ホームカントリーバイアス
投資家にとって避けては通れないのがホームカントリーバイアスです。簡単に言うと、海外投資に慎重になって、自国の企業などへの資産投下が多くなることです。
・ポートフォリオは日本株中心
・日本株を過大評価する
我々はホームカントリーバイアスが強いと、こういった株式投資をする傾向にあるということです。日常においても、程度の差こそあれ誰しもがこの傾向を持っています。
・エクソンモービルよりもトヨタ自動車
・ジョンソンエンドジョンソンよりも花王
日々使うものにしても、値段や仕様が極端に変わらなければ、自国のものを選ぶことは自然であると感じます。しかし、株式投資に関して言えば、ホームカントリーバイアスは必ずしも良い結果をもたらすとは言えないのですね。
今回は、日本の株式に資産投下することについて、高配当ETFファンドを例に挙げて考えてみたいと思います。
NF・日経平均高配当50指数連動型上場投信
日本の高配当ETFファンドとして選択肢に挙がるのが、NEXT FUNDS日経平均高配当50指数連動型上場投信です。日経平均構成銘柄の予想配当利回りの高い50銘柄で構成される株価指数をベンチマークとしています。
※構成銘柄は完全な上位50銘柄ではありません。赤字を連発していたり、極端な株価下落高配当化している銘柄は除外されています。
・時価総額 329億円
・基準価格 3.8万円
・配当利回り 4.6%
・配当金は年4回支給
・運用管理手数料 0.308%
・その他の手数料 0.055%
主なデータはこのようになっています。続いて構成銘柄を確認していきます。
・構成銘柄は全部で48銘柄あり、上位10銘柄はこのようになっています。上位10銘柄で純資産比率の30%以上を占めています。
運用実績はこのようになっています。運用開始が2017年なので、4年間の推移しか確認できませんが、基準価格は4万円前後を行ったり来たりといった動きをしています。
NF・日経平均高配当50指数連動型上場投信は資産投下に値するか
これらのデータから、NF・日経平均高配当50指数連動型上場投信は資産投下に値するかを考えた場合、難しいというのが私の印象です。
・ランニングコストが高い
・指数自体が価値を高めて行くわけではない
資産投下に値しない理由はこの2つです。
ランニングコストが高い
NF・日経平均高配当50指数連動型上場投信に資産投下することが難しい理由の1つ目が「ランニングコストが高い」ということです。
・運用管理手数料 0.308%
・その他の手数料 0.055%
・合計 0.363%
この経費率をどのように考えるかということです。
・SPYD 0.07%
・HDV 0.08%
・VYM 0.08%
米国の高配当ETFを例に挙げるとこのようになります。単純な比較はできませんが、米国高配当ETFと比較して5倍の経費率がかかるということです。
・SBI・V・米国高配当株式インデックスファンド 0.1238%
日本円で購入できる米国高配当投資信託と比較しても、3倍ほど高いということです。配当利回りが4.6%(税引後3.68%)ということを考えると、10年間保有していれば、1年間分の配当金は手数料で相殺されているということですね。
NF・日経平均高配当50指数連動型上場投信はETFのため、配当金を自動で再投資することができず、投資信託と比較して管理に手間もかかります。それで、0.3%を超えるランニングコストは非常に高いと考えた方がよいということです。
指数自体が価値を高めていくわけではない
NF・日経平均高配当50指数連動型上場投信に資産投下することが難しい理由の2つ目が「指数自体が価値を高めていくわけではない」ということです。
NF・日経平均高配当50指数連動型上場投信は構成銘柄からわかるとおり、景気敏感株にウエイトを置いて構成されています。そのため、長期的に見て指数自体の価値を高めにくいという特徴があるのですね。
SPYD(青)、HDV(赤)、VYM(オレンジ)の直近5年間の暴騰率はこのようになっています。上下動を繰り返しながらも、約30~50%価値を高めていることが分かります。
NF・日経平均高配当50指数連動型上場投信は設定開始日の4年間で4万円前後を行ったり来たりしており、価値自体を高めることができていないこととは対照的と言えますね。
YOHの考え
私自身は日本企業に好感を持っています。先日、ついにガラケーからスマートフォンに買い替えたのですが、OPPOとSONYの製品で悩みましたが、SONY製品を選びました。
・スペックは同等
・値段はSONY製品の方が4,000円ほど高い
このような状況でしたが、コストパフォーマンスよりも日本製であることを重視したということです。(画面が小さく持ちやすかったということもありますが・・・)
このように、自国のものというのは、数字以上に重視することがあるのですね。しかし、株式投資に関しては、明らかに数字が劣っているにも関わらず、自国のものに固執するのはデメリットが非常に大きいのですね。
・明らかに割高な手数料
・劣後しているベンチマーク
・構成銘柄がイケていない
このような状況では、日本の高配当ETFに資産投下するのは非常に難しいというのが私の考えです。しかし、日本の高配当株投資を否定しているわけではありません。個別に付き合っていけばよいということです。
・利回りと成長性がある企業に資産投下する
・とにかく安い時に購入する
日本株に対してはこのように付き合っていくのが最もよいと私は考えています。ご覧いただきありがとうございました。
日本の株式指数に資産投下して、安定的にリターンを得ることは非常に難易度が高いです。
誰でも勝つことができる金融商品は存在します。継続し続けることが前提ですが・・・
投資難易度が低いのは米国株の指数への投資です。