日本で最も純資産額が多いファンドとは
2022年3月末時点で日本国内公募の株式投資信託で時価総額1兆円を超えるものは4本あります。
・アライアンス・バーンスタイン・米国成長株Dコース・毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型・・・(1兆8000億円)
・eMAXSIS Slim 米国株式(S&P500)・・・(1兆1000億円)
・グローバルESGハイクオリティ成長株ファンド(為替ヘッジなし)・・・(1兆200億円)
・ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)・・・(1兆円)
その4銘柄とはこのような投資信託です。1位の「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株Dコース・毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」は最も総資産額が多いということは、それだけ人気があり、多くの方が購入しているということです。
このファンドは1カ月で純資産を2000億円ほど増加させて、純資産総額は1兆8000億円になっており、9カ月連続で1位をキープしています。
このファンドは対面型の証券会社だけではなく、SBI証券や楽天証券といった大手ネット証券会社からも購入することができます。
今回は、最も純資産額が多いファンドである「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株Dコース・毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」の内容に触れて、公務員や会社員投資家がどのようなスタンスを取れば良いのかについて考えてみたいと思います。
アライアンス・バーンスタイン・米国成長株
アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信はA~Dの4つのラインナップがあり、最も人気があるのが毎月分配型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型となっています。
・Aコース 為替ヘッジあり
・Bコース 為替ヘッジなし
・Cコース 毎月分配型(為替ヘッジあり)予想分配金提示型
・Dコース 毎月分配型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型
AコースからDコースの違いはこのようになっています。アライアンス・バーンスタイン・米国成長株Dコースの中身を理解するために、アライアンス・バーンスタイン・米国成長株について確認していきます。
・運用会社 アライアンス・バーンスタイン
・運用方針 成長性の高いとされる米国企業に投資するアクティブ運用
・ベンチマーク S&P500
・販売手数料 3.3%(SBI証券など一部の証券会社では無料)
・信託報酬 1.727%
・信託財産留保額 無料
・解約手数料 無料
・設定日 2014年9月
・償還日 2034年6月
主なデータとしてはこのようになっています。米国成長企業に資産投下することでS&P500を上回ることを目的としたアクティブファンドですね。
販売手数料は3.3%となっていますが、証券会社によっては無料となるので、ランニングコストとして見ておく必要があるのは信託報酬の1.727%ですね。これに監査費用や法定書類作成費用などのその他の手数料を加えると、1.9%ほどがランニングコストとしてかかると考えておく必要がありますね。
構成銘柄
次にアライアンス・バーンスタイン米国成長株投信の構成銘柄を確認していきます。
組入れ上位10銘柄はこのようになっています。上位10銘柄で構成比率の約50%を占めており、セクター別に見ると、情報技術セクターに34.7%、ヘルスケアに20.9%振り分けていることがわかります。
S&P500の組み入れ上位10銘柄を確認するとこのようになっています。S&P500は上位10銘柄で20%ほどを構成しており、アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信は異なる運用をしていることが伺えます。
運用実績について
次に運用実績について確認していきます。
最も人気があるDコースの基準価格と資産推移を見ると、順調な右肩上がりで増加していることがわかります。
基準価格が12,700円に対して、分配金が3,300円であることを考えると、分配利回りは25.9%と非常に高利回りであることが分かります。これが非常に人気のある理由のひとつですね。
これだけの高配当を実現しているのは、分配金の捻出方法にあります。
分配金はファンドが投資して得たものを出資者に分配するのではなく、ファンドの純資産の中から支払われる仕組みになっています。そのため、ファンドの純資産額が多くなればそれだけ分配金も多くなるという仕組みですね。
ファンドの純資産額に応じて分配金が支払われるということは、ファンドの収益性がどのようなものであろうと、分配金の金額にはそれほど影響がないと考えておいてよい投資信託だということです。
YOHの考え
アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信はAコースからDコースまでありますが、最も純資産額が多いのはDコースです。
Dコースの純資産額が圧倒的に多いことがわかります。為替ヘッジ有のCコースと比較しても1兆円以上の差があります。これだけのお金を集めるには理由があるということです。
・高配当であること
・毎月分配型であること
Dコースの純資産額が多いのはこの2つによるところが非常に大きいということです。
為替ヘッジの違いだけのCコースを見てみると、分配利回りはDコースの半分以下となっています。CコースとDコースに信託報酬等に大きな違いはありません。
毎月大きな額の分配金がもらえる投資信託だからに人気がある、ということです。
しかし、分配金はファンドの純資産を取り崩して捻出しています。アクティブファンドだからといって、S&P500を上回る運用成績を出して分配金を出しているわけではないということです。
・運用方針自体は悪くはない
・ランニングコストが高め(許容範囲外)
・分配金に関してはまともではない
私の考えをまとめるとこのようになります。長期投資を軸にしている私の運用方針とは合わないということですね。そして、私はこのファンドに資産投下することはおすすめしません。
純資産額が1兆8000億円ある人気の投資信託ですが、信託報酬の高いアクティブファンドでタコ足配当をしているということです。この投資信託の純資産額が1位であることは、証券会社をはじめとする金融機関がプッシュしているからだということです。
短期的に見れば分配金は入ってくるでしょうが、成長性を考えると他に優良な投資信託はあるということです。投資信託は基本的に長期投資と相性がよいため、高配当で分配金を出すものは商品設計と金融商品の特性がマッチしていないということです。
このようなことから考えると、純資産額が多く売れている金融商品が最も優れている金融商品では無いということです。ご覧いただきありがとうございました。
為替ヘッジについてはこちらで記事にしています。
おすすめできる投資信託はSBI・Vシリーズですね。
SBI・Vシリーズでも毛色の違うものがあることは知っておく必要がありますね。