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保険料だけで年間560万円かかっている世帯の資産形成について

7月11日のヤフーニュース

 7月11日のヤフーニュースにこのような記事が掲載されていました。

finance.yahoo.co.jp

 37歳で金融資産保有額が1,500万円を超えている世帯の資産形成方法を紹介している記事ですね。

 ・夫と2人暮らし世帯

 ・共働き

 ・世帯の金融資産保有1,500万円

 紹介されている方の世帯状況はこのようになっています。これだけ見れば資産形成が順調に進んでいる世帯なのですが、私の感覚でおやっと思うことがあります。

 ・資産形成の大部分は保険商品

 ・金融資産保有額1,500万円のうち90%以上が貯金

 ・金融資産保有の内、株式などのリスク資産は10%以下

 この記事には家計簿なども掲載されているのですが、私が特におやっと感じたのはこの3点です。最も興味深いのは、「資産形成の大部分は保険商品」という点です。

 今回は、この記事の世帯の資産形成を深掘りしつつ、保険商品で資産形成することについて考えてみたいと思います。

くるみねこさん世帯の家計簿と金融資産保有状況

 この記事で紹介されている世帯の方は「くるみねこ」という方で、30代で世帯の金融資産保有が1,500万円と極めて順調な資産形成をされている世帯です。

出典 あるじゃん 将来は1億円超も!? 37歳で金融資産1500万円がある貯蓄達人の貯め方って?

 家計簿を確認するとこのようになっています。

 ・収入 61万円/月(ボーナスを含めると862万円/年)

 ・支出 62.5万円/月(750万円/年)

 ・金融資産保有状況(貯金1400万円・投資100万円)

 収入と支出、金融資産保有状況の内訳はこのようになっています。支出が収入を上回っていますが、これには理由があります。

 ・月々の保険料 40万円(480万円/年)

 この月々の保険料によって、支出が収入を上回っているということになります。そして、くるみねこさんの世帯ではさらに、40万円の年払い保険2つに加入しているので、年間560万円を保険料として支出しているということです。

保険加入状況

 どのような保険に加入しているかと言えば、「外貨建ての終身保険」がメインです。

 ・45歳で払込完了

 ・65歳で払込完了(払戻金4,600万円)

 この2つで払戻金が1億円を超えるようなので、45歳払込完了の保険は払込完了後に運用して65歳時点で6,000万円ほどになる保険商品と考えてよいですね。

 ・死亡保障が目的の生命保険(くるみねこさんの死亡保障は8,000万円)

 ・個人年金保険(65歳から15万円/月)

 その他の保険加入状況はこのようになっています。補足すると、死亡保障が目的の生命保険は夫婦で加入していますが、くるみねこさんの方が保障が手厚いようなので、もう一方は死亡保障5,000万円ほどと考えてよいですね。

 まとめるとこのようになります。この保険加入のまま資産形成ができれば、65歳以降になってお金に困ることは無いと考えてよいですね。

 ・65歳時点で1億円以上の金融資産を保有

 ・個人年金保険で年間180万円のキャッシュフロー

 ・共働きによる厚生年金(年間300万円ほど)

 このように考えると、老後の備えとしては盤石と言ってよい状態です。しかし、資産形成として適切かと考えれば、そうではないですね。

くるみねこさん世帯の問題点

 というくるみねこさん世帯の貯蓄性の高い外貨建て保険をメインに資産形成を行う、という資産形成方法にはいくつかの不安要素があります。

 ・外貨建てのため、払戻金がいくらになるのか不明

 ・盤石を意識するあまり、保険料負担が大きすぎる

 私はこの2点が不安要素であると感じます。

外貨建てのため、払戻金がいくらになるのか不明

 くるみねこさん世帯の資産形成の不安要素ひとつ目は「外貨建てのため、払戻金がいくらになるのか不明」ということです。

 くるみねこさん世帯がどのような保険に加入されているのかはわかりませんが、貯蓄性の高い外貨建て保険ということは、為替の影響を考えなくてはなりません。

 そして、45歳で払込が完了する保険も運用を続けていくということを考えると、株式などのリスク資産を含んだ保険商品と考えることが自然です。

 ・為替リスク

 ・株式リスク

 この2つがあるため、65歳時点での払戻金額は現時点では予想できないということです。1億円というのは、あくまでも目安であって、2億円になるかもしれないし、5,000万円になるかもしれないということです。

盤石を意識するあまり、保険料負担が大きすぎる

 くるみねこさん世帯の資産形成の不安要素ふたつ目は「盤石を意識するあまり、保険料負担が大きすぎる」ということです。

 ・生命保険(妻) 死亡保障 8,000万円

 ・生命保険(夫) 死亡保障 5,000万円

 この死亡保障はお互いに何かあった時の保障内容としては過剰だということです。

 ・お互いが給料で年間400万円以上のキャッシュフローがある

 ・貯蓄が1,500万円ある

 ・こどもがいない

 このような世帯状況であれば、どちらかに不幸があった場合、高額な死亡保障が無くとも十分に生活していくことができますね。そのため、ここまで高額な死亡保障は必要無いということです。

 世帯合計1億3000万円の死亡保障がある生命保険となると、月々の保険料は非常に高額です。給料と貯蓄が十分にある状況であれば、死亡保障額を下げてもよいということです。

保険は人生に欠かせないが、入り過ぎてもよくないということ。

YOHの考え

 保険料だけで年間560万円かかっているくるみねこさん世帯は、老後の備えやお互いに何かあった時の備えは盤石と言ってよいですね。

 しかし、盤石にし過ぎるあまり、保険料の支払額が高額になり過ぎている、というのが私の印象です。

 もし、くるみねこさん世帯が年間保険料560万円のうち、半分の280万円を年利4%の投資信託などを積み立てた場合、65歳時点での資産額は1億4,300万円になっています。

出典 楽天証券

 ザックリ過ぎる計算ですが、くるみねこさん世帯が加入している外貨建て保険の1億600万円を上回ることになりますね。

 保険商品で資産形成すること自体は悪いことではありません。金融資産保有額が増加する可能性があるからですね。しかし、そこには現在と将来の状況をしっかりと把握しておく必要があります。

 ・共働きで両者に十分なキャッシュフローがある

 ・金融資産は十分にある

 ・家計管理はしっかりとできている

 このような世帯状況であれば、外貨建て保険での資産形成や高額な死亡保障の生命保険は不要だということです。それよりも、高属性を活かしてリスク資産の割合を増やしてもよいということです。

 ・iDeCo

 ・NISA

 くるみねこさん世帯はNISA制度を使っているようですが、満額拠出していません。それならば、保険内容を見直して、非課税制度をフルに使うことから考えてもよいということです。

 保険というのは人生に安心や安定をもたらしてくれるものですが、決して安いものではありません。月々の支払いは数万円でも、それが数十年続くと何百万円という金額になります。

 その金額は知らず知らずのうちに家計を圧迫してしまう可能性があるということです。保険加入の捉え方は世帯によって異なり、正解というものはありません。

 ・保険に加入しないリスク

 ・保険に加入するリスク

 この2つを考えて適切に扱うことが大切だと、私は考えています。ご覧いただきありがとうございました。

 保険商品を考える上で大切なのは、リスクフリーレートです。

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 変額保険で資産形成することは非常に難しいですね。

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 こどもがいる場合、生命保険は妻に手厚くかけた方がよいですね。妻に不幸があった場合、遺族年金は頼りないですね。

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