東京都のこどもに月5,000円支給案
1月4日に東京都の小池知事が新年の挨拶の中で言われたのが、「チルドレンファースト」というフレーズを用いた少子化対策です。
その少子化対策のひとつとして、東京都の0歳から18歳のこどもに対して親の所得に関係なく、月5,000円の支給を行うなどの取り組みを考えていることを公表しました。
金額の根拠としては東京都の教育費が全国平均と比較して月5,000円高いというものですね。
この東京都の月5000円の支給に対しては様々な意見が上がっています。
・月5000円の支給はありがたい
・月5000円では教育費の足しにならない
・ゼロがひとつ足りないのではないか
・ばら撒き、選挙対策だ
SNSなどを目にするとこのような意見が挙がっています。
「支給されることはありがたいが、金額的には不十分」と考えている方が多い、というのが私の印象です。
こどもを持つ家庭において、こどもに対するお金の悩みは尽きることがありません。そのようなこどもに対する行政の補助というのは非常にありがたいものですね。
そして、子育てに対する行政の補助として全国的にあるのが児童手当です。東京都のこどもへの月5,000円支給はこれに上乗せされる形で行われることになります。
・児童手当について
・月5000円は支給額として少ないのか
・月5000円の支給が少ないと感じる人に欠けている思考とは
今回は子育て支援について、この3点を中心に考えてみたいと思います。
児童手当について
子育て世帯にとって金銭的に最も大きい公的扶助が児童手当です。児童手当について軽く触れておきます。
・中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)支給
・3歳未満が1.5万円/月、3歳~中学校卒業までが1万円/月
・第3子以降は小学校卒業までが1.5万円/月、それ以降は1万円/月
・高所得者の場合は0.5万円/月
児童手当の大まかな概要はこのようになっています。支給は年間3回(6月、10月、2月)に4カ月分が銀行口座に振り込まれることになります。
児童手当の総額は1人あたり198万円になります(第3子以降は252万円)。子育ては非常にお金がかかるので、国がそれを支援してくれる制度ということです。しかし、一定の所得水準以上の方は支給額が減額されてしまいます。
収入額はあくまでも目安ですが、課税所得が622万円以上ならば児童手当は月0.5万円に減額される可能性があるということです。さらに、2022年10月からは夫婦いずれかの年収が1,200万円以上であれば、児童手当は支給対象外となります。
・夫 年収1,200万円 妻 専業主婦 → 児童手当給付対象外
・夫 年収800万円 妻 年収600万円 → 児童手当給付対象
世帯年収ではなく、収入が多い方が1,200万円を超えている場合なので、共働きで世帯年収が1,200万円以上でも支給対象となる場合があります。
今回の東京都の5000円支給はこれに上乗せされる形で行われることになります。
・月5000円
・年間6万円
・総額108万円(0歳~18歳)
これだけが児童手当に上乗せされるということです。
・第一子 306万円
・第三子以降 360万円
東京都で月5,000円の支給が実現した場合、フルに受け取ればこれだけの金額が補助されるということですね。
月5000円の支給が少ないと感じる人に欠けている思考とは
今回の東京都の5000円支給で一部の方が言われているのが、支給額が十分ではないということです。
・月5,000円ではそれほど教育費の足しにならない
・子育てにはもっと多くのお金がかかる
このような意見が見受けられます。しかし、ずばり言ってしまえば、こどもの教育にはどれだけお金があっても十分ということはありません。
こどもの教育資金というのは、ある程度の線引きをしておかないと無限にお金を使ってしまうということです。
・幼少期から高等な教育を受けさせたいので、私立幼稚園に入学
・様々な知識を身に付けさせるため、多くの習い事に通う
このような機会をできる限りこどもに与えてやりたいというのが、親としての当たり前の感情です。
しかし、このようなことには多額のお金がかかります。そして、こどもにお金をかけたからと言って、結果が伴うかどうかはわかりません。
非常に生々しい言い方をしてしまえば、こどもの教育資金は人的資本への投資ということです。
・入学金
・授業料
・学習塾代
・教科書、参考書代
教育資金の難しいところは、これらに大きく資産投下しても成果が得られるかわからないということです。
・少ない教育費でこどもが年収2,000万円の医者
・幼稚園から私立に通っていたが、年収400万円の会社員
このような事例はありふれていますね。教育資金に多くのお金を投下したからといって、ペイできるということはないのです。
※当たり前ですが、年収2,000万の医者が年収400万円の会社員よりも幸せで優れているというわけではありません。教育には人格形成などお金で表せない部分も多々あり、そちらの方が重要です。
そのため、東京都が行おうとしている、月5,000円の支給というのは金額の問題よりも、そのお金を親がどのように活かすことができるか、というのが非常に大切だということです。
YOHの考え
今回は、東京都のこどもに対して月5,000円を支給する政策について触れてみました。
東京都はこの政策に1,200億円かかると想定しています。東京都の2022年度の一般会計は7兆8,000億円ほどなので、全体の1.5%ほどをこの政策に充てるということです。
この1.5%というのは、消防組織で働いている人間からすると少なくなという印象です。
一般的に消防行政にかかる費用というのが一般会計予算の3~4%ほどです。
東京消防庁の令和4年度予算が2,540億円で、一般会計予算の内の3.5%ほどです。このように考えると、今回の政策は東京都としては、少なくない金額を使おうとしているということです。
そして、この月5,000円という金額は0歳から受取りを開始すれば総額で100万円以上になります。
このお金をどのように活かすのかは、親の使い方によるところが非常に大きいということですね。
親としては、そのことを理解して有効に使うことができるように考えに考え抜かないといけないということです。
・家計の足しに使った
・何となくの外食に使った
このような使い方というのは本質的ではないということです。
私自身は東京都在住ではないので、この月5,000円支給とは関係ありませんが、こどもに対する行政の補助による恩恵というのは多分に受けることができています。
・児童手当
・こどもが大きくなれば扶養控除
このようなこどもに対する国からの金銭的な支援は決して少ないものではありません。
そして、この恩恵を十分に活かすお金の使い方ができるようにしようと考えています。
東京都のこどもに対する月5,000円の支給を十分ではないと考えるのは、ある程度は理解ができます。
しかし、そこに不平不満を言って、際限なく子育て支援を要求するというのは本質的ではないですね。
・月5,000円が支給されればそれをどのように使えば最も費用対効果が高いか
5,000円という金額を無価値にするか、5,000円以上の価値のあることに使うかどうかは親の使い方にかかっているということです。
親としては、もらうことができる手当を不十分と考えるのではなく、限られた範囲の中で受け取ることができる公的扶助をどのように使うのが最も良いかを熟考して使うことが大切だと私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
私の世帯では児童手当はインデックス投資に充てています。そして、こどもが大きくなれば渡したいと考えています。
教育資金というのはかけようと思えば青天井です。収入などに応じて目安を設定しておく必要がありますね。
教育費とは他と比較してもインフレが進みやすいものです。こどもの人口が減れば、さらにインフレが進んでもおかしくはないですね。