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【国民年金任意加入制度】国民年金は60歳以降に追納すると金銭的に損をすることになる理由とは

国民年金の任意加入制度

 国民年金(老齢基礎年金)で抑えておきたいポイントは大きく2つあります。

 ・10年間納付しないと受給資格を得ることができない

 ・満額受給するには40年間納付する必要がある

 抑えておきたいポイントはこの2つですね。

 9年間11カ月しか国民年金を納めていない場合、国民年金保険料を支払っていたにも関わらず、65歳以降に国民年金を受け取ることができないということです。

 そして、40年間分を納めていないと未納期間の長さに応じて年金受給額が減少します。

 20歳から60歳まで会社員や公務員として働き続けていれば未納ということは無いのでしょうが、そうではないケースがあるということです。

 ・未納分を追納したい

 ・年金受給金額を満額に近づけたい

 このような方を救済する措置として設けられているのが、国民年金の任意加入制度です。

 ・国民年金の任意加入制度とは

 ・国民年金の受給金額について

 ・国民の任意加入被保険者制度を使った方がよいケース

 今回は、国民年金の追納についてこの3点を中心に考えてみたと思います。

 国民年金の任意加入制度とは

 国民年金の任意加入制度とは、60歳以降も年金保険料を納めることによって、国民年金受給要件を満たしたり、受給金額を増やしたりすることができる制度です。

 正式名称は「任意加入被保険者制度」といいます。

 この任意加入制度を使うには3つの条件を満たしておく必要があります。

 ・60歳以上65歳未満であること(特例要件に該当すれば70歳までは可能)

 ・年金の繰り下げ受給をしていない

 ・20歳から60歳までの間に保険料納付期間が40年(480カ月)未満

 この3つの条件を全て満たしている場合のみ使うことができる制度だということです。

 ・保険料を40年間で満額納めているが、さらに受給額を増やしたい

 このような方は使うことができない制度だということです。あくまでも、国民年金保険料納付期間中に未納期間があった方が使える救済措置制度だということです。

国民年金の受給金額について

 国民年金の受給金額は以下の計算式によって求めることができます。

 ・年金額 × (保険料の納付月数 ÷ 480カ月)

 ここで抑えておきたいのは「年金受給額」については年々変化(減少傾向)しているということです。

出典 小田原市 | 老齢基礎年金の金額(満額)を教えてほしい(過去の金額も教えてほしい)。

 このように年によって変化しているということです。表にはないですが、令和4年度は777,800円(月額64,800円)となっています。

 仮に、10年間しか国民年金保険料を納付していない場合、令和4年度の受給金額は以下のようになります。

 ・777,800円 × (120カ月 ÷ 480カ月) = 194,450円(年間受給金額)

 年間受給金額は194,450円(月16,204円)となり、満額受給金額の25%しか受給できないことになります。

 この受給金額を増やすことを考えるのであれば、任意加入制度を使うことを考えることになるということですね。

国民の任意加入被保険者制度は金銭的に得なのか

 国民年金の任意加入制度を使った方がよいケースというのは制度の趣旨を考えると限られてくる、というのが私の考えです。

 ・数年間だけ年金保険料の未納期間がある

 このようなケースであれば、任意加入制度は使った方が損であるケースが多いですね。

 ・国民健康保険は年々増加している

 ・国民年金受給額は減少傾向にある

 数年間だけ年金保険料の未納期間があるケースでは、この2つの理由から60歳以降に追納することは金銭的に損だということです。

 何故損なのかということついては、例を挙げて、内部収益率を用いて確認していきます。

 ・国民年金加入義務期間は1977年から2016年(40年間)

 ・1990年から1995年までの5年間、国民年金保険料が未納

 ・2016年から2020年末まで任意加入被保険者制度を利用して追納

 ・2021年から国民年金を満額受給

 図にすると以下のようになるケースの内部収益率を確認していきます。

 ・1977年から1995年までの未納金額合計 771,600円

 ・35年間の年金納付金額 6,916,080円

 ・2016年から2020年末まで任意加入被保険者制度を利用して追納した金額 990,480円

 ・2021年からの国民年金受給金額 777,800円

 それぞれの金額についてはこのようになります。そして、内部収益率を確認すると以下のようになります。

     

 このケースの場合、内部収益率は74歳でプラスになり、平均寿命の86歳まで受給できた場合は2.76%の内部収益率となります。

 次に同様の条件で2016年以降追納しないケースを確認していきます。

図にするとこのような年金納付状況になりますね。

 ・1977年から1995年までの未納金額合計 771,600円

 ・35年間の年金納付金額 6,916,080円

 ・2016年から2020年末まで任意加入被保険者制度を利用して追納した金額 0円

 ・2021年からの国民年金受給金額 680,575円

 ※年金保険料の金額については以下の表を用いて計算しています。

出典 個人年金 終身年金

 このケースの内部収益率を確認すると以下のようになります。

        

 内部収益率は73歳でプラスになり、74歳時点で0.76%、平均寿命の86歳で3.44%、100歳まで生きた場合は4.35%となります。

 それぞれの内部収益率を比較すると以下のようになります。

          

 このようになり、未納期間有で追納した場合の方が、内部収益率は低くなり金銭的に損であるということです。

 これは、先述したように現在の国民年金保険料と国民年金受給金額を考えると、肌感覚からも明らかですね。

 ・国民健康保険は年々増加している

 ・国民年金受給額は減少傾向にある

 このようなことを考えると、後になって高い国民年金保険料を追納して満額受給するよりも、安い間に国民年金保険料を支払って、追納せずに減額した年金を受給した方がお得だということです。

 ※今回はの計算は社会保険料控除を加味していません。実際には年収などによって、社会保険料控除で受けることができる控除額が変わってくるため、個々によって得になるケースがあることも考えられます。

任意加入被保険者制度はあくまでも加入要件を満たさない方の救済制度。

YOHの考え

 今回は国民年金の任意加入制度について考えてみました。

 国民年金の任意加入制度は、国民年金の未納期間があれば60歳から65歳までの間に追納して、国民年金受給金額を増加させることができる制度です。

 ・未納期間があれば追納して国民年金受給金額を増加させることができる

 ・終身年金を増加させることができる

 このように考えられる制度ですが、この制度を使って金銭的に得である方は非常に限られています。

 ・国民年金加入期間が5年以上10年未満である人

 この人だけが追納することによって、金銭的に得をする制度だということです。

 ずばり言ってしまえば、任意加入被保険者制度は「国民年金の加入要件を満たさない人を救済する」という趣旨の制度だということです。

 受給資格を満たしている人が追納するケースは制度の主旨と異なる可能性が高いということです。

 それは、任意加入期間を70歳まで延長することができるこの制度の特例措置からも明らかです。

 ・1965年4月1日以前に出生

 ・65歳時点で国民年金保険料の納付期間が10年未満

 このような方は任意加入被保険者制度の特例措置を使うことができ、70歳まで国民年金保険料を納付することができます。

 そして、この特例措置は受給資格(10年納付)を満たしていれば使うことができません。

 このようなことからも、任意加入被保険者制度はあくまでも国民年金の受給資格を満たしていない人が利用する制度だということです。

 ・3年間の未納期間がある

 ・5年間の未納期間がある

 このような人は60歳以降に追納しても金銭的に損だということです。

 追納した国民年金保険料に対して、受給できる金額が割に合わないのですね。

    

 受給資格を満たしている人が60歳以降に追納した場合、このような内部収益率を確認してわかるとおり、金銭的な面だけを見れば損をするということです。          

 ※仮に年金保険料が下がったり、国民年金の受給金額が大幅に上がれば元が取れることになります。

 しかし、内部収益率が低くなるから追納しない方がよい、とは一概には言えないことも確かです。

 ・国民年金受給額が増える

 ・終身年金が増加する

 このようなメリットがあることに間違いはないからです。

 大切なのは、自分自身で数字で確認をして納得のいく方法を選択することです。

 ・何となく追納した方が良い気がする

 ・追納しない方が得だと誰かが言っている

 このような理由から選択をすることはイマイチだということですね。

 国民年金というのは、金融商品として見た場合、厚生年金よりも内部収益率が高く、平均寿命まで受給できれば元が取れるような商品設計がなされています。

 そして、国民年金を最も効率よく受け取るには、未納期間なく保険料納付を行うことです。

 その理由は、国民年金保険料は年々増加しているにも関わらず、受給金額が減少傾向にあるからですね。

 そのため保険料が高くなってから納付することは金銭的に不利になるということです。

 ・任意加入被保険者制度はあくまでも受給要件を満たさない人の救済措置

 ・国民年金は未納期間無く納めるのが最もよい

 国民年金については、このようなスタンスで付き合うのが最もよいと私は考えています。

 ご覧いただきありがとうございました。

 厚生年金保険料の内部収益率についてはこちらで記事にしています。厚生年金は金融商品として見た場合、資産投下に値しない金融商品です。

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