消防士の離職率について
日本の就職事情には独自の制度があります。
・新卒一括採用
・終身雇用
多くの人は高卒、大卒と同時に就職するのが一般的です。そして、就職した会社に定年退職まで勤める。これがスタンダードでしたが、時代の変化とともに終身雇用に関しては崩壊しつつあります。
しかし、公務員・消防士にはまだまだ、終身雇用制度が根付いています。
【離職率】
・パートタイムジョブ 26%
・民間営利企業の離職率 11.4%
・公務員(一般行政職) 0.8%
・消防士 0.6%
離職率は民間営利企業と比較して約20分の1ですね。非常に離職率が低いのが公務員・消防士の仕事ということです。
離職する理由
消防士の離職率は0.6%ですが、実際に自己都合で退職する方はさらに少ないですね。
・刑事事件
・行政罰
このような不祥事によって、懲戒免職になる職員は一定数存在します。消防士の不祥事は毎日のようにメディアで報道されていますね。これを加味すると、実際の離職率は0.4%ほどですね。
また、退職して別の仕事をする方は非常に少ないです。
・他の自治体の消防へ再就職
・行政職へ再就職
多いのが、他の自治体の消防や行政職に再就職するパターンですね。
・地方自治体の消防ではなく、東京消防庁のような大きな消防組織で働きたい
・地方の自治体消防に就職したが、地元の消防組織で働きたい
・消防職ではなく、行政職として働きたい
離職する理由は様々ですが、離職しても公務員・消防士として働く道を選ぶ方は少なくない印象です。
離職率は自治体によって差がある
消防の離職率は0.6%ですが、自治体によって差があるのが特徴です。
・時代遅れの年功序列
・色濃い人間関係
・休みの日にまで仕事の付き合いがある
自治体によっては、このような時代遅れと言える職場環境の消防組織も少なからずあります。こういった自治体では働き始めてから3年以内の離職率が30%を超えている場合も珍しくありません。
こういった職場環境は激しく人を選びます。合う合わないがはっきりしていると言うことですね。合う人にとっては非常に働きやすい職場なのでしょうが、多くの方には合わないですね。
田舎の方の自治体がこのような傾向が強いわけではありません。中核市のような人口も多く、消防職員の数が多いような自治体でも、時代遅れの職場環境は存在します。
それを加味すると、時代に即した職場環境を形成することができている消防組織は非常に働きやすいと言えます。
・パワハラ
・セクハラ
・モラハラ
このようなことは時代の流れとともに、非常に少なくなっています。環境整備がなされている消防組織ではまず起こりません。過去には一定数あったのでしょうが、現環境に合わない考え方は自然淘汰されていくのが一般的なのです。
消防組織は概ねホワイト企業
離職する方の多くは就職して5年以内の20代職員です。離職理由として最も多いのが「人間関係のトラブル」です。
・先輩と相性が悪い
・上司とそりが合わない
このような理由が多い印象です。こういった理由で離職する消防士は他の自治体消防へ再就職するパターンが多いですね。消防の仕事自体は好きだけど、就職した自治体には合わなかった、ということですね。
・離職率は0.6%
・離職しても他の消防組織で働く選択をする
このようなことを考えると、消防組織は概ねホワイトな職場環境が整備されていると捉えることができるのではないでしょうか。
経験談
私の働いている自治体は、柔軟とは言い難いですが、時代の変化について行こうと努力はしています。そういった甲斐あって、離職率は全国平均を下回っています。離職率は0.3%ほどです。
・時代遅れの年功序列
・色濃い人間関係
・休日に仕事のことを持ち出してくる
私が消防組織で働きはじめたころは、このようなことがありましたが、今は自然淘汰されています。人間関係は非常にドライですね。仕事をする上で生活を共にすることは避けられないので、一般的なサラリーマンとは異なり、日常生活でお互いの歩み寄りは必要ですが、理不尽なことはほとんど無いと言ってよいでしょう。
それほど、職場環境が整備されつつあるということです。しかし、環境に合う、合わないというのは間違いなくある、ということは知っておいてよいことですね。
お礼
S様、お問い合わせありがとうございました。雑な言い方をしてしまえば、消防組織は当たり外れがある、ということです。消防組織は自治体によって、環境の差が非常にあるのが現状です。
そして、年功序列が厳しいからと言って、外れの職場とは限らないのです。そういった環境を好む新人職員も一定数存在するからですね。(私は勘弁願いたいですが・・・)
就職する際は、自治体の環境が自分にマッチしているのかをできる限り調べておくのがよいですね。
・消防署の総務課へ離職率などを問い合わせみる
・実際に働きている職員に話を聞く
・過去にどのようなトラブルがあったのかをインターネットで検索してみる
このような方法で、ある程度就職希望の消防組織の環境を調べておくことが必要です。
働き始めて仕事を覚えるというのは、非常にエネルギーと時間を使います。最初に就職した自治体で長く働き続けるなら、下積みは経験や知識として蓄積されますが、離職した場合は、それが次の仕事で役立たないことが多いのが消防士の仕事です。
あとは、メールで書いたとおりです。消防士の仕事は公益性が高く、やりがいがあることに間違いありません。職場環境も時代の変化とともに働くやすくなっていることも間違いありませんが、ブラックな環境があることもまた事実です。
S様が消防士として成功することを願っております。