をしています。