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【新しい資本主義】NISAの恒久化について

NISAの恒久化

 NISAは2014年から運用を開始された制度ですが、一般NISAなら5年、つみたてNISAなら20年が投資期間として設定されています。そして、しばしば話題として持ち上がるのがNISA制度の恒久化です。

 5月16日に自民党の金融調査会は岸田文雄首相にNISA制度の恒久化を提言しました。自民党金融調査会の会長である片山さつき氏は「道筋をつけるという路線を党から打ち出すことに了解を得た」と発言しています。

 「道筋をつけるという路線を党から打ち出すことに了解を得た」というのは非常に公務員らしい表現でわかりにくいですが、「NISA制度の恒久化の議論を自民党がしていることを、他の党に言ってもいいよ」ということです。

 自民党としては「NISA制度の恒久化については全く考えていないわけではない」と考えてよいということです。これは岸田総理がイギリスでスピーチした「インベスト・イン・キシダ」を意識しているということです。

 岸田文雄首相は自らの経済政策である「新しい資本主義」を訴えて、日本市場に資金流入を促したいと考えています。

 ・人への投資

 ・科学技術、イノベーションへの投資

 ・スタートアップ投資

 ・グリーン、デジタルへの投資

 新しい資本主義はこの4つを柱として掲げています。その中で欠かせないのが、貯金から投資へのシフトです。

 ・日本の個人金融資産は2,000兆円

 ・このうち半分は貯蓄や現金で保有されている

 ・個人資産を流動させるために資産運用するための仕組みを作る

 この貯金から投資へのシフトとして役に立つのがNISA制度だと考えているということです。

出典 金融庁 NISAとは?

現在のNISA制度の状況

 金融庁が公表している「NISA口座開設・利用状況調査」によると、2021年9月時点での口座開設数は以下のようになっています。

 ・一般NISA  1,240万口座

 ・つみたてNISA 472万口座

 一般NISAとつみたてNISAの併用はできないので、NISA口座を開設している人は1,712万人いると考えてよいですね。そして、口座開設数はつみたてNISAが勢いよく伸ばしています。

出典 金融庁 NISA口座開設・利用状況調査

 つみたてNISAは四半期ごとに10%ほどのペースで口座開設数を増加させていることがわかります。しかし、口座開設数が多くなれば、個人金融資産が貯蓄から投資へ向かうわけではありません。NISA口座を満額使い切っているという方は非常に少ないからですね。

満額入金できている人は少ない

 金融庁の「NISA・ジュニアNISA口座の利用状況調査」によると、つみたてNISAの口座開設数は増加傾向にあるものの、一度も買付がなかった口座は全体の32%に当たると公表されています。

 ・つみたてNISA 年間40万円

 ・一般NISA 年間120万円

 この金額は多くの社会人にとって低いハードルでは無いということです。一般NISAの年間120万円はもちろん、つみたてNISAの年間40万円も簡単ではないということです。

NISA制度の恒久化は金融格差を広げることになるでは・・・

YOHの考え

 私はNISA制度の恒久化については賛成的な立場です。

 ・NISA制度の年数制限を撤廃して欲しい

 ・NISA制度の積立上限額を増やして欲しい

 ・NISA制度の口座を複数持てるようにして欲しい

 NISA制度についてはこのように思っているということです。このように考えているのはNISA口座を満額使い切っても投資可能なお金があるからですね。

 ・一般NISA5年で600万円

 ・つみたてNISA20年で800万円

 私が今の生活を続けていれば、この積立が十分に可能だということです。しかし、これは非常に恵まれた立場にいるということです。

 一度も買付が無かったつみたてNISA口座が32%であることを考えると、満額の年間40万円を積み立てて出来ている口座は多くて30%です。それを20年間継続するとなると、つみたてNISAで20年間800万円を資産投下できるのは口座開設した方の10%ほどではないかというのが私の考えです。

 ・投資にお金を回す余裕がない

 ・日々の生活でカツカツ

 このような方にとっては、NISA口座を開設したからといって、暮らし向きがよくなるわけではないということです。そして、それはNISAを恒久化することも同じですね。

 ・NISA制度を恒久化

 ・NISA制度の年間投資上限額を上げる

 このようなことをしても、恩恵を受けることができるのは投資にお金を回すことができる金銭的に余裕のある世帯だけだということです。これは社会主義的な側面が見える岸田総理が掲げる「新しい資本主義」とは異なった政策だということです。

 NISA制度が恒久化するのかは不透明ですぐに決まるものではありません。しかし、2,000兆円の個人金融資産を貯蓄から投資に回すには国が仕組みを整備する必要があります。

 ・貯蓄よりも投資した方がよい

 ・誰でも投資をしやすい

 このような環境をある程度、国が作って多くの人にアピールする必要があるのですね。しかし、現状ではよい投資環境を作っても、格差が広がっていくことは間違いないと言ってよいですね。

 ・投資資金に余裕のある世帯は投資でお金を増やす

 ・日々の生活にカツカツな世帯は投資できずに資産形成が進まない

 NISA制度の恒久化はこのような金融格差をさらに生むことになるのではないかというのが私の考えです。ご覧いただきありがとうございました。

 つみたてNISAは投資期間20年、運用期間40年の気の長い投資ですね。

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 公務員や会社員は、NISA制度とiDeCoをフル活用するのが資産運用の基本ですね。

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 つみたてNISAのようなインデックス投資は出口戦略を立てておく必要がありますね。

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