YOH消防士の資産運用・株式投資

消防士の資産運用、株式投資、仕事について紹介しています。

【確定申告の基本】配当控除・住民税申告不要制度と廃止について

株式投資の税金

 株式投資をしている方の多くは「特定口座・源泉徴収有」で行っています。特定口座・源泉徴収有で証券口座を開設していると、証券会社が納税をしてくれるので、個人で税金計算する必要がないからですね。

 ・所得税 15.135%(復興特所得税含む)

 ・住民税 5%

 ・合計 20.315%

 株式投資で利益が出た場合や配当金をもらった場合は、これだけの税金がかかります。

 約20%の税負担ですが、この税負担が重いか軽いかということは個人によって異なります。

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出典 国税庁 所得税の税率

 年収400万円だと、課税所得は300万円以下になるので、税率は10%。この方にとっては、株式投資の税率は高いと言えます。

 しかし、年収1億円だと、課税所得は4,000万円以上になるので、税率は45%。この方にとっては、株式投資の税率は低いと言えるのです。

 ※これが政府が問題視している1億円の壁ですね。政府は金融所得課税強化に乗り出していますが、2022年は見送りとなりました。今後されることは間違いないと言ってよいですが・・・

総合課税と分離課税

 年収が低い人にとって重たい税負担となっている株式投資の税率で納めた税金は、確定申告(還付申告)で総合課税にすることによって、還付を受けることができます。

 総合課税とは、給料や配当など、その人が個人で稼いだ金額を合算して税率を計算する課税方式です。

 一方で、分離課税とは、給与や配当などを別々に分けて計算する課税方式です。

所得が900万円以下の人は総合課税の方が得

 配当控除を使う際の損益分岐点は課税所得900万円です。課税所得900万円以下の人は、確定申告をして配当所得を総合課税とした方が税の還付を受けることができるということです。

 公務員や会社員は多くの場合、課税所得900万円以上になることはないので、配当金を特定口座で受け取っているほぼ全ての人が対象と言ってよいですね。

 ※NISA口座は税制優遇されているので、配当控除は使えません

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 課税所得が330万円以下なら、配当にかかる所得は7.2%になります。課税所得695万円~900万円以下であれば、微々たる割合ですが、確定申告した方が税率は抑えられます。

どのくらい節税できるか

 【課税所得が330万円以下で配当金が年間10万円ある場合】

 ・確定申告なし 10万円-(10万×20%)=8万円(もらえる配当金) 

 ・総合課税で申告 10万円-(10万円×7.2%)=92,800円(もらえる配当金) 

 課税所得330万円以下であれば、約12,000円還付されることになりますね。(実際には所得税0.21%が課税されますが、今回は割愛しています)

 課税所得330万円以下というのは、少ないと思われがちですが、公務員・消防士には非常に多いです。独身なら年収600万円であれば、課税所得330万円付近となります。結婚していて扶養家族がおられる家庭であれば、年収700万円以上でも課税所得330万円以下というのは珍しくありません。

住民税申告不要手続き

 総合課税を選択することによって、所得税率は低くなりますが、住民税率は5%から7.2%に上がります。

【課税所得330万円の場合】

 ・分離課税の住民税率 5%

 ・総合課税の住民税率10%から配当控除が適応されて-2.8%されるので、7.2%になる

 このように、総合課税にすることによって、住民税の税率は2.2%上がることになります。それを5%のまま据え置くようにするのが住民税申告不要手続きです。

 昨年までは市区町村に書類を提出する必要がありましたが、令和3年度からは確定申告の用紙に丸印を入れるだけで申告不要とすることができるようになっています。

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出典 木曽岬町ホームページ

 確定申告書Aを例に見てみると、(6)の欄に〇をつけるだけでよいことになりました。これだけで、住民税が5%になり、2.2%お得になるということです。

住民税申告不要手続きは廃止される

 この大変便利な住民税申告不要制度ですが、昨年12月に発表された令和4年度税制大綱によると、廃止されることがほぼ決まっています。

 ・個人住民税においては、課税方式を所得税と一致させる

 ・この改正は令和6年度分から適応する

 省略していますが、このように記載されているのですね。この記載内容だと、令和6年度分の住民税から適応されるので、令和5年度分の所得からと考えることができますね。

 ここから考えると、住民税申告不要制度が使えるのは今年を含めて2年ということになりますね。

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公務員や会社員でも節税できる箇所はあるということ。制度の理解が第一歩。

YOHの考え

 公務員の給料事情から考えて、課税所得が695万円以上になることはまずないので、住民税申告不要制度が使えなくても配当控除を使った方がお得です。

 ・課税所得900万円以上(年収1100万円以上が目安)

 ・株式の売却損がある(複数口座で売買をしている)

 このような場合は、確定申告をして配当控除を使わない方がよいですね。課税所得900万円以上であれば、株式売買の税率20.315%の方が税率が軽いからですね。

 また、株式の売却損がある場合は、損益通算をした方がよいケースがあるので、配当控除を使うよりもお得になるということです。

 配当控除は公務員や会社員で配当金をもらっている方にとっては非常に大きい節税です。しかし、使っていない方は少なからずおられます。

 ・存在自体を知らない

 ・手続きがめんどくさい

 このような理由から、還付申請を行わないことは非常にもったいないと感じます。今の時代は、ザックリとした知識を持っていれば、インターネット環境を使って知識を掘り下げることは誰にでもすることができるのです。

 お金に対する知識は自分自身で身に付けるしかないのですが、その敷居は確実に低くなっています。知らなければ損をすることは多々あります。それをなくしていくことが、公務員や会社員の資産形成においては大切だと、私は考えています。

 ご覧いただきありがとうございました。

令和4年度の税制大綱について、公務員や会社員に関係する箇所のみ記事にしています。

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 公務員の税金は取られ放題といわれています。それについては、こちらで記事にしています。

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 金融課税強化に関してはこちらで記事にしています。

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