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新型コロナウイルスと救急搬送困難事例について

1/25のYahoo!ニュースの記事

 1/25のYahoo!ニュースにこのような記事が掲載されていました。

news.yahoo.co.jp

 新型コロナウイルス蔓延に伴って、救急搬送困難事例が増加しているという内容です。

 ・救急車を呼んだけど、なかなか受け入れ病院が決まらない

 ・救急車の中で長い時間待たされた

 このようなことが救急搬送困難事例と言われます。今回は、救急隊目線で救急搬送困難事例について触れてみたいと思います。

救急搬送困難事例

 前提として、救急車は呼べばすぐに来ますが、傷病者をすぐに病院搬送するわけではありません。緊急度が高くない場合は、傷病者の訴えや既往歴、バイタルサインなどを丁寧に確認してから、最も治療に適している病院を選定します。

 場合によっては、到着から15分以上かかることも少なからずあります。そして、これらに該当しないのが救急搬送困難事例です。

 ・救急隊が病院に受入交渉を4回以上行う

 ・30分以上受け入れ先が見つからない

 具体的には、このような場合が、救急搬送困難事例に該当します。記事では、1週間で4950件の救急搬送困難事例があり、その内、約3分の1の1416件が新型コロナウイルス疑いでの事例ということです。(総務省消防庁が出している数字なので、おそらく全国の件数です)

 この救急搬送困難事例は主に都市部の救急で発生します。人口の少ない自治体ではまず発生しないと言ってよいのですね。人口の少ない自治体は病院の数も限られています。近隣に救急告示病院が2つしかない場合、搬送先としての医療機関はその2つのどちらかでやりくりするしかないからですね。

 ・A病院に受入不可と言われる

 ・B病院にはA病院で受入不可と言われたことを伝える。

 ・B病院は「うちの病院で受入するしかない」となり、B病院が受け入れる

 ・救急隊からの病院交渉回数は2回

 このようにしかならないということです。

 ※A・B両方の病院で受入出来ないような傷病者の場合はドクターヘリなどを要請して搬送します。人口の少ない自治体では、救急搬送困難事例は起こりにくいということです。

 しかし、人口が多い自治体の場合、救急告示病院が近隣に多いことが一般的です。近隣の市町村合わせて20の救急告示病院がある場合、病院側からすれば、「うちの病院で受入するしかない」とはならないのですね。選択肢が多いからこそ、救急搬送困難事例が起こるということです。

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出典 大阪府/大阪府からのお願い

救急搬送困難事例は新型コロナウイルス以外が多い

 新型コロナウイルスの蔓延によって、救急搬送困難事例が取り上げられていますが、数字でわかるとおり、実際に多いのは、新型コロナウイルス以外の救急搬送困難事例です。

 救急搬送困難事例で最も多いのは、診療科目が多岐にわたる傷病者です。

 ・お酒で睡眠薬を大量に服用後、階段から転落して頭と大腿部を負傷。大腿部は変形している。既往症に糖尿病と脳梗塞があり、心療内科に通院している。

 ・意識レベル 2桁(呼びかけに目を開けて応答する)

 ・SPO2、血圧正常

 ・体温38度

 ・心電図は正常

 ・瞳孔異常所見なし

 例を挙げると、このような傷病者です。

 ・お酒で睡眠薬を大量服用 → 消化器内科

 ・頭部を負傷しており、脳梗塞の既往 → 脳外科

 ・大腿部は変形 → 整形外科

 ・発熱がある → 内科

 パッと思いつくだけでも、4つの科目を受診する必要があります。日中なら、2次病院で対応可能な場合が多いのですが、夜間の時間帯で2次病院の診療科目が少なくなると、この傷病者を受け入れることができる2次病院は非常に少なくなるということです。

 こういった場合、この傷病者が割を食ってしまうような、救急搬送困難事例が発生します。ずばり、言ってしまえば、病院側にとっては、受入しにくい傷病者ということですね。

 この場合は、最終的にあらゆる科目を診ることができる3次病院(〇〇大学救命センター)などに搬送するしかありません。しかし、症状やバイタルサインを見ると、重篤とは言えないので、ファーストコールで3次病院に搬送依頼すると、3次病院は受入に難色を示します。

 3次病院からすれば、「とりあえず、近くの2次病院聞いてみてよ。無理ならうちで見るよ。」というスタンスを取るしかないので、救急隊の病院交渉回数が増えるということです。

 ※これは、受入できない2次病院や最初は断る3次病院が悪いということではありません。救急医療の仕組みがこのようになってしまっているということです。

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出典 春日井市民病院

YOHの考え

 新型コロナウイルス蔓延によって増加している救急搬送困難事例の多くは、保健所が受入病院を調整している間に症状が悪化したため、救急要請するケースです。

 ・新型コロナウイルスに感染(38度の発熱)

 ・保健所に連絡

 ・保健所が入院先病院をコーディネート

 ・保健所が入院先をコーディネートしている間に症状が悪化(40度の発熱、呼吸苦)

 ・救急車を要請

 このようなケースで、救急要請されることが多くなっているということだと、私は感じています。今は、新規感染者が急激に増加しているため、保健所が入院先をコーディネートするのに、時間がかかっているのですね。

 ※これは、保健所が悪いわけではありません。保健所の人員に対して仕事量が膨大過ぎるということです。

 ここで、救急搬送困難事例になるのは、都市部に住んでいる方で、比較的に軽症、中等症で救急要請された方です。

 ・体温 37~39度

 ・SPO2 95%以上

 ・自力歩行可能

 ・でも、入院できずにしんどい

 このような場合、病院は受入れに難色を示しやすいということです。「保健所のコーディネートを待ってよ」というのが、病院側の本音なのですね。

 逆に、重篤な状態であれば受入病院は早く決まります。新型コロナウイルスの感染に関わらず、救命処置の必要があるからですね。

 しかし、軽症や中等症で救急要請する方が悪いというわけではありません。

 現在起こっている救急搬送困難事例は、救急医療の仕組みの歪みからくるだと私は考えています。そして、その仕組みで割を食っているのが、救急車を要請する方ということです。

 ・軽症と思われるから救急車を使ってはいけない

 ・軽い症状なら自己受診すべき

 このようなことで救急車を要請する市民の方が、気を使う必要はないということです。身体の異常の感じ方は人それぞれだからですね。

 ・37度の発熱なら何ともない

 ・37度の発熱で動けないほどしんどい

 このようなことはありふれています。数字では、個人が感じる緊急度は測れないということです。

 何でもかんでも救急車を使ってください、とは言えませんが、迷うぐらいなら遠慮なく使ってください、というのが救急隊員としての私の考えです。

 ご覧いただきありがとうございました。

Yahoo!ニュースの救急関連についてはこちらで記事にしています。

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