確定申告
令和3年分の所得税の確定申告の受付がもうすぐ開始されます。期間は2月16日から3月15日の約1カ月間です。
公務員や会社員は会社が税務署の出先機関の役割を担っているので、確定申告をしない方が大半です。しかし、一定の条件を満たしている公務員や会社員は確定申告を行うこのによって、税の還付を受けることができます。(還付申告は1月1日からすることができます。)
・株式投資で配当金がある
・株式の売買で損が出ている
公務員や会社員で投資をされている方で、これらに該当する場合は確定申告することによって、税の還付を受けられることがあります。
そして、株式投資などをしていなくても、病院受診の状況によって、税の還付を受けることができることがあります。俗にいう医療費控除ですね。
今回は、公務員や会社員が使うことのできる医療費控除について触れてみたいと思います。
公務員や会社員の課税所得について
公務員の給料からは社会保険料や所得税、住民税が引かれています。引かれている所得税は課税所得によって、税率が決まります。
・課税所得=給与-(みなし経費)-控除=課税所得
公務員や会社員の課税所得はこのような計算で求められます。みなし経費とは給与所得者控除です。自営業者は仕事で使うお金を経費として計上できますが、公務員や会社員は経費を計上しない代わりに、給与所得者控除を使うことができるということです。
・年収600万円
・給与所得者控除164万円
・控除100万円
この場合の課税所得は336万円になります。
・年収600万円-給与所得者控除164万円-控除100万円=課税所得336万円
収入のすべてに税金をかけると、税金が高くなりすぎて給与所得者の生活が立ち行かなくなるからですね。そのため、控除を使うことによって、納める税金を安くすることができるというイメージです。
所得税率について
課税所得が336万円の場合、所得税率は20%となります。(住民税は一律10%です)
・課税所得×税率-控除額=所得税
所得税については、このように覚えておく必要がありますね。
※勘違いされている方がおられますが、税率が上がったら課税所得全てに上がった税率が適応されるわけではありません。
課税所得331万円なら330万円までが税率10%、330万円を超過した1万円に20%の税率が適応されます。控除額が設定されているのはこのためです。
控除が多ければ手取りが増える
・課税所得=給与-(みなし経費)-控除=課税所得
・課税所得×税率-控除額=所得税
この計算式から、所得税を抑えるためには、課税所得を低くすると所得税が低くなり、手取りが増えることがわかります。そして、公務員や会社員が課税所得を抑えるためにできることは、控除額を増やすことだけです。
・給料は会社依存
・みなし経費は変えることができない
・税率も変えることができない
公務員や会社員の納税についてはこのような特徴があるからですね。そして、控除は15種類ありますが、公務員や会社員が確定申告で最も使う可能性があるのが医療費控除です。
医療費控除
医療費控除は本人もしくは本人と一緒に暮らしている家族の医療費を支払った場合に使うことができます。
・医師や歯科医師による診療、治療代
・入院中の食事代、部屋代
・治療に関係のある医薬品代
・治療のためのマッサージ代
・通院の交通費
・出産費用
このようなものが医療費控除の対象になります。その他にも、保険適応外の治療も対象になる場合があります。
・インプラント治療
・レーシック、ICL(眼内コンタクトレンズ)手術
代表的なものとしてはこのような治療や手術ですね。このような医療に支払った金額が控除として認められるということです。
・支払った医療費-保険で補填される金額-10万円=控除額
医療費控除はこのような計算で求めることができます。
・インプラント治療で年間100万円の治療費がかかった
・民間保険会社から50万円の保険金が支給される
・100万円-50万円-10万円=40万円(医療費控除額)
・所得税率20%の場合、確定申告をすれば、40万円×20%=8万円が医療費控除として還付されることになります。(課税所得4,000万円なら45%、18万円が還付されます)
YOHの考え
公務員や会社員が使うことができる控除は限られています。属性によって異なりますが、自営業の方と比較すると非常に少ないというのが私の印象です。
しかし、控除というのは基本的には弱者救済の考えということです。
・年収400万円で病気がちな人
・年収400万円でほとんど病院受診しない人
この場合、病気がちな人は治療費の分、控除が増えることになるからですね。
・寡婦控除
・障碍者控除
・ひとり親控除
・勤労学生控除
このような控除があることからも、社会的弱者の負担を少しでも減らすための措置だということは明らかですね。
しかし、医療費控除は確定申告をしなければ税の還付を受けることができません。知っていれば得をするが、知っていなければ損をしてしまうということです。
医療費控除だけではなく、そのようなことが周りには溢れています。公務員や会社員が資産形成していくためには、ある程度の税の知識を身に付けて、考えることが大切だと私は考えています。
ご覧いただきありがとうございました。
生命保険料控除については、こちらで記事にしています。
公務員の税金についてはこちらで記事にしています。