YOH消防士の資産運用・株式投資

消防士の資産運用、株式投資、仕事について紹介しています。

平均的な収入で平均的なポートフォリオを組むとマス層から抜け出せない理由

資産形成

 資産形成とは、お金に換算できる財産を作りあげることです。

 ・現金

 ・預貯金

 ・株式

 ・投資信託

 ・不動産

 お金に換算することができる財産の例を挙げるのであれば、このようなものだということです。

 この中でも資産形成において最も確実な方法は預貯金ですね。

 ・毎月10万円を貯金する

 ・年間120万円の貯金を10年間続ける

 浪費の有無はさておき、預貯金はこのような形で誰でも手軽に行うことができるからですね。

 しかし、預貯金だけで誰もが十分な資産形成ができるかと考えるとそうではないですね。

 預貯金だけで何千万円といった資産を形成できる方は非常に限られています。

 ずばり言ってしまえば、高年収かつ生活費がかからない方だけだということです。

 ・手取り年収が年間1,000万円

 ・年間生活費が300万円

 このような属性であれば、預貯金だけで資産形成を行うことは十分に可能です。

 ・年間700万円の貯金

 ・15年間継続すれば1億500万円貯まる

 ・生活費の35年分を確保することができている

 このようになり、そのままの生活が続けば、人生においてお金の心配というのはしなくともよいことになります。しかし、多くの方にとっては、このような資産形成方法を取ることはできません。

 ・収入面

 ・支出面

 この2点から考えて、預貯金だけで資産形成していくことは難しいということです。

 しかし、預貯金だけで資産形成しているという世帯は少なくありません。

 そして、日本では裕福な世帯と貧困な世帯の2極化が進んでいると言われています。その原因のひとつとして挙げられるのが、資産形成方法です。

 ずばり言ってしまえば、平均的な年収であるにも関わらず、お金が貯まらない世帯というのは、ポートフォリオの構築方法に問題があるということですね。

 ・平均的な世帯の貯蓄状況

 ・平均的な世帯のポートフォリオ

 ・平均的な世帯のポートフォリオの問題点

 今回はこの3点について考えてみたいと思います。

令和3年度家計調査報告書

 総務省統計局の令和3年度家計調査報告書の貯蓄の状況によると、2人以上の勤労者世帯の貯蓄額の平均は1,454万円となっています。

出典 

統計局ホームページ/家計調査報告(貯蓄・負債編)−2021年(令和3年)平均結果−(二人以上の世帯)

 そして、この1,454万円について金融資産の内訳を見ていくと預貯金の割合が非常に多いことがわかります。

出典 

統計局ホームページ/家計調査報告(貯蓄・負債編)−2021年(令和3年)平均結果−(二人以上の世帯)

 ・通貨性預貯金(普通預金) 521万円(35.8%)

 ・定期性預貯金(定期預金) 399万円(27.4%)

 この2つで63.2%を占めています。次いで多いのは生命保険など、有価証券が続きます。

 ・生命保険など 293万円(20.2%)

 ・有価証券(株式など) 198万円(13.6%)

平均的な世帯のポートフォリオ

 それぞれをまとめた一般的な世帯のポートフォリオを確認すると以下のようになります。

              

 ・無リスク資産(通貨性預貯金・定期性預貯金) 63%

 ・ほぼ無リスク資産(生命保険など・その他) 23%

 ・リスク資産(有価証券) 14%

 これが平均的な世帯のポートフォリオと考えてよいということです。しかし、この結果には違和感がありますね。一般的な勤労者世帯は貯蓄が1,454万円もあるのか、ということです。

 令和3年度家計調査報告書の貯蓄の状況によると、2人以上の勤労者世帯の貯蓄額の平均は1,454万円となっていますが、中央値は833万円となっています。

 平均は少数の世帯の値が大きくなれば数字を押し上げてしまうことから、より実情に近いのは中央値と考えてよいですね。

 このことから中央値ベースで考えると、貯蓄の内訳は変わっていると考えることが自然です。

 ・貯蓄が少なければ無リスク資産(貯金)やほぼ無リスク資産(保険)が増加する

 このように考えられることから、有価証券(株式)部分はさらに少なくなると考えてよいですね。そのため、実際の一般的な世帯のポートフォリオは以下のようになると私は考えています。

  

 ・無リスク資産(通貨性預貯金・定期性預貯金) 74%

 ・ほぼ無リスク資産(生命保険など・その他) 16%

 ・リスク資産(有価証券) 10%

 このようなポートフォリオが平均的な勤労者世帯の実情に近いということです。

平均的な世帯のポートフォリオの問題点

 平均的な世帯のポートフォリオの問題点して挙げられるのは、リスク資産が少ないということです。

 ・定年退職して終身年金が入ってくる

 ・リスクを取って資産を増やすような年齢では無い

 このような世帯では、無リスク資産がポートフォリオの70%を占めるので問題ないのでしょうが、勤労者世帯ではこのようなポートフォリオはリスクを取り過ぎておらず、資産形成が進まないということです。

 その結果として、資産が減ることはないのでしょうが、増加しにくいということです。

 そして、日本の世帯の純金融資産保有額を階層別に分けると以下のようになります。

出典 

野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)

 ・超富裕層 0.2%

 ・富裕層 2.3%

 ・準富裕層 6.3%

 ・アッパーマス層 13.2%

 ・マス層 78%

 各階層の内訳を確認するとこのようになっています。圧倒的に多いのは金融資産保有額3000万円未満のマス層(78%)です。

 日本の世帯の約8割は金融資産を3000万円以上保有していないということです。

 そのことから考えて、平均的な資産形成をして、平均的なポートフォリオを組んでいれば、マス層から上に行くことが無いということです。これが、平均的なポートフォリオを組むことの問題点だということです。

平均的な資産形成をすれば平均的な金融資産に落ち着くということ。

YOHの考え

 今回は平均的な世帯の貯蓄状況とポートフォリオについて考えてみました。

 ・平均的な貯蓄

 ・平均的なポートフォリオ

 このような形で資産形成をした場合、平均的な金融資産保有額に落ち着くということです。

 ・平均値 1,454万円

 ・中央値 833万円

 これが2人以上の勤労者世帯の金融資産保有額だということです。これが多いか少ないかは個人の考えによるので一概には言えません。

 しかし、老後2,000万円問題などが取り沙汰されていることを考えると、決して余裕のある金融資産保有額とは言い難いと私は考えています。

 もちろん、お金があれば幸せで充実した人生が送れるかと言えば、そうではありません。

 しかし、お金の心配をしなくてもよい人生というのは、その状況でしか得ることができない満足感というのは間違いなくあるということです。

 お金について何も考えることなく、漫然と生活して貯蓄をしているだけでは金融資産保有額が5,000万円以上の準富裕層はもちろんのこと、3000万円以上のアッパーマス層にも到達することがありません。

 人生お金が全てでは無いことは間違いないですが、ほぼ全てのことにお金がかかることもまた、間違いがないことです。平均的な人よりもお金を増やすためには、人とは異なることをする必要があります。

 ・働いて収入を得る

 ・得た収入をコツコツと貯金する

 このようなことで資産形成できるのは、高所得者だけで、平均的な収入から逸脱しない人は、このような安全確実な方法では資産形成することが極めて難しいということです。

 リスクを取らないことも危険だということを考えて、資産形成していく必要があると私は考えています。ご覧いただきありがとうございました。

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