令和4年度税制改正大綱
12月10日に税制調査会から与党税制改正大綱が発表されました。内容は100ページほどで、自民党のホームページからダウンロードすることができます。
・住宅ローン控除
・エコカー減税
・固定資産税
・中小企業向き賃上げ税制
・インボイス制度
・金融所得への課税
内容は多岐に渡りますが、公務員や会社員に関係する内容はこのようなっています。
その中で税制改正の具体的内容の先頭に記載されているのが、住宅ローン控除に関する内容です。
今回は、令和4年度から住宅ローン控除がどのように変更されるのか、触れてみたいと思います。
住宅ローン控除
・控除期間 原則10年間(特例で13年)
・所得 3,000万円以下
・床面積 40平方メートル以上(40~50平方メートルは所得1,000万円以下)
・控除率 借入残高の1%
・借入上限 4,000万円
現在の住宅ローン控除はこのように決められています。住宅ローン控除で問題視されていたのは、控除額が金利を上回っているため、住宅ローンを組んだ方が得をする方がいるということです。
・一括購入できるけど、住宅ローン控除を使う
・頭金を入れることができるけど、フルローンで借入する
現在は、住宅ローンを組む際に、このようなケースが多々あるということです。税金は誰しもに公平感があるように使われる必要があります。しかし、住宅ローンを組むことによって、一定の人が得をするということは、国としては看過しがたいということです。
そのため、今回は以下のように住宅ローン控除を見直すことになりました。
・控除期間 新築13年 中古10年
・所得 2,000万円以下
・床面積 40平方メートル以上(40~50平方メートルは所得1,000万円以下)
・控除率 借入残高の0.7%
・借入金額 原則上限3,000万円
これは、2022年1月~2025年末まで適応されます。最も大きな変更点は控除率ですね。これまでは年間最大で40万円減税されていたのが、今回の変更で年間最大21万円になります。(実際に年間40万円控除はある程度の所得が必要ですが)
借入金額
借入金額は原則3,000万円ですが、住宅によっては3,000万円以上の住宅であっても、住宅ローン控除の対象となります。
・認定住宅
・ZEH水準省エネ住宅
・省エネ基準適合住宅
新築で建てる場合、この順番で建築価格が高くなります。そして、現在の新築住宅はほとんどが省エネ基準適合住宅に該当するように建てられるので、公務員や会社員が新築住宅で住宅ローン控除を受ける場合は、4,000万円(年間控除上限28万円)、2年後には3,000万円(年間控除上限21万円)がスタンダートと考えてよいですね。
省エネ基準住宅を購入する場合の控除が受けられる借入金額は今までと変わらないのですが、控除率が低くなっているということです。
省エネ基準に適合しない場合は、借入金額の上限は3,000万円となります。
住宅を購入の借入金額が大きければ大きいほど、2022年以降に住宅ローンを組む方にとっては、不利になるということですね。
10年か13年間か
控除率が1%で適応されるタイミングは入居する時期によって異なることは頭に入れておく必要がありますね。
・分譲、中古・・・2022年12月までに入居すれば、控除率1%、適応期間13年
・新築、中古・・・2021年12月までに入居すれば、控除率1%、適応期間10年
これより後は、今回の税制改正大綱に沿った住宅ローン控除が適応されることとなります。
YOHの考え
住宅ローン控除は令和4年度税制改正大綱の大きなポイントです。
・控除率0.7%
・借入金額上限は原則3,000万円
このような大きな数字に目が行きがちですが、個人の年収や購入する住宅の状況によって、受けることのできる控除額は異なります。住宅購入を検討する際は、しっかりと自分自身がどのような控除を受けることができるのかを考える必要があるということです。
・営業マンに一任
・妻に一任
住宅購入でこのようなことをしていては、思わぬ損をすることがあるということです。
私は、現在、賃貸住宅に住んでいますが、住宅購入はしてもよいと考えています。
・中古
・一戸建て
・金額は2000万円
おおまかにはこのような考えており、3,000万円以上のローンを組むことは考えていません。
・何かあった時に返済が苦しくなる
・積極的な資産運用ができなくなる
・新築一戸建が自分の幸せには必要無い
このような理由から、公務員や会社員のボリュームゾーンの住宅ローンは組むことについては、積極的ではないからですね。
一番やってはいけないことは、今回の税制改正でよく考えずに、焦って住宅購入を急いでしまうことです。今回の税制改正で差が出る金額は公務員や会社員なら100万円ほどです。
100万円は非常に大きな金額ですが、人生の方向性を決定する金額ではありません。それよりも、大きいのは住宅購入の金額です。3,000万円~4,000万円という金額は公務員や会社員にとっては、人生の方向性を決定的にする金額です。
税制改正に焦ることはなく、しっかりと内容を把握して、自分自身が納得する買い物をするのが、公務員や会社員の住宅購入だと、私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
税制改正大綱で触れられているインボイス制度はこちらで記事にしています。
金融所得課税に対してはこちらです。配当所得メインの方にとっては、それほど痛手にならないと考えています。