含み損を抱えた銘柄
個別株を複数保有している場合、全ての銘柄で含み益が出ている状態を維持することは非常に困難です。長期投資前提で10銘柄購入すれば3つの銘柄は含み損を抱えることになる、ぐらいは当たり前と言ってよいですね。
・配当目的
・株主優待目的
このようなことが魅力で購入したのであればなおさらですね。短期売買のために購入した銘柄であれば、損切ラインを決めてスパッと売ることができるのでしょうが、長期投資前提の銘柄ではそれは難しいですね。
そして、含み損を抱えた銘柄を長期間保有することは気持ちのよいものではありません。ずばり言ってしまえば、株価の下落に合わせて損切したくなるということです。
・配当目的なので株価の値下がりは問題ではない
・株主優待目的なので株主優待が維持されればよい
このように思っていても、購入時よりも株価が下がっていると損切したくなるのが投資家心理ですね。そして、損切の基準は長期投資と短期投資では大きく異なります。
・長期投資と短期投資の損切に違いについて
・損切すべきポイントについて
今回はこの2点について考えてみたいと思います。
長期投資と短期投資の損切の違いについて
株式投資でよく言われるのが、「未熟な投資家は損切できない」ということです。しかし、これは長期投資家には当てはまらないと私は考えています。長期投資家と短期投資家では同じ銘柄を見ていても目線が異なるからですね。
・株価
・トレンドライン
・移動平均線
・終値
・一目平均線
・水平線
デイトレードやスイングトレードなどをする短期投資家が重視するのはこのような出入りが大きい数字です。一方で長期投資家が重視する数字は全く異なっています。
・総資産
・PBレシオ
・PERレシオ
・配当性向
・有利子負債
・連続増配
長期投資家の場合、銘柄選定の際に最も重視するのはこのような数字ということです。そして、長期投資家が重視する数字は毎日大きな動きがあるわけではありません。
・四半期ごと
・半年ごと
このようなペースで更新されることが多いということです。しかし、株価は毎平日上下動があります。
・1週間で10%株価が下落
・今年最安値を更新した
このようなことがあれば、株価を気にする短期投資家は行動する必要がありますが、長期投資家は行動する必要が無いということです。重視している数字に変化が無いからですね。
株価が下がろうが、重視している数字に変化がないのであれば損切せずにホールドし続けるのが本質的だということです。そのため、長期投資家は短期的な株価の変動で損切をすべきではないということです。
YOHの考え
短期投資家が株式購入時に最も重視する数字は株価です。株価の上下動によって、自分の投資の成否が変わるからですね。
・取引開始から1時間で30円株価が上がった
・1,000円で購入した株式が1週間で1,100円になった
このような数字の動きに反応して利益を出す必要があるということです。その動きを考えるために必要なのがトレンドラインや移動平均線ということです。
長期投資家も株式購入時に株価は重視しますが、短期投資家と比較すると、それほどシビアに見なくともよいということです。
・業績が落ち込んでも配当を出すことができるか
・そもそも会社自体が潰れることはないか
長期投資家はこのようなことを考えて株式購入するということです。その分析に用いるのがPBレシオやPEレシオ、配当性向といった数字だということです。
そのため、現在の円安や米国の利上げについても長期投資と短期投資では反応の仕方が異なるということです。
数字を考える上で、短期投資の場合はPBレシオやPEレシオはそれほど気にする必要はありません。極端に言ってしまえば、株式購入した企業が1年後に無配当になったり倒産する可能性があっても問題ないということです。しかし、長期投資家にとってはそれは避けるべきだということです。
・株式購入した理由の根底が変化する(株主優待廃止など)
・連続増配が途切れる
・配当の出し方が変わる
・企業の経営方針が大きく変わる
長期投資家が購入した株式を手放すのはこのような場合のみでよいということです。このような場合、株価がどのようになっていてもその企業の株式は手放す必要があると私は考えています。
・配当の出し方が変わったけど含み損を抱えている
・経営方針が大きく変わったけど、移動平均線を見ていると株価が上がりそう
長期投資でこのようなことを考えるのは本質的ではないですね。長期投資は株価ではなく、このような動きに反応して損切をしなければならないということです。
長期投資をする上でしてはいけないことのひとつは、マスメディアやSNSの情報に過敏に搬送してしまうことです。
マスメディアやSNSの情報というのは、多くの場合、大きな見出しで興味を引くことができる即効性のある情報です。
・日経平均が1,000円安
・S&P500が年初来安値を更新
このような情報は長期投資においては不要であることが多いのですね。長期投資において大切なのは、そのような情報ではない場合が非常に多いということです。
・自分自身でしっかりと数字を確認する
・自分自身で考えて長期的な視点を持つ
長期投資の損切においてはこの2つが何よりも大切だと私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
長期のインデックス投資をする方の中には、短期投資に対して否定的な考えを持つ方もおられますが、それは本質的ではないですね。少ない元手で短期間に資産増加させるためには短期投資は欠かせません。
ボラティリティの少ない金融商品を長期投資のコアに据えて、短期投資をサテライトにおいて資産運用するのはよい戦略ですね。
短期投資においても投資のコアを定めることは大切です。そして、短期投資のコアには意外なものが合っているということです。