ラップファンド
資産運用の選択肢のひとつとしてラップファンドがあります。ラップファンドとは、投資家に代わって金融機関が資産の運用、管理などを行う資産運用サービスです。
・投資家はお金を出すだけでよい
・運用は金融機関が行う
・金融機関と打ち合わせをして投資方針を決める
このような特徴がラップファンドにあります。金融機関に資産運用を一任契約して、運用をお任せする形をとることが一般的です。そのため、誰にでも利用できるわけではありません。多くの場合、ある程度まとまった資金が必要と言うことです。
野村証券ののむラップを見てみると、スタートラインが500万円からとなっています。
平均的な公務員や会社員にとっては簡単な金額ではないですね。
そのため、公務員や会社員でラップファンドに資産投下する選択肢を取るのは、主に定年退職した方です。
・退職金がある
・将来について漠然とお金に対する不安がある
このような理由から退職金をラップファンドに資産投下するということです。しかし、公務員や会社員が退職金でラップファンドに資産投下することは、資産形成に向いているとは言い難いというのが私の考えです。
・手数料が高い
・投資適格とは言い難い投資信託に資産投下している
主にこの2点で資産形成には不向きだと考えています。
手数料が高い
退職金をラップファンドで資産運用することが向いていない理由の1つ目が「手数料が高い」ということです。ラップファンドは金融機関と資産運用の一任契約を結ぶので、顧問料などが必要となります。
大和証券のラップファンドフィーを確認すると、金額が上がるにつれて手数料が安くなっていきますが、1億円以下なら0.77%~1.76%、1億円以上なら0.55%~1.1%となっています。
ラップファンドに3,000万円資産投下していたのなら、手数料で23.1万円~52.8万円がかかることになるということです。
投資適格とは言い難い投資信託に資産投下している
退職金をラップファンドで資産運用することが向いていない理由の2つ目が「投資適格とは言い難い投資信託に資産投下している」ということです。
日本で購入できる投資信託は約9000本あると言われていますが、この内95%以上は投資不適格の金融商品だと言われています。
そして、投資不適格である投資信託の多くは商品設計に問題があるのではなく、手数料の高さに問題がある場合が多いのですね。
・購入時手数料
・運用手数
・売買手数料
・信託報酬手数料
・信託財産留保額
このような手数料を全て含めると、インデックスファンドなら1~2%、アクティブファンドなら2%以上かかる投資信託は、投資不適格とみなされることが多いということです。
しかし、ラップファンドはこのような投資不適格の投資信託を購入している場合が非常に多いということです。そして、この手数料は出資者が負担します。
3000万円を資産投下していたなら、安全性重視プランで年間30~60万円、積極的プランなら60万円以上が手数料として出ていくことになるということです。
YOHの考え
残念ながら、ラップファンドは投資家のために作られた金融商品ではない、というのが私の印象です。ずばり言ってしまえば、金融機関が儲けるために作られた金融商品だということです。
・割高な手数料
・敷居を高くして特別性を持たせる
・高齢者をターゲットにしている
このようなことから、それは明らかということです。目線が投資家に向いていないのですね。
これらのことを考えると、退職金をラップファンドで資産運用することで、資産形成することは非常に難しいというのが私の印象です。
・顧問料 年間23.1~52.8万円
・投資信託手数料 年間30~60万円
・合計 53.1万円~112.8万円
ラップファンドに3000万円を資産投下していた場合、100万円以上の手数料がかかるということです。これは非常に割高ということですね。
もちろん、ラップファンドが全ての方にとって悪いということではありません。
・綿密な資産運用の相談
・個人に合わせた資産運用プランの作成
・運用状況の報告
これらのことは費用がかかるため、顧問料がかかるのは当然ということです。年間1~2%の手数料が手間と見合っているかは、個人の価値観によるからですね。
私は株式投資などの資産運用はある程度、自分で考えて学習する必要のあるものだと考えています。そうしないと、自分が適切な資産形成をできているかが判断できないからですね。
・資産が5年で1,000万円から2,000万円になった
これは、一見すると順調な資産運用に思えますが、実体はわかりません。
・ある程度の知識があれば、3,000万円になっていたかもしれない
・ある程度の知識があれば、期間を3年に短縮できたかもしれない
このようなことがあるからですね。金額が増えている=自分の資産運用は最適だ、と判断することができないということです。
よりよい方法にたどり着くためには、知識の習得やアップデートは必要不可欠というのが私の考えです。
ご覧いただきありがとうございました。
退職後、どのように人生を過ごすかは決めておく必要がありますね。働き続けるという選択しかできないことは避けた方がよいというのが私の考えです。
退職して老後生活を迎える時に頼りになるのが年金です。年金の受給金額は現役時に把握しておいた方がよいですね。
十分に資産形成ができていても老後に働くことは悪いことではないですね。