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【106万円の壁が60万円の壁に】被用者保険の適応拡大について

被用者保険の適応範囲の拡大

 日本にはセーフティーネットとして国民皆保険制度があります。

 ・怪我や病気で働けなくなった場合、一定の金銭的援助がある

 ・医療費を1割~3割負担にすることによって多くの人が高水準の医療を受けることができる

 ・現役労働者時に一定の金額を納付することによって、高齢になると年金が支給される

 国民皆保険制度にはこのような特徴があり、保障内容は非常に充実しています。そして、この社会保険制度は年々変化をしています。

 変化の内容としては様々ですが、方向性としては一貫しています。

 ・社会保険加入者を増加させる

 この1点に尽きるということです。

 社会保険に加入する、というのは先述したとおり、国が用意した手厚いセーフティーネットの恩恵を受けることができるようになるのですが、その分、社会保険料を納付する必要があります。

 ずばり言ってしまえば、制度の維持にお金がかかるということです。

 そのため、パートタイムジョブなどで働いておられる方は社会保険料を納付しなくてもよい収入の範囲内で働く、という選択をしている方は少なくありません。

 いわゆる106万円、130万円の壁というものですね。

 しかし、2023年5月30日に厚生労働省から公表された「被用者保険の適応拡大」によると、その壁について見直しが行われようとしているということです。

 ・現在の106万円の壁

 ・2024年からの変更点

 ・2025年以降の変更

 今回は厚生労働省から公表された「被用者保険の適応拡大」を基に今後の社会保険加入状況がどのようになるのかについて考えてみたいと思います。

現在の106万円の壁

 現在、パートタイムジョブなどで働いておられる方は106万円の壁というのを意識して働いておられる方が非常に多いですね。

 ・106万円の壁の範囲内で働いていれば、扶養者の会社の社会保険に入ることができる

 ・パートタイムジョブの賃金から社会保険料を納めなくともよい

 106万円の壁にはこのような特徴があるからですね。そして、2022年10月から適応されている106万円の壁の要件は以下のようになっています。

     

 この条件を満たす範囲内で働いているのであれば、賃金がそのまま手取りになるという認識でよいということです。

 しかし、この条件を超えて働いて賃金を得た場合、自身で社会保険料を納付する必要がでてくるということです。

 どれくらいの金額になるのかは例を挙げて確認していきます。

 ・時給900円

 ・週25時間労働(月100時間)

 このけーすであれば、106万円の壁の範囲内なので、社会保険料を納付する必要はなく、月9万円を手にすることができています。(実際には雇用保険によって、1,000円ほど引かれますが、割愛します)

 しかし、106万円の壁を超えてしまうと、社会保険料が引かれることになります。

 ・健康保険

 ・雇用保険

 ・厚生年金

 これらを納める必要があるということです。金額は自治体によって多少の違いがありますが、大阪府の場合、概ね1.45万円ですね。内訳は以下のようになります。

         

  ※40歳以上の場合は介護保険料がプラスされることになります。

 手取りの9万円から1.45万円が引かれることになるので、手取りは7.55万円に減少することになります。これが社会保険料を納めることの最大のデメリットです。

 しかし、社会保険に加入するによって、将来の年金受給額が増加するというメリットがあります。

2024年からの変更点

 この106万円の壁については、2024年10月から条件が一部変更されることが決まっています。

 その変更点とは、従業員数が101名以上から51人以上になるということです。

出典 厚生労働省「被用者保険の適応拡大」

 これまでは、従業員数が100人以下の職場で働いていたのであれば、130万円の壁が適応されていたのが、2024年10月からはそれが106万円の壁になるということです。

 これ自体は、一部の方を除いてそれほど大きな変更ではないのですが、2025年以降はさらに社会保険加入者が増加するような変更がなされていくことになります。

2025年以降の変更

 2025年以降に変更される点についてはまだ議論されている段階ですが、概ねどのようになるのかについては、一定の答えが示されています。

 ・労働時間 → 撤廃

 ・106万円の壁 → 70万円の壁

 ・従業員数 → 撤廃

 このようになり、パートタイムジョブなどで働く多くの人に社会保険に加入してもらうことになるということです。

 段階を経て徐々に変更されていくのでしょうが、まとめると、概ねこのようになるということです。

 ずばり言ってしまえば、パートタイムジョブで働いている全ての方に社会保険に加入して社会保険料を納付してもらうような変更がなされるということです。

社会保険料、税負担はどんどんと増加していくことになる。

YOHの考え

 今回は2023年5月30日に厚生労働省から出された「被用者保険の適応拡大」から、社会保険料負担の増加について考えてみました。

 私自身は日本の国民皆保険制度制度は非常によくできた仕組みで、その制度自体は素晴らしいものであると感じています。

 しかし、その制度を維持するための社会保険料負担額は年々増加しており、今後もさらに増加していくことは避けることはできません。

 その結果として、収入に対する社会保険料負担が非常に重しになっているということです。

 そして、日本政府としては、この制度を維持するためにより多くの方に社会保険料を納付してもらう必要があるということです。

 社会保険についての変更は時間をかけて徐々に行われていくのでしょうが、今後はパートタイムジョブの収入に関係なく社会保険料を納付する時代になる可能性も十分にあるということです。

 ・働いて給料を得ているのであれば社会保険料を納付する

 ・扶養に入っているのあれば、配偶者が扶養者の社会保険料を納付する

 このような制度変更がなされることは十分に考えられるということです。

 そして、このような制度変更がなされたのであれば、給料は増加しても手取りが増えない、というようなことになるということです。

 ・働けど働けど手取り収入が増えない

 ・負担額が増えているにも関わらず受給できる年金では老後生活を送ることはできない

 ・年金受給開始年齢は75歳から

 このようになることを考えておく必要があるということです。そして、このような状況になった時の対応策のひとつが「資産形成をしておく」ということです。

 ・現役労働者の時に貯金をしておく

 ・余分なお金を資産運用に充てる

 自分自身でこのような防衛策を取っておくことが、これからの日本を生き抜くためには欠かすことができないと、私は考えています。

 ご覧いただきありがとうございました。

 社会保険というのは非常優れた制度ですが、その分お金がかかります。数千万円~1億円以上の保険料を納めることになります。

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