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【モデルケースで26万円の節税が可能】エンジェル税制とその使い方について

会社員や公務員の節税

 公務員や会社員が資産形成していく中で悩ましいのが節税対策です。節税対策としては、控除を使って課税所得を低くすることがよいのですが、会社員や公務員ではそれが難しいのですね。

 控除は15種類ありますが、会社員や公務員が使える控除というのは限られています。

 ・基礎控除

 ・給与所得者控除

 ・社会保険料控除

 独身や共働きである場合、ベースとして考えられるのは、このような基本的な控除だけだからですね。

 ・配偶者控除

 ・配偶者特別控除

 ・扶養控除

 ・医療費控除

 ・地震保険控除

 ・生命保険保険料控除

 ・小規模事業共済等掛金控除

 配偶者が扶養内で働いている、こどもがある程度の年齢に達している、保険加入しているなどの条件を満たせば使える控除は増えますが、個人事業主やフリーランスの方と比較すると使える控除の種類と幅は非常に限られていると言ってよいですね。

 ・NISA制度

 ・ふるさと納税

 このような制度も使えばお得ですが、完全な節税になっているかと言えばそうではありません。NISA制度は基本的に利益が出た場合の税制優遇、ふるさと納税は納税額に応じた返礼品をもらえるだけで、実質的に課税所得を減らすことができていないからですね。

 そのように考えると、会社員や公務員が株式投資のような資産運用で節税ができるのはiDeCoだけだということです。

 ・掛金が控除対象

 ・運用益が非課税

 iDeCoにはこのような特性があるからですね。iDeCoを使っている多くの方は運用益が非課税であることよりも、掛金控除の目的であるということです。

 そして、株式投資のような資産運用で使うことができる節税対策として今、注目を浴びているのがエンジェル税制です。

 ・エンジェル税制の概要

 ・どれくらい節税することができるのか

 今回は、この2点について触れてみたいと思います。

出典 自営百科

エンジェル税制

 エンジェル税制とは、ザックリと言えば、ベンチャー企業の株式購入分を給与所得から控除される仕組みです。

 ・年収 500万円

 ・課税所得 350万円

 ・ベンチャー企業の株式購入金額 100万円

 ・350万円 - 100万円(ベンチャー企業の株式購入金額) =250万円(課税所得)

 このように課税所得を低くすることができる仕組みだということです。エンジェル税制は、中小企業創業活動促進法に伴って運用されることになった税制です。

 ・ベンチャー企業の育成

 ・ベンチャー企業への資金流入

 中小企業創業活動促進法は、このように、ベンチャー企業を立ち上げて発展させることを応援するために作られた法律です。

 ・ベンチャー企業は事業のために出資して欲しい

 ・投資家はベンチャー企業に出資したが、リスクが高い

 この2者の間に税制優遇措置を挟むことによって、ベンチャー企業に資金流入しやすくなることを目的としてます。

出典 中小企業庁 エンジェル税制の仕組みについて

 このように、この2者の間に税制優遇措置を挟むことによって、ベンチャー企業に資金流入しやすくなることを目的としているということです。

 エンジェル税制自体は25年以上前からあったのですが、最近までは使い勝手が非常に悪く、多くの投資家にとって選択肢となることはありませんでした。

 ・ベンチャー企業の株式を売却した場合、その損失と他の株式売却益を相殺できる

 ・ベンチャー企業の株式購入した場合、他の株式売却益と相殺できる

 2003年まではこのような仕組みを取っており、使い勝手が良いとは言えませんでした。しかし、2008年になってから、現在のようにベンチャー企業への出資額が給与所得から引かれるように制度改正されてからは幾分か使いやすくなりました。

 現在では、この優遇措置をA、Bと区別しています。

出資 中小企業庁 エンジェル税制

 エンジェル税制は制度変更を経て使いやすくなったのですが、それでもまだ使う方は非常に限定されていました。その一番の理由は、手続きが複雑で対象となるベンチャー企業自体が非常に少なかったからですね。

 ・年間で5社以下

 ・全体でも見ても50社未満

 このようにエンジェル税制の対象となるベンチャー企業が少なかったため、誰しもが使うことができなかったということです。

 しかし、2020年の株式投資型クラウドファンディング業者が手続き代行をするようになって、対象企業が増加し、投資家にとっても使い勝手が非常によくなりました。

使い勝手がよいのは「優遇措置A」

 2020年から使い勝手が非常によくなったエンジェル税制ですが、公務員や会社員投資家がより使いやすいのは株式購入した金額が控除対象となる「優遇措置A」ですね。

 ・ベンチャー企業への投資額から2,000円を引いた金額が所得控除対象となる

 ・控除対象金額の上限は総所得金額の40%か800万円の低い方

 この2点から考えると、会社員や公務員であっても、株式投資に使った金額を経費として計上できるということです。

モデルケースでシミュレーション

 エンジェル税制の優遇措置Aを使った場合、どれくらいの節税になるのかをシミュレーションしてみます。

 ・年収 600万円

 ・総所得金額 450万円

 ・課税所得 330万円

 このようなモデルケースの場合、所得税額は38万円になります。(ザックリ計算です)この方がエンジェル税制を上限まで使用した場合を考えてみます。

 ・450万円(総所得金額) × 40% = 180万円(エンジェル税制上限額)

 ・330万円(課税所得) - 180万円 = 150万円(エンジェル税制適応後の課税所得)

 この場合、所得税額は約12万円となります。

 ・38万円 - 12万円 = 26万円(エンジェル税制を使った減税額)

 このケースで言えば、ベンチャー企業に180万円出資することによって、所得税を26万円少なくすることができるということです。

エンジェル税制は使い方次第では大きな効果をもたらしてくれる。

YOHの考え

 エンジェル税制は日本のベンチャー企業を育てていくために作られた税制優遇制度です。そして、その内容は破格と言ってよいですね。

 ・株式投資に使ったお金を経費として計上できる

 このようなことは上場企業への株式投資では考えられないからです。そして、年収600万円のモデルケースでは180万円出資することによって、納税額が26万円安くなります。

 ・年間180万円をベンチャー企業に出資(課税所得)

 これは、しっかりと資産形成に取り組んでいる世帯であれば可能な金額です。

 ・つみたてNISA 年間40万円

 ・iDeCo 年間 14.4万円

 ・ベンチャー企業への出資 180万円

 ・合計 234.4万円

 手取りが450万円ほどであることを考えると、このような資産運用方法を取ることができるということです。しかし、万人におすすめできる資産運用方法ではないですね。

 ・安定性

 ・確実性

 ・リターン

 このようなことを考えた場合、ベンチャー企業に多くの金額を投下することはネガティブな要素が強いと考えられるからですね。

 いくら税制優遇措置が受けられると言っても、資産投下しているベンチャー企業自体の成長性がなければ意味がないということです。

 ・ベンチャー企業の成長性を見抜く力がある

 ・ベンチャー企業への投資に多くの資産投下ができる

 このような方にとっては、ベンチャー企業へ投資ができて、所得税も安くなるというような非常にお得な制度ですが、それ以外の方にとっては、リスクが高いということです。しかし、使い方は人それぞれです。

 ・暗号通貨

 ・新しい投資手法

 私は、このようなものに資産投下するなら、エンジェル税制が使えるベンチャー企業に投資する方がよい考えています。

 ・リスク的には同じ

 ・税制優遇措置がある

 このように考えるからですね。暗号通貨などは今後どのような動きをするかわからず、資産としてどのような位置づけになるかわかりません。それはベンチャー企業も同様です。

 しかし、エンジェル税制を使えば確実に税制優遇措置を受けることができます。その金額は決して小さいものではありません。それならば、リスク資産の中のさらに高リスク資産として選択肢に挙がる可能性はある、と私は考えています。

 ご覧いただきありがとうございました。

 会社員や公務員の節税についてはこちらで記事にしています。

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