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NISA制度の恒久化と金融所得課税強化について

岸田首相のニューヨーク講演

 岸田首相は9月22日のニューヨーク証券取引所でNISA制度の恒久化が必須であると講演で触れました。これは、4月~5月にかけて行われた外遊先のロンドンで「インベスト・イン・キシダ」という発言からさらに踏み込んだ内容となります。 

 ・人への投資

 ・科学技術、イノベーションへの投資

 ・スタートアップ投資

 ・グリーン、デジタルへの投資

 岸田総理は金融政策として新しい資本主義を掲げており、この4つを柱としています。その中で欠かせないのが、貯金から投資へのシフトです。

 ・日本の個人金融資産は2,000兆円

 ・このうち半分は貯蓄や現金で保有されている

 ・個人資産を流動させるために資産運用するための仕組みを作る

 岸田総理はロンドンのスピーチの中で新しい資本主義として所得倍増計画を掲げて、このような発言をしました。そして、日本に安心して投資をして欲しいとの思いを込めて「インベスト・イン・キシダ(岸田に投資を)」というフレーズを使いました。

 ニューヨーク講演ではこのようなフレーズこそ無かったものの、NISA制度を恒久化については非常に前向きに捉えることができる発言です。

 ・自民党金融調査会

 ・金融庁

 この2つでもNISA制度の恒久化は話題となっており、NISA制度を恒久化するということは、かなりの具体性を帯びていると言ってよいですね。しかし、一方ではNISA制度の恒久化は金融所得課税の強化と抱き合わせという声も聞かれます。

 ・NISA制度を恒久化するけど、金融所得課税を現行の20%から引き上げる

 NISA制度の恒久化についてはこのように捉えられているということです。しかし、金融所得課税を強化されるからといって、全ての投資家が影響を受けるわけではありません。

 ・NISA制度の恒久化と非課税枠について

 ・金融所得課税強化で影響がある投資家

 ・投資家にとって、NISA制度の恒久化はよいものなのか

 今回はこの3点について考えてみたいと思います。

NISA制度の恒久化と非課税枠について

 NISA制度について軽く触れておきます。NISA制度は少額投資非課税制度のことで、株式や投資信託などの売買益や配当金に課税されなくなる制度です。

 ・投資期間は5年間(運用期間は10年)

 ・投資金額は年間120万円が上限

 押さえておきたいポイントはこの2つです。通常は株式の売買益や配当金には約20%が課税されますが、NISA制度の枠内で購入した株式は課税対象にならないということです。

出典 

一般NISAの概要 : 金融庁

 そのため、株式投資をするのであれば、誰しもが使う制度だということです。今回言われているNISA制度の恒久化というのは、投資期間5年(運用期間10年)の縛りを撤廃して、毎年NISA制度の枠を設けるということです。

 NISA制度の恒久化はまだ具体的な投資枠は決まっていませんが、現行通りの120万円とすると、投資家にとっては非常に喜ばしいことですね。

 毎年120万円の枠で株式を購入した分は非課税になるというのは、積立投資をするのであれば、月10万円分を使うことができるということです。

 そして、NISA制度と同様に運用益が非課税になる制度としてiDeCoがあります。iDeCoについてはここで詳しくは触れませんが(下に解説記事を貼っておきます)、月々拠出した金額の運用益が非課税となります。

出典 

iDeCoとは | iDeCoを知る | 個人型確定拠出年金 iDeCo(イデコ) | マネックス証券

 拠出額は属性によって異なっており、一般的な会社員であれば月2.3万円、公務員であれば月1.2万円が拠出できる最高額となります。

 株式投資をする場合、多くの方はiDeCoとNISAの非課税枠を使い切ることからはじめるのが鉄則です。この枠内で株式投資をしていれば、運用益に対して課税されることがなく、税制面で非常に有利だからですね。

 しかし、この両方の非課税枠を使い切るというのは、少なくない金額を株式投資に使える方だということです。

 ・NISA 120万円

 ・iDeCo 14万円

 ・合計 134万円

 公務員でNISA制度とiDeCoをフル活用した場合、年間でこれだけの金額を株式投資に使う必要があります。これは、どの世帯でもできることではないですね。

 そして、NISA制度が恒久化されれば、年間でこの金額以上を株式投資に使うことができる投資家が金融所得課税強化の対象となるということです。

金融所得課税強化で影響がある投資家

 NISAとiDeCoの年間拠出額を考えると、会社員や公務員の投資家は毎年のように非課税枠をフル活用できるわけではありません。多くのサラリーマン投資家にとって、年間130万円以上を株式投資に使うということは容易ではないからですね。

 そして、所得の少ない投資家に金融所得課税された税金は配当控除を申告することによっていくらかを取り戻すことができます。

 ・所得の低い人にとっては金融所得課税は高いので、いくらか還付する

 配当控除はこのような控除だということです。配当控除について詳しくは触れませんが(下に詳しい解説記事を貼っておきます)、配当控除で課税控除を受けることができるのは課税所得900万円の方までです。

 それ以下であれば、課税所得が少ないほど、総合課税の税率は下がることになるので、納める税金も少なくなるということです。

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 そして、給与所得者で課税所得900万円というのは非常に高属性で一般的ではありません。課税所得900万円を年収にすると1,200万円~1,300万円になります。

 これほどの給料をもらっている給与所得者は見ても非常に限られています。国内株式を保有している給与所得者の多くは配当控除を受けて税の還付を受けることができるということです。

 そのため、NISA制度の恒久化に伴って、金融所得課税が現行の20%から25%~30%に引き上げられたとしても、配当控除を使うことができる所得の方であれば、その影響を受けることはないということです。

 ※配当控除は基本的に国内株式のみが対象です。米国ETFなどに対しては外国税額控除を使う必要があります。

NISA恒久化と金融所得課税強化はニコイチと考えておいた方がよい。

YOHの考え

 NISA制度の恒久化についてはまだまだ時間がかかると思われていましたが、政府が腰を入れて取り組んでいることから、早くに実現する可能性があります。そして、NISA制度の恒久化に伴って金融所得課税強化がされることは確実だと思っておいた方がよいですね。

 しかし、金融所得課税の税率が上がることによって、影響を受ける投資家というのは限られています。

 ・NISA制度とiDeCoの投資可能額を満額使い切ることができる(公務員なら年間134万円)

 ・課税所得が900万円以上

 この2つの条件を満たしている投資家のみが金融所得課税強化の対象となります。

出典 

図表1-8-2 平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)|令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-|厚生労働省

 厚生労働省の平均給与の推移によると、労働者の平均給与は450万円ほどです。そこから考えると、2つの条件を満たして、それ以上の金額を株式投資に使うことができる投資家というのは、非常に限られているということです。ずばり言ってしまえば、非常に高属性な世帯だということです。

 私の世帯の状況で言えば、NISAとiDeCoの満額拠出は可能ですが、給料は課税所得900万円には遠く及びません。その立場から言えば、NISA制度の恒久化は大きなメリットになり、金融所得課税強化はそれほど影響を受けることは無いということです。

 そういったことから考えると、NISA制度の恒久化と金融所得課税強化は是非やって欲しいということですね。

 ・NISA制度枠を遥かに超える金額を毎年株式投資に使っている

 ・課税所得が900万円以上ある

 このようなと投資家にとってはNISA制度の恒久化と金融所得課税強化は不利に働く可能性がありますね。非課税枠で恩恵を受ける分よりも金融所得課税が上がる納税額の方が増える可能性があるからです。

 NISA制度の恒久化と金融所得課税強化はどのように行われるのか、具体的なところは不透明ですが、多くの投資家にとっては、プラスに働くような制度改正になると私は考えています。

 ご覧いただきありがとうございました。

 iDeCoについてはこちらで詳しく解説しています。iDeCoは受取り方に癖があることを知っておいた方がよいですね。

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 配当控除についてはこちらで記事にしています。株式投資をするのであれば頭に入れておいた方がよい知識ですね。

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 金融所得課税強化は一旦は見送られましたが、国としてはいずれかは行うことになります。NISA制度の恒久化と一緒に行うことがタイミングとしてはよいですね。

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